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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「陸軍中野学校」(1966)</span>



陸軍中野学校(1966)を見た。
舞台は実在した日本初のスパイ学校。主演は大映のスターだった市川雷蔵
有名作品でありながら見逃していた作品で、今見ても面白い!後にシリーズ化され4本の続編が作られた

とくに増村保造監督一作目は、”スパイ学校”そのものを描いた点が面白い。
インテリで奇才で呼ばれた増村保造監督がドキュメントタッチで中野学校の実態をクールに描き、主人公をヒーローとせず、時代や組織にのみ込まれた犠牲者として描いてい
 
1960年代の初め頃は「007シリーズ」を始め、世界的なスパイ映画ブームだった。
日本映画界は、東宝東映大映・松竹・日活の”5社体制”時代。

東宝は「国際秘密警察シリーズ」(三橋達也主演)、東映は忍者・裏切り者映画などを丹波哲郎主演で撮っていた。1968年に陸軍諜報33という中野学校出身のスパイが活躍する映画を製作日活は1964年に間諜中野学校 国籍のない男たち」。そんな中、大映は暗くて重い「陸軍中野学校」で日本のスパイ育成そのものを描いたのだった。
 
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世界情勢が緊迫しつつあった昭和13年1937年)、陸軍少尉の椎名次郎市川雷蔵は、草薙中佐加藤大と名乗る人物から口頭試問を受け
 
「将来は何になりたいか?」「銀行員か会社員です」「この地図の中のXX島はどこにある?」「この地図にはありません」「地図の下の机の上には何がある?」「文房具、カバン、万年筆、湯飲み茶碗、タバコ・・・」「タバコはなんだ?」「チェリーです。マッチ、灰皿」「灰皿の中には?」「吸殻が2本ありました」・・・。「では、次にいくつかの質問をするからまとめて答えろ。一晩にどれくらいのお金を扱えるか。キリスト教と仏教の違いを5つ。共産主義の長所と短所はなにか。今、この場で腹を切れるか」・・・など奇妙な質問だった、と次郎のナレーション(回想)で物語が始まる。


 
それから1週間後、次郎のほかに17名の陸軍少尉が靖国神社の近くにあったバラックに集合させられ。そこは諜報部員を養成するスパイ機関の陸軍中野学校だった・・・
  

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日中戦争の引き金となった盧溝橋事件の翌年にあたる1938年(昭和13年)、日本陸軍は「防諜研究所」を新設した。2年後に「陸軍中野学校」と改称される諜報員の養成学校である。
 
畠山清行が1965年から週刊サンケイ誌上で「秘密戦士 陸軍中野学校」という連載を始めたことで注目が高まり、同連載をもとに大映が映画化に乗り出した。
 
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1938年10月、三好次郎陸軍少尉市川雷蔵は所属する連隊で草薙中佐加藤大と名乗る男の訪問を受け、次々と質問を浴びせられる。1週間後、三好は陸軍省に出頭せよとの極秘命令を受け、母と許嫁の雪子小川真由美には出張と偽って東京に向かう。


 
翌朝、靖国神社近くのバラックには三好をはじめ18人の若い陸軍少尉が集められていた。彼らの前に現れた草薙は、1年間のスパイ教育と軍服の着用や軍隊用語の使用の禁止を命じる。
 
草薙は陸軍士官学校出身の純軍人で構成された参謀本部とは違う世間離れしていない優秀なスパイを養成すべく、陸軍予備士官学校出身者である彼らを集めたのである。
 
変名を与えられた三好らは、軍隊用語は話さないようにしなければならなかった。訓練は柔道から飛行機の操縦までわたり、政治、経済、外交問題については大学教授の講義を受けた。しばらくして、彼らは九段から中野電信隊跡に移動した。
 
ここでは、諜報において必要な技術 - 変装、ダンス、更に名の知れた金庫破りによる窃盗術や生理学者による女の肉体を喜ばせる方法までもが教授され、サラリーマンの団体を装った遊郭での実習まで行なわれた。また、二つ以上の外国語の習得や、職業も洋服屋とコック(料理人)というように2つ以上を身につけさせられた。
 
