イギリスの名優の一人、ダーク・ボガード主演の「召使」(原題:The Servant、1963、日本公開1968)を見た。監督はジョセフ・ロージーで、ボガードは、ロージー監督の「唇からナイフ」「できごと」などの作品にも出演している。映画は、ある意味「怖い」(笑)が面白い。
このところ「できごと」「地獄に堕ちた勇者ども」「夏の嵐」などダーク・ボガードの主演作を見てきたが、「召使」には、「ライアンの娘」(1971)のサラ・マイルズが出ていたので見た。
サラ・マイルズ
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古いが大豪邸と思われる大きな屋敷を購入した主人と、召使の職に応募してきた男。それぞれにフィアンセがいたが、この4人の愛憎劇が面白い。屋敷の主は、召使に料理のほか、家事全般を預けるが、主のフィアンセは、召使の胡散臭さに気づき追い出そうとするのだが・・・。
映画の冒頭で、主人が召使に「酒を持って来い」と命令口調で話していた。
映画の終盤では、やはり「酒を持って来い」と強い口調の言葉が聞かれた。
しかし、その言葉を発していたのは、召使であって、命令に応じていたのは、アルコール漬けとなって落ちぶれた姿の主人だった! まさに、”主客転倒”のドラマだった!
サスペンス映画だが、ある映画評の「ジャンル」をみたら「英国式下剋上心理サスペンス」とあった。まさにそのとおりかも知れない。
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これから南米に3つの町を作ると、意気揚々としているトニーは、家の事を任せられる有能で気が利くバレットの仕事ぶりに満足するのだが、トニーのフィアンセのスーザン(ウェンディ・クレイグ)は、バレットにどことなくうさん臭さを感じて、トニーに忠告を重ねる。
そんなある日、バレットは妹ヴェラ(サラ・マイルズ)を呼び寄せたいとトニーに申し出た。トニーは承諾してヴェラがやって来るが、母親の急病でバレットが家に帰った晩、ヴェラとトニーはの二人は関係を持ってしまう。
しかし、妹といっていたヴェラは、実はバレットの婚約者で、お金のために、ひと芝居を打っていたのだった。財産などの乗っ取り、豪邸を支配するために自分のフィアンセを色仕掛けに使わせるバレットの企みなど異常だが、当時のイギリスの上流社会の中にあったと言われるゲイというのが背景にあるようだ。
そんなある日、バレットは妹ヴェラ(サラ・マイルズ)を呼び寄せたいとトニーに申し出た。トニーは承諾してヴェラがやって来るが、母親の急病でバレットが家に帰った晩、ヴェラとトニーはの二人は関係を持ってしまう。
しかし、妹といっていたヴェラは、実はバレットの婚約者で、お金のために、ひと芝居を打っていたのだった。財産などの乗っ取り、豪邸を支配するために自分のフィアンセを色仕掛けに使わせるバレットの企みなど異常だが、当時のイギリスの上流社会の中にあったと言われるゲイというのが背景にあるようだ。
直接的な映像や表現は皆無だが、映画では、トニーの寝室の壁に、ボディビルダーの男の写真が何枚も貼ってあった。男同士で、ボールのぶつけ合いなどの戯れるシーンがあり、男同士の”友情”の前には、ヴェラは、どちらの男とも関係を持ったが、ただの当て馬のような描かれ方で、男二人で、ヴェラは、悪い奴だと罵っていたのだが・・・。
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完璧な召使いとして振る舞うダーク・ボガードの抜け目なさそうな目の光、虎視眈々と何かを狙っている薄気味悪さ。
トニーとスーザンが留守にしていることをいいことに、勝手にバスルームでいちゃついたり、主人の入ってこない台所ではタバコ吸いながらダラーっとしたりのダーク・ボガード。
しかし、突然、トニーとスーザンが戻ってきて、妹と思われていたヴェラとバレットが、部屋で、いちゃついて大声で笑っている声を聞いてしまったトニーとスーザンの衝撃と言ったら・・・笑。下手なサスペンスより数十倍も面白い!
「二人とも出て行け」だったが、さらにどんでん返しが待っていたとは・・・。
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自分(バレット)のことを不信の目で見て、快く思わないスーザンが帰るときに、バレットは、スーザンに「下り坂ですね」という。”(トニーからも相手にされずに)落ち目だな”というのを言外に込めていたのだが、スーザンがドキッとすると、「天候です」と
さらりと交わして、後でニヤつくのだ。
電話のけたたましいベルの音(なぜか受話器を取らない)、水道の蛇口の水漏れの滴る音、なにか不気味さを漂わせる小道具も面白かった。
「召使」(めしつかい)ももはや死語の一つだろう。
「召使」(原題:The Servant)
製作:イギリス、1963年
監督:ジョゼフ・ロージー
モノクロ、110分。
受賞:
英国アカデミー賞撮影賞:ダグラス・スローカム
ナストロ・ダルジェント賞外国映画監督賞:ジョゼフ・ロージー
ノミネーション:
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞:ジョゼフ・ロージー
英国アカデミー賞最優秀イギリス映画
英国アカデミー賞作品賞
英国アカデミー賞 主演女優賞:サラ・マイルズ
映画の製作から5年も経って、日本で公開されたということは、地味で、テーマも日本では馴染みもなく受け入れにくかったのか。
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