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<span itemprop="headline">映画「理由」(2004):宮部みゆき原作、大林宣彦監督。</span>



宮部みゆき直木賞受賞作が原作の映画「理由」(2004)を見た。

原作に惚れ込んで「誰も見たことのない映画を作る」として映画化したのは大林宣彦監督。マンションの住人4人が死亡した事件について、107人もの登場人物が、それぞれの主観で語り、事件の真相を探るというドキュメンタリータッチの映画である。

人間の記憶、思い込み、曖昧さ、勝手な想像、主観などが取り込まれると、矛盾が多く出てくるが、果たして・・・というミステリー。原作は、190万部を売り上げたベストセラー。

100人以上の証言で語られる事件の映画化は、不可能と言われていたようだが、大林監督は、「原作通りに忠実に映像化した」と、DVDの付録特典映像の”「理由」を撮った理由”で語っている。

この映画を見ていると、何が何だかわからなくなるほど、複雑に入り組んでいて苛立ちすら覚える。大林監督は、「映画は、リアリティだけじゃない。ウソの技を重ね、”根も葉もある”ウソごとである」と語る。

登場する女性など、女優は古手川祐子を始め、登場人物はすべてノーメイクでの撮影したたという。最初、古手川と分からなかった(笑)。また、映画にも登場する永六輔などは、本来言葉を操るのが商売のはずだが「台本がなければ自由に話せるのに」と不満げなことを語っている。

大林監督によると、通常、映画1本の台本は150ページほどだというが、「理由」は、
250ページに及んだという。このページだと映画は4-5時間になるというが、2時間半にまとめたという。見ている側は、2時間半でも長く感じたが。台本には、アングルを変えての撮影のため、複数のカメラの位置や、説明書きがぎっしり。

たった一滴の涙がサンダルに落ちるシーンのためのこだわりなど、ワンカットを撮るための準備にも驚く。インディペンデント(独立系)映画製作を貫く大林監督によれば、(大手できない)実験的な冒険ができるという。32日間で撮影を終えたというが、監督自身、この映画は最初から「賛否両論が出る」と見ていたようだが・・・。それだけ話題になるだろうという自信か。

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大林監督の映画ではお決まりの、映画の舞台となる背景などがテロップで紹介される。この映画でも、舞台となる東京の下町の荒川区などの古くからのこれまでの歴史が紹介される。あまり垢抜けない(?)ややゴミゴミした終戦直後のようなイメージのある街を映し出すためか画面は鮮明ではなく荒っぽい画面が続く。

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1996年6月2日、東京23区に大雨洪水警報が発令された夜。
荒川区の超高級マンション”ヴァンダール千住北ニューシティー“2025号室で殺人事件が発生した。

住人台帳によると、殺されたのは小糸家の一家4人――の筈だったが、その後の捜査で彼らは全くの別人で、しかも家族を装った占有屋であったことが判明する。(注:占有屋というのは、競売物件を落札した人間に対して居座りながら膨大な立ち退き料を要求する人のこと。善意の第三者を装って不動産競売物件に居座る場合や、暴力団等を背景に示威によって行う場合がある。Wikiより)

やがて、容疑者としてその部屋を競売によって購入していた石田直澄の名が挙がった。しかし3カ月後、ようやく出頭した彼の供述により、犯人は殺害された占有屋のひとりで、不幸な生い立ちの青年・八代祐司の凶行だったことが明らかになる。

では、八代を殺したのは誰なのか?実は、事件現場の目撃者である石田の他にもうひとり、そこに居合わせた人物があったのだ。石田が出頭を躊躇っていたのも、その人物をかばうためだったのである。

それは――八代の恋人で彼との子供を出産したばかりの宝井綾子(伊藤歩)だった。犯行を目撃した彼女は、八代に襲撃され彼と揉み合ううちに、彼をベランダから突き落としてしまったのだ・・・。様々な人たちの証言を通して、全容が浮かび上がった事件。後に、それは女性作家によって出版され、更に映画化されるに至る。

・・・
バラバラだったピースが、最終的にまとまって全体像が浮かび上がっていく。
事件に関わりのありそうな同じマンションの住人などの証言は、カメラ(警察の事情聴取)向かって語られながら、進められる。中でも、ヴァンダール千住北ニューシティー管理人・佐野利明(岸部一徳)が、案内人のように最初から最後まで登場する。

映画の出演者のクレジットは、普通は、主演俳優から順番に紹介され、脇役へと移っていくが、この映画では、登場順にずらりとテロップで紹介されていく。その数
100人以上。大林組の映画が10本も撮れそうな俳優・女優の数だという。

無名時代の女優も出演している。
中学生役だった多部未華子は、この映画がデビュー作で、現在は、ドラマ「ドS刑事」で主演を務めるほどの人気女優の一人だ。宮崎あおいは、まだ現在のような人気女優になる前だった。亡くなった立川談志も出演している。

主な出演者:
交番の石川巡査長:村田雄浩
片倉信子:寺島咲
ヴァンダール千住北ニューシティー管理人 佐野利明:岸部一徳
1225号室住人 佐藤義男:大和田伸也
管理人佐野の妻 佐野なおこ:小林かおり
2024号室住人 葛西美枝子:久本雅美
佐藤の妻 佐藤秋江:松田美由紀
はましま学習教室経営者 小糸貴子:赤座美代子
小糸信治:山田辰夫
小糸信治の妻 小糸静子:風吹ジュン
警察庁捜査一課警部 田嶋稔:渡辺裕之
片倉ハウス住人 片倉義文:柄本明
義文の妻 片倉幸恵:渡辺えり
義文の長男 片倉春樹:真鍋卓也
義文の母 片倉たえ子:菅井きん
パークハウジング マンション事業部部長 井出康文:長沢純
エストタワー理事長:石上三登志
2026号室住人 北畠敦子:小林聡美
砂川里子と呼ばれた女 秋吉勝子:古手川祐子
砂川トメと呼ばれた女 三田ハツエ