「嘘を愛する女」(2018)を見た。TSUTAYA主催の「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM (TCP)2015」でグランプリを獲得したオリジナルの原作を長澤まさみ、吉田剛太郎などの豪華キャストで映画化した。
新進気鋭のクリエイター発掘を目的としてTCPは素人からプロまでエントリー可能なプログラム。映画は、5年間暮らした事実婚の夫が、実は偽名であることがわかり、探偵と共に、手がかりを探り、過去に迫って行くラブミステリー・ロードムービー。
川原由加利(長澤まゆみ)は、大手飲料メーカーで前年には「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を受賞し「2年連続で受賞するのでは」とインタビューを受けるなどキャリアウーマンとして第一線を走りつつ、プライベートでは恋人である小出桔平(高橋一生)と同棲をしており、公私ともに充実した日々を送っていた。
しかし、ある日、警察がゆかりを訪ねてきて、桔平がくも膜下出血で倒れてしまい、病院に担ぎこまれたというのだ。病院を訪ねると、桔平は意識を失ったまま。警察が彼の身分証などを確認したところ、なんと身分証や職業はおろか、名前までもがこの世に存在しない「嘘」で固められていた。
海原の助手でコンピューターに詳しい木村(通称キム、DAIGO)が、パスワードを探し出し、ファイルを開けると700ページにも及ぶ小説の原稿を見つけた。その原稿の中には、幸せな家庭の姿と、桔平の人となりを示す足跡が記されていた・・・。
その間、桔平のことを”先生”と呼ぶ、ストーカーのような謎の女子大生・心葉(川栄李奈)が現れ、桔平と過ごした時間、自身の生活にさえ疑心暗鬼になる由加利。
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小説に登場する「夕方、マッチのようにマッチの見える灯台」を探し始めるなどロードムービーといってもいい映画。途中から探偵の海原も加わり、次第に現れだした手がかりを頼りに、時には衝突しながら二人はひたすら調査を続けていくと「警察が関与しているらしい」ということがわかる。
海原は長年のカンで「警察が絡むとだいたいろくなことにならないぞ」と由加利を諭すが、長い調査の中で桔平の愛が本物であったのかを確かめるため覚悟を決めた由加利は、桔平の過去の真相に触れていくのだが・・・。
長澤まさみは、会社の社長に対するプレゼンに寝坊して遅れるなどしても、本番のプレゼンには、自分を使ってくれるはずと、自信過剰なところもある。上司からは「勘違いも甚だしい」と一喝されてしまう。
桔平が寝たきりのところで、桔平の足取りをつかんで、桔平が眠っていても、一方的に話しかける長澤まさみの”ひとり芝居”は見どころだった。そして、桔平は・・・。
吉田剛太郎演じる海原は、由加利の親戚にあたる設定だが、料金などは「取れるところから取る」とお金にシビア。自身は、過去の妻の浮気を疑って、娘に対して、自分の子ではないのではないかと、離婚していた。元妻が鑑定書を持ってきて「99.99%」間違いないという事実を伝えてきた。その間、娘を外から眺めるために、帽子をかぶって、土手から元妻の家を覗いていたのだ。
高校生の娘が同級生の男と歩いてきたのを見かけたので「おっす!」と言って娘の前に現れる。同級生男は「誰、この人?」というと、娘が「99.99%お父さん」というところがおかしい(母親から、鑑定書付きで聞いていたのだろう)。父のことを「お父さん」とはじめて呼んだのだった。このあたりは、サイドストーリーだが味付けにはなっていた。
メイド喫茶から出てきたような風情で、探偵の海原に蹴りを入れるシーンは見どころ(笑)。ラストは、未来に明るさを取り戻したようなシーンで終わっている。高橋一生はつかみどころがなく(役柄からか)パッとしない。
瀬戸内海地域に、あれほど多くの灯台があるとは驚き。
全体的に、いまいちすっきりしない、もやもや感が残る印象だった。
過去に、桔平は、娘が風呂場で息を失ってしまい、妻は茫然自失。
その後、名前を変えて東京に出てくるのだが・・・。
由加利は、桔平についてだんだんとその過去が明らかになるときに、逡巡して、あきらめようとしたのか・・・。探偵のいらだちもわかる。
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音楽は、松たか子が主題曲「つなぐもの」を歌っている。
主な出演者:
川原由加利:長澤まさみ
小出桔平:高橋一生
海原匠:吉田鋼太郎
木村:DAIGO
心葉:川栄李奈
マサコ:黒木瞳
綾子:野波麻帆
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