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<span itemprop="headline">映画「社長行状記」(1966)</span>



森繁久彌の社長シリーズ”第24作”の「社長行状記」(1966)を見た。
同じ社長シリーズでも、毎回、業界も会社も違っているが、社長秘書や、営業部長などのほか、社長夫人、芸者などは、ほとんど同じ俳優・女優が演じている。



・・・
今回は、既製服メーカーが舞台。
既製服の大メーカー、栗原サンライズの社長・栗原弥一郎(森繁久彌)は、不況を克服するため、“サンライズ・バイタリティ”で立ち向かおうと意欲満々である。

営業部の不安をよそに、社長自から紳士服の積極販売にのりだしたが、競争会社の大阪衣料が、中部一帯に強力な販売網をもつ尾張屋デパートに喰い入り、サンライズの地盤をきりくずしにかかっていた。
 
これを知った弥一郎は、直ちに後藤常務(加東大介)、佐々営業部長(三木のり平)、小島秘書課長(小林桂樹)と共に名古屋に出かけて、強力な提携を結ぼうと尾張屋デパート社長・小田中(山茶花)を料亭に接待した。
 

だが名古屋芸者・一二三(ひふみ:池内淳子)は、小田中をそっちのけで、弥一郎にベタ惚れ、弥一郎もつい浮気の虫がはい出して、目尻を下げてしまった。
 
小田中は、自分が相手にされず面白くないので、宴会の途中で、「帰る」と言い出して、帰ってしまった。 
 
営業課長から、「一二三は、小田中の一番のお気に入りの芸者です」と告げられた栗原社長は「何だ、早くそう言ってくれれば」と悔やんだが後の祭りだった。
 
これで折角の親睦会食もおじゃんに。弥一郎も仕方なく大阪パンドラのマダム町子(新珠三千代)を訪ねた。だが町子は先客に口説かれている最中であった。
 
意気消沈した弥一郎だが、先客がフランス一流のファッションデザイナー・チオールの日本支配人・安中(フランキー堺)と聞いて、商売気がもりあがった。
 
世界一のデザイナー・チオールと技術提携して、漸新なファッションで販売網を獲得しようとしたのだ。一考を案じた弥一郎は、美人秘書・原田伸子(原恵子)を使って安中を口説こうとしむけた。すぐに電話をかけさせ、話し方も相手の気を引くように女っぽく、と指示した。
 
効果はてきめん、伸子に魅せられた安中は、チオール夫妻が来日するという朗報を伝えた。だが安中は、伸子に本気で結婚を迫まってきた。
 
伸子は困り果てた末、秘書課長小島(小林桂樹)を婚約者に仕立て、サービスにつとめる内、現われた小島の妻(司葉子)の手前、話はこじれて、安中にはばれてしまい大騒動となった。
 
そんな中で弥一郎は、チオール夫妻を迎えた。
特に佐々部長(三木のり平)は、名刺を出すと、「佐々と申します。さ、さ、どうぞ」と大ハッスル。夫妻の望むミキモト真珠島(パールアイランド)、二見ケ浦を中心に、即日大接待旅行へと向ったのだった。
 
・・・
このシリーズでは、物語のパターンはどれも似たり寄ったりで、変な外国人が登場する。香港人、華僑人(台湾人)だったりしたが、今回は、安中という、怪しいフランス語を話す人物をフランキー堺が演じて笑わせる。語尾に常に変なアクセントで「ございまあす」と付けるので、本人がいない時などは、「あのございます野郎」などと言われている。
 
安中は、無類の女好きで、本国の社長との”とりもち” をする条件として、弥一郎の美人秘書・原田伸子(原恵子)と二人で逢うための”とりもち”を要求してきた。「あのとりもちダメ(なら)、このとりもちダメ、ございます」というのだ。
 
12月に入り、栗原サンライズは、売り上げの低迷から資金繰りが悪化してきた。
大口取引先の社長(東野英治郎)から、月末には手形6,000万円の決済を督促されていた。あと1週間で6,000万円準備しないと倒産という事態に追い込まれた会社はいかに・・・。
 
栗原弥一郎自ら、全国を回って、売り上げの回収をするが、あと、どうしても2,500万円足りないので、尾張屋デパートの小田中社長に融資を頼みに行くが、断られてしまう。
 
一方、電車の中で、老婦人が倒れ、小島秘書課長(小林桂樹)が、病院へ運んで助けていたのだが、尾張屋デパートで、小島が、栗原社長と小田中社長の交渉が終わるのを待っている時に、件の老婦人(飯田蝶子)が現れた。老婦人が、「この間はありがとう。おかげで助かった。何をしているの」というので、事情を話すと、老婦人は小島を伴って、社長室へ。老婦人は、社長に向かって「2,500万円、融資しなさい」というのだった。この老婦人は、社長の母親で、会長だった。
 
栗原社長は「まさに、鶴の一声だったな」と喜び、栗原社長は、会社内で、集めた全金額6,000万円の現金を持って、大口取引先の社長(東野英治郎)のもとへ。
 
6,000万円を返し、手形は一旦決済し、あらためて「新規拡大のため、融資をお願いしたい」と申し出た。相手の社長も、現金が目の前にあっては「断れないな」とあらためて融資することになった。
 
元旦の日に、初日の出を眺める、清々しい栗原社長夫妻、小島夫妻の姿があった。
 
三木のり平は、お調子者の役がピッタリで、「岩間(岩と岩の間)からサンシャイン。
これがほんとの、イワマ・サンシャイン」などとダジャレを言っていた。
 
この映画の面白いところは、”森繁”社長が、仕事と遊び(芸者など)が好きだが、お気に入りの芸者とうまくいきそうなところで、かならず、邪魔が入り、うまくいかないところ。今回も、マダム町子(新珠三千代)をホテルまで呼び寄せ、町子は先に風呂に入ったあと、”森繁”社長を待っていたのだが、6,000万円のカバンをどこかに忘れたことに気がつき、「大変だ。これがなくなると・・・」と部屋を出て探しに。肩透かしを食った町子は、プンプン。
 
バーのカウンターでひとり飲んでいた秘書の小島に「カバンを知らないか」というと、「社長が、喫茶店で忘れたので、ちゃんと持っていますよ」だった。「あったか、良かった」と部屋に戻ると、町子は、「もういい。部屋を変えます」と出て行ってしまった。
 
小島は、「これがほんとのカバン持ちですから」などと酔いは冷めなかったようだ。
 
☆☆☆
 
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