fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「社長三代記」(1958)社長シリーズ第4作。</span>



森繁久彌主演の社長シリーズ第4作「社長三代記」〈1958)を見た。
「社長シリーズ」初のシネマスコープ作品であると共に、シリーズのメイン監督である松林宗恵が初めて関わった作品。本作から加東大介がレギュラーに加わった


このシリーズも比較的初期の段階なので、モノクロ。
ちょうど日本にテレビが普及し始めた時代だが、電機メーカーの二代目社長(森繁久彌)が、米国に出張する間だけ、社長代理になった加藤大が、亡くなった先代社長の夫人(会長)から見込まれて、社長代理、ひいては三代目社長になる話。

・・・
1960年前後のテレビ番組を知っている世代にとっては懐かしいトニー谷が出演している。1960年代にテレビで人気だった「アベック歌合戦」という番組に新婚夫婦が登場する歌番組で、トニー谷がそろばんを片手に「あなたのお名前、なんてーの?」と聞くのは流行語になった。

今回の映画では、トニー谷は宴会の席で、アメリカからのビジネスマンの通訳をしていたが、余興では、アメリカ・インディアンの真似をして、笑いをとっていた。

ストーリー:
福島電機工業は創立十周年を迎え、関西から初代社長未亡人ヨネ(三好栄子)と末娘トメ子(雪村いづみ)も列席して、折しも盛大な祝賀会が催されていた。

ヨネ未亡人の前に出ると、口も八丁、手も八丁の二代目社長啓太郎(森繁久彌)も子羊のよう。席上、トメ子が撮影した8ミリ映画が映写された。

先代にドナられてペコペコしている啓太郎の惨めな恰好が写し出され、見入る社員達は笑いをこらえるのに苦労するといった有様。

そんな中にあって、大場営業部長(加東大介)だけは、先代の姿が出て来ると、こみ上げる涙を押さえることが出来ないといった態である。その様子は、ヨネ未亡人をいたく感激させてしまった。

さて、啓太郎は技術提携のため近々渡米する予定である。
留守居をさせる厚子夫人(久慈あさみ)のために、彼は休日の一日位は同伴で買物に出掛けねばならない。

彼はこの役を秘書課長の長谷川(小林桂樹)に命じた。そして自分は止むを得ぬゴルフの大会があると偽って新橋芸者・梅千代(扇千景)のもとへはせ参じた。

と、その日の昼下り、二組の男女連れは街頭でバッタリ鉢合せ。
梅千代の買物包を持たされた啓太郎は、とっさの機転に厚子夫人に向い、ゴルフの賞品だといってゴマかした。

彼はにわかに方向転換して夫人の後に従い一路帰宅。
さてこんな具合でともかくも啓太郎は、無事羽田を出発し米国に向った。
留守中の社長代理には、祝賀会で泣いていた純情な営業部長大場が、ヨネ未亡人のお目がねにかなった。

途端に秘書課長も手持無沙汰になってしまった。社外の雑用から一切解放されたからである。そこで彼は同じ課にいる後輩・松村(太刀川寛)のために一肌脱ぐことになった。

松村は大場の娘・春枝(団令子)と恋仲なのである。長谷川は大場の機嫌が良い時を狙って切り出そうと思っていたが、あいにく大場は流感で倒れた。

そこへ啓太郎が帰って来た。彼の目的が達せられたので、今宵は祝賀パーティ。
その席で、酔った啓太郎があられもない姿で女装踊りをやったのである。
トメ子がこの撮影の好材料を見逃そうはずがない。

そのフィルムはヨネ未亡人の許で映写され、彼女の激怒を買ってしまった。
啓太郎はニューヨーク支店長にされ、大場が正式に三代目社長に就任するということになったのである(MovieWalker)。

・・・
シリーズのストーリーは、いつも同じパターン。恐妻家の社長(森繁)が、出張や海外旅行にかこつけて、妻の目を盗んで、お目当てのバーのマダムといちゃつこうとすると必ず邪魔が入りがっくりというのだが、三代目の社長(加藤大)は超がつく堅物で、質実剛健がモットー。営業部長(三木のり平)の宴会好きも、接待を設けるのがやりにくそう。

社長秘書(小林桂樹)は、独身で母親と暮らしているが、後輩が居候をしている。
靴磨きを後輩にあのんだり、食事中に、目の前で新聞を半分折って読めるように広げてもらうのだった。

小林桂樹が母親に向かって「栃錦は?」と聞くと「勝ったよ」。「若(=初代若乃花)は?」というと「勝った」。当時の相撲の横綱力士の名前が出てくる。

後輩に「クツを磨いておいてくれ」というと「苦痛だなぁ」といった下手な洒落を飛ばす松村だが、三代目社長の娘・春枝と結婚の約束をしている。

春枝に松村は、「収入が」と結婚をためらっていることを伝えると、「手取り15,000円あれば生活できる」だった。「ボーナスを含めると、それくらいになるかな」だった。

この松村が、三代目佐長の家を訪ねると、社長から「畑を手伝ってくれ」と言われたので、「喜んで」だったが、なんと、便所の排出物を畑に肥やしとしてまく、というものだった!これはさすがに「臭い」だろう。田舎の方では、50年以上も前には、そのようなことがあったのだが・・・。

社長宅には、まだ小学校の低学年の子供が二人いて、「友達の家でもテレビを皆、持っているから買って」ごいうのだが、贅沢はいかん、というのだが。さすがに奥さんは、「仮にも社長ですから、テレビは50,000円で買えるし、10,000円の頭金であとは月賦にすれば」というのだった。そんな時代背景も面白い。

・・・
アメリカの提携予定先の社長夫妻を料亭に接待した時に、森繁と三木のり平が「三池炭鉱」の歌をバックに余興で踊ったのだが、アメリカの社長夫人は、野蛮人がいる会社は品が無いと、席を立ってしまい、一足先に帰国した。

ところが、アメリカ人社長は、芸者の中に「うさぎ(ラビット)」(笹るみ子)という源氏名で英語が話せる女性がいたことから、翌日の提携の調印式で、「もう一泊して、料亭に行って”ラビット”を呼んで欲しい」というのだった。

シリーズも中盤以降は、洗練されて(カラー総天然色)面白かったが、まだまだ、4作目では、内容面でも、今ひとつという印象だった。ただ、三木のり平だけは、顔と動きを見ているだけで面白かった。女優陣では、扇千景司葉子団令子越路吹雪雪村いづみなどが出演している。

★★


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:ついでにクリック・ポン♪。