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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「敵」(吉田大八監督、2024)を見る。長塚京三主演。東京国際映画祭”3冠”(グランプリ・監督賞・男優賞)受賞作品。

      

映画「」(2024)をMOVIXさいたまにて見る。原作は筒井康隆の同名小説。妻に先立たれた老齢の男性が、自らの「Xデー」(預金残高に見合った死)を決めたが、そこにパソコンに不穏なメッセージを受け取ることで徐々に狂っていく様子を現実と妄想・虚構を織り交ぜて描いている。全編モノクロ。

第37回東京国際映画祭「東京グランプリ」「最優秀男優賞」「最優秀監督賞」の3冠受賞。監督は「桐島、部活やめるってよ」などの吉田大八

主演の長塚京三が、自然体でリアル。「パーフェクトデイズ」で役所広司が日本映画の賞レースで主演男優賞を受賞したが、長塚京三は、それに勝るとも劣らない演技を見せていて、記憶に残る。

 

【あらすじ】

渡辺儀助(長塚京三)、77歳。

大学を辞して10年、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。20年前に妻・信子(黒沢あすか)に先立たれ、都内の山の手にある実家の古民家で一人慎ましく暮らしている。

講演や執筆で僅かな収入を得ながら、預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。収入に見合わない長生きをするよりも、終わりを知ることで、生活にハリが出ると考えている



毎日の料理を自分でつくり、晩酌を楽しむ。朝起きる時間、食事の内容、食材の買い出し、使う食器、お金の使い方、書斎に並ぶ書籍、文房具一つに至るまでこだわり、丹念に扱う。。

規則正しい生活は朝の一日から始まる。朝のルーティーンは、高級ハムで朝食。杜仲茶をお茶漬けにして食す。歯を磨き、洗濯をして、食器を洗う。その後、家の中の掃除を行う。コーヒー豆を焙煎。

夜は行きつけのバーである「夜間飛行」で晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を自宅に招いてディナーを振る舞う。

預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。

麺類を好み、そばを好んで食す。たまに辛い冷麺を作り、お腹を壊して病院で辛く恥ずかしい思いもする。食後には豆を挽いて珈琲を飲む。食間に飲むことは稀である。

使い切ることもできない量の贈答品の石鹸をトランクに溜め込み、物置に放置している。

親族や友人たちとは疎遠になったが、元教え子の椛島松尾諭)は儀助の家に来て傷んだ箇所の修理なども手伝ってくれるし、時に同じく元教え子の鷹司靖子(瀧内公美)を招いてディナーを振る舞う。

後輩が教えてくれたバー「夜間飛行」でデザイナーの湯島(松尾貴史)と酒を飲む。そこで出会ったフランス文学を専攻する大学生・菅井歩美(河合優)に会うためでもある。

できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、異性の前では傷つくことのないようになるだけ格好つけて振る舞い、密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。 遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。

だがそんなある日、書斎のiMacの画面に「北のほうから敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。

いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始める。やがて夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢(虚構)なのか現実なのか分からなくなってくる

「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。
自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは――。

・・・

老後の毎日の生活は規則正しく、かの「PERFECT DAYS」の平山(役所広司)を連想させる。

ただ、夢(虚構)と現実の境目が分からなくなり、徐々に平常心を失っていき、自殺を試みたりする。双眼鏡のエピソード(ヒッチコックの」「裏窓」)や、内視鏡の女医との会話(「恥ずかしいですか?」)などコメデイ的な様相も見られる。

死んだ妻が虚構の中で「パリに一度も連れて行ってくれなかった」と恨み節を言うと「会話には自信がなかった、でも一緒に行くべきだった」と告白しているところも妻への後悔が伝わってくる。

前半は、グルメ映画かと思うほど、主人公が作る食事がおいしそう。後半は一転して、階段から不気味な?が登場したり、戦争映画かと思うような銃撃が聞こえたり、現実と空想(虚構)が入り混じる展開。

ラストは、はっとさせて終わる。

 www.youtube.com

【キャスト】

■渡辺儀助:長塚京三

77歳、元大学教授(フランス文学)。妻に先立たれて20年間が経つ中、講演や執筆でわずかな収入を得ながら、自ら定めた“Xデー(来たるべき日)”に向けて淡々と余生を生きる。人間関係も整理し、遺言書を書き終え、預貯金があと何年持つか、自分自身があと何年生きられるかを計算しながら管理された日々を送っていたが。

■信子…黒沢あすか

儀助の妻。亡くなってなお儀助の心を支配している。

■鷹司靖子…瀧内公美

儀助の大学の教え子。清楚にして妖艶な魅力を持っている。

■菅井歩美…河合優

バーで出会ったフランス文学を学んでいるという大学生で、バーのオーナーの姪という。

椛島松尾諭

儀助の教え子の一人。家の傷んだ個所の修繕や、井戸の改修などを手伝う。

■湯島:松尾貴史

友人の一人でデザイナーの飲み仲間。

 

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