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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「Wood Job!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」(2014)</span>



Wood Job!~神去(かむさり)なあなあ日常~」(2014)を見た。
「スウィング・ガールズ」「ロボジー」の矢口史靖監督が、三浦しをんのベストセラー小説を映画化した青春コメディ。”林業”という地味な、裏方とも言える分野の仕事をエンターテイメント青春映画に仕立てている。

染谷将太扮するダメダメな都会育ちの青年が、田舎の町での林業研修プログラムに参加した事で、町の人々とのふれあいを通して、一人前の男に成長していく姿がつづられる。伊藤英明が厳しい先輩、長澤まさみがヒロインを演じる。



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大学受験に失敗した平野勇気(染谷将太)は、自分の将来を決めきれないでいたが、1年浪人して大学へ行く気にもなれず、商店街の店先にあった求人案内に、口にかんでいたガムを吹きかけ、それが当たった職業を選ぼうとするような、投げやり的な人間だった。

ガムが当たったところが「自衛官募集」の案内で、「自衛官か」と少々がっくりしたが、張り付いたガムの勢いで、自衛官募集のパンフは下に落ちて、そこに現れたのは、かわいい女性の写真(長澤まさみ)の載っている「緑の研修生」というパンフレットだった。表紙には「森であなたと、働きたい」と微笑む美女に会えるかも知れないという動機で、1年間の林業研修プログラムに参加することになったのだが・・・。

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ローカル線を乗り継ぎ降り立った駅は、ケータイも、都会の常識も通じない山間奥地の神去(かむさり)村であった。駅についてみると、毒マムシがいたりする。

林業組合専務 (近藤芳正)の出迎えた車で移動すると、途中には、老人がたむろしていたり、立ちションをしている老人もいる。研修生を指導する「山猿」のように凶暴で野性的な先輩・飯田与喜(よき)(伊藤英明は、大木を切り倒すときに、勇気が「倒れるぞぉ~」と大声を上げたりするので、「チッ」と舌打ちしたり、手鼻をかんだりして不快感を態度に表す。

勇気は、過酷な林業の現場に耐え切れず逃げ出そうとするが、表紙の美女が神去村に住んでいることを知り、踏み止まる。

都会とは全く違った世界。村人たちは、研修生はどうせ研修が終われば、さっさと都会に戻るのだろうと、冷たい。林業研修は、過酷だったが、一年間の研修を終えた勇気は、新たな発見をするとともに、成長して、一回り大きくなったように見える。



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勇気の元カノが、大学のスローライフ研究会のメンバーとして神去村の中村林業を訪ねてきたが、そのグループの物見遊山的な観光気分で林業の現場を撮影したり、村人たちへの接し方も失礼極まりない態度に、勇気は、かつて自分がいた世界に大きな違和感を感じ、彼らに「帰れ」と叫ぶのだった。このシーンはいい。遠くで、これを見ていた先輩の飯田(伊藤英明)も、勇気に対する見方を変えることになる。


ラストのクライマックスは、山の神の奇祭・大山祇祭(オオヤマヅミサイ)。あのチャランポランな勇気が、ついに村人たちの祭りの一員として認められ参加することになる。




フンドシ姿の男たちが、命がけで挑む山の祭りだ。
ご神木・千年桧を切り倒す。解説によると、大木を巨大な男根の形に削り、それを滑り落とす木製レール、その先にワラで作った女陰が待っているというのを象徴するものという。勇太は、丸太の縄が足から外れずに、木の上に跨(またが)ったまま、インディ・ジョーンズの「トロッコ」のレールを走るように、転がり落ちていくのだが、これが迫力満点。下に到着すると、一躍ヒーローになってしまう勇気。


しかし、ついに1年間の研修を終え、村民との別れの時が来る。あの厳しかった飯田先輩の目に光るものが。飯田と勇気のハグ。仕事で間に合わなかったという、勇気が好意を寄せる石井直紀(長澤まさみ)は、バイクで、先回りして遠くの方にいた。

直紀がが手にしていたのは、勇気から借りていた手ぬぐいで、それを広げていた。
手ぬぐいの「愛羅武勇」(=アイ・ラブ・ユー)の文字が、勇気の目に飛び込んでくる。お互いに手を振り、何度も「さようなら」「さようなら」と繰り返す。



ここで終わりかと思ったら、やはりそうきたかというエンディングが待っていた。
実家に帰ったものの、近くの新築家屋の建設中の木の匂いを嗅いでしまうと、いてもたってもいられなくなった勇気。

勇気の両親が「あの子は遅いねぇ」と玄関を出ると、そこにはビンに入ったマムシがあった。

勇気は、希望と期待を持って、再び神去村に向かっていた。余韻を残すエンディングだった。これから、勇気には、どんな運命が待っているのか・・・。



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監督・脚本:矢口史靖
原作:三浦しをん
脚本協力:矢口純子
撮影:芦澤明子
美術:花谷秀文
編集:宮島竜治
音楽:野村卓史
主題歌:マイア・ヒラサワ
出演:染谷将太長澤まさみ伊藤英明、優香、西田尚美マキタスポーツ、有福正志、田中要次、山中敦史、小野敦子、升水柚希、佐藤和太、清野菜名古川雄輝、菅原大吉、広岡由里子、内村遥、坂本充広、青木健、永沼伊久也、工藤トシキ、柳喬之、真凛、風間亜季、川籠石駿平、森輝弥、村川裕樹、谷澤恵里香安東弘樹大吉洋平、石井亮次、服部義夫、石崎輝明、菅生翔平、小嶋健太、石橋真近藤芳正光石研柄本明

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大自然の映像も良かった。特に雪が溶けて、新緑に変わるシーン。
林業を営む人たちの「農業は、野菜、果物など結果がすぐに出るが、林業の結果が出るのは俺たちが死んでからだ」という言葉も響く。杉の木がセリにかけられるが、
1本80万円で落札。勇気が「全部売ったら、億万長者だね」というと、中村林業の中村清一社長(光石研)は「アホ!次の世代、またその次の世代に残すんや」という。

それにしても役者も、ふんどし一丁になったり大変だ(笑)。
伊藤英明は、ガタイががっしりして、”テルマエ・ロマエ”も演じられるほどだが、染谷将太は、若いが貧弱にみえた。


☆☆☆☆(1個はオマケ)

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