一方、音信不通の三好を探していた雪子は、消息不明の三好をさがす手がかりをもとめて、参謀本部の暗号班にタイピストとしてつとめはじめる。
 
過酷な訓練で自殺者を出しながらも1年間の訓練を終えた彼らに卒業試験として与えられたのは、英国領事館の外交電信暗号コードブックの内容入手であった。
 
三好は、アメリカ帰りの洋服屋に成りすまし、ポーカー仲間として領事館の暗号係のデビットソンに接近する。

さらに、出入りの中国人コックを買収して領事館に侵入し、コードブックを撮影して見事内容入手に成功した彼らであったが、コードブックの内容はすぐに変更されてしまった。参謀本部の前田大尉待田京介は、作戦に失敗した中野学校の存在に苦言を呈する。
 
三好らは、参謀本部から情報が漏れたのではないかと感じ、参謀本部を訪れるが、そこで雪子の姿を見る。雪子が参謀本部にいることを不審に思った三好は、雪子がラルフと紙片のやりとりをしているのを目撃する。
 
引ったくりを装って雪子から鞄を奪った三好は、その紙片から雪子が英国諜報機関の手先(スパイ)であることを知り、前田大尉から機密が漏れたことを確信する。

ある晩、三好は雪子の元を訪れ、ホテルに誘い、毒殺してしまう。雪子の筆跡を真似て「私はスパイでした」という遺書を残して・・・。

そして身も心もスパイになりきった次郎たち十六名は、陸軍中野学校第一期生として世界各地にちらばっていった。ちょうど欧州では第二次大戦か始まっていた。
 
・・・
政府諜報機関といえば、MI6(軍情報部第6)正式にはSIS・情報局秘密情報部(英国)がジェームズ・ボンドによって、その名は世界的に有名冷戦以降はソ連KGBとの熾烈な諜報合戦を繰り広げた。
 
CIA(=Central Intelligence Agency、米中央情報局)は、諜報機関の代名詞とも言える組織。アメリカには情報機関が多数ありインテリジェンス・コミュティーを形成しているが、その頂点でもある。
 
日本でそれにあたるのは公安警察公安調査庁内閣情報調査室CIRO サイロ)そして防衛省情報本部(DIH)など。しかし海外の諜報機関に比べて規模が格段に小さい。また特殊工作(暗殺や破壊工作など)は行っていないとされる。
 
日本映画としては異色の映画で興味深かった。
市川雷蔵がクールで非情。小川真由美が健気で魅力的。
小川真由美は、その後「女ねずみ小僧」シリーズなどでアクションもこなし活躍。

加藤大も、「七人の侍」では、侍集めに奔走していたが「陸軍中野学校」でも、東大卒などの国際的に通用するエリートを集めていた。「通信研究所」という名前の学校と言っても施設は、古びた空家の建物で、”寺子屋”のような環境だった。スパイ教育が目的だったが、やがて、暴走して、殺人マシーンになる怖さも描かれる。

中野学校に集まった学生たちは、将来は医者、弁護士、政治家などになることも可能だったが、なぜ誰にも知られずに死ぬことも厭わないスパイになったのか? その理由とは・・・?

主な出演者:
市川雷蔵- 三好(椎名)次郎
小川真由美- 布引雪子(次郎の恋人)
加東大介東宝) - 草薙中佐
E・H・エリック- オスカー・デビットソン
待田京介- 前田大尉(陸軍参謀本部
ピーター・ウィリアムス- ラルフ・ベントリイ
早川雄三- 岩倉大佐(陸軍参謀本部
村瀬幸子- 三好菊乃(次郎の母)
仁木多鶴子- はつ恵(バーのホステス)
三夏伸- 手塚(中野学校生)
仲村隆- 杉本(中野学校生)  
井上大吾- 甲斐(中野学校生)
森矢雄二- 久保田(中野学校生)
九段吾郎- 宮木(中野学校生)
喜多大八- 森(中野学校生)
佐山真次- 浜田(中野学校生)
南堂正樹- 中西(中野学校生)
河島尚真- 高山(中野学校生)
守田学- 連隊区司令部将校
杉森麟中野学校教官B
小山内淳中野学校教官F
大橋一元中野学校生A
伊達正- 金庫破りの名人
中田勉- 佐倉連隊准尉
高村栄一- 警視庁捜査係長
志保京助- 原口(洋服屋
橋本力憲兵少佐
新宮信子- 伯爵夫人
三島愛子- 芸者A
田中三津子- 芸者B
松浦いづみ- 芸者C
穂高のり子- バーのマダム
松村若代- ラルフ邸の家政婦

上映時間:96分、モノクロ
 
1974年、第二次世界大戦終結から29年の時を経て、フィリピン・ルバング島から日本へ帰還を果たした小野田寛郎(おのだ ひろお)も陸軍中野学校の出身だった。

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