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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「私は死にたくない」(原題: I Want to Live!、1958)を見る(再見)。

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私は死にたくない」(原題: I Want to Live!、1958)を見る(数十年ぶりに再見)。主演のスーザン・ヘイワードアカデミー主演女優賞を受賞した。

前科があったために殺人事件の犯人と決めつけられ、無実を叫びながらガス室送りとなった実在の女性死刑囚バーバラ・グレアムの手記をネルソン・ギディングとドン・マンキウィッツが脚色、ロバート・ワイズが演出した社会派ドラマ。冤罪や死刑制度に一石を投じている。

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タイトル・クレジットが現われると、タイトル文字がだんだん小さくなり消えていく。トランペットなどジャズバンドの音楽がかかるバーが映し出されるが、画面全体が斜めに傾いている。

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バーバラ・グレアム(スーザン・ヘイワード)はかつて売春をしていたが、結婚を期に足を洗った。数年後、子供を抱え夫の麻薬中毒と貧困に苦しんでいた彼女は、日銭を稼ぐため再び“商売”を始めてしまう。

ある日、カルフォルニア州バーバンクで独り身の老婦人が殺された。2ヵ月後、札付きの前科者エメットとジャックが逮捕される。2人とは知り合いで、一緒にいたバーバラもまた共犯の疑いで連行されてしまう。彼女にも売春や偽証の前科があったことから警察はバーバラを犯人と決めてかかる。

事件の夜、バーバラは夫と激しい口論をしていた。しかし、それを証明する夫は、その夜家を飛び出したきり行方知れず。バーバラは初めから“きっと犯人に違いない売春婦”と決め付けられた状態で逮捕され、警察の取り調べを受けることになる。結局、八方塞がりのまま公判を迎えることになる…。

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 女性看守から、囚人服を着るように要求されるが

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 おどけてみせるバーバラ。

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 記者たちに囲まれて・・・。

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死刑執行の見学者たちを見たくないとアイマスクをつけるバーバラ。

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ガス室で、椅子に固定させられるバーバラ。
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グレアムの無実を信じるエドモンゴメリー記者(サイモンオークランド)の目を通して、死刑制度の矛盾と冤罪の恐怖を鮮烈に描き出している。刑務所の中に、自身の刑期をを軽くするために、警察と取引をするものや、弁護士のふりをしてバーバラを犯人に仕立て上げようとするなどあくどい手口も見られ、裁判も理不尽なもの。

グレアムは、死刑になる前に神父に「私は殺してない」と耳打ちしていたが、裏切られ続けてきた中で、唯一エドワード・S・モンゴメリー記者に「信頼できるのはあなただけだ」という手紙が死刑執行の後に手渡される。映画の冒頭で、事実の基づくというエドワードの言葉が紹介されていた。

映画は、冒頭からジャズの音楽がかかり、全体がジャズっぽい雰囲気で展開する。またスクリーンの画面が斜めに映し出されるシーンが続き、不安を煽るような印象を与えている。

サイモン・オークランドといえば映画「ブリット」で、ブリット刑事(スティーブ・マックィーン)の上司を演じて印象に残る。

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この年はスーザン・ヘイワードがその熱演で、女優賞を総なめにしている。主な受賞は以下の通り。

■アカデミー主演女優賞:スーザン・ヘイワード

ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)スーザン・ヘイワード

ニューヨーク映画批評家協会賞 主演女優賞スーザン・ヘイワード

マール・デル・プラタ国際映画祭女優賞:スーザン・ヘイワード

英国アカデミー賞海外女優賞:スーザン・ヘイワード

アカデミー賞ノミネーション:

「監督賞」(ロバート・ワイズ)「脚色賞」(ネルドン・ギディング、ドン・マンキーウィッツ)「撮影賞」(白黒)(ライオネル・リンドン)「編集賞」:ウィリアム・ホーンベック「音響賞」ゴードン・ソーヤー。

ゴールデングローブ賞:作品賞 (ドラマ部門)、監督賞(ロバート・ワイズ

f:id:fpd:20210328204659p:plain 実在のバーバラ・グレアム。

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