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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「透明人間」(1954、東宝)を見る。「ゴジラ」に次ぐ怪奇スリラー。

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透明人間」(1954、東宝)を見た。「ゴジラ」(1954)に次ぐ東宝の怪奇スリラー。モノクロ、70分。別府啓の原案を日高繁明が脚本を書き「幽霊男」の小田基義が監督。撮影・特技監督は「ゴジラ(1954)」の円谷英二。粗削りなところもあるが今見ても面白い。戦時中の人体実験によって自分の存在を物理的に消された男が、普通の人間として生活しながら、彼を名乗って暗躍するギャング集団に立ち向かう姿を描いた作品。

出演者は「幽霊男」の河津清三郎、「お夏清十郎」の三条美紀、「あんみつ姫」の藤原釜足、「継母」の高田稔、「地獄への復讐」の植村謙二郎のほか村上冬樹土屋嘉男恩田清二郎、童謡歌手の近藤圭子など。

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CGもない時代だが、さすが特技監督円谷英二で、透明人間が利用する公衆電話やスクーターの動きなどは、当時としては驚きの映像であったに違いない。1950年代の銀座の風景や、都電、街並みなどが見られて、歴史的な資料にもなりそう。

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銀座で透明人間が自動車に轢かれた。死体の持っていた手紙は遺書のようなもので、もう一人の透明人間が都内にいることが分った。新聞記者の小松(土屋嘉男)は、目撃者として透明人間の取材に当った。

ナイトクラブ黒船のボーイ長・健(植村謙二郎)は、歌手の美千代(三條美紀)に野心を持っていたが、ピエロの南条(河津清三郎)に美千代は救われた。

包帯で顔をかくした透明人間が現われ、競馬場、銀行等が次々と襲われた。

警視庁は透明人間の捜査に全力をあげたが、手掛りはなかった。

南条の住むアパートには盲目の少女・まり(近藤圭子)が、お爺さん(藤原釜足)と住んでおり、南条はまりを可愛がっていた。

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芝浦の倉庫番をしていたお爺さんがある日透明人間に殺された。

南条は、その夜、小松に彼自身が特攻隊員として造られた透明人間であることを発見された。彼の潔白を信じる小松と南条は、黒船の支配人・矢島と健が犯人であることを突きとめた。

健に脅迫され麻薬の密売を強いられた美千代は、透明体の南条に救われた。

ピエロ姿になった南条と美千代が公園にいる時、矢島(高田稔)と健が現われ、南条に手先きになることを要求したが拒まれ、南条を透明体にし、自動車の氾濫する中に投げ出したのだが・・・。

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透明人間を騙(かた)って悪事を働くグループが登場し、新聞をにぎわせるが、透明人間自身は、心優しい、孤独な人物として描かれる。舞台となるナイトクラブ「黒船」で踊るダンサーたちは、スタイルがよく日本人離れしている。新聞記者を演じる土屋嘉男は「七人の侍」で百姓の一人を演じて印象に残る。元童謡歌手の近藤圭子は後にテレビシリーズの「豹(ジャガー)の眼」と「怪傑ハリマオ」に出演している。(Netflixにて鑑賞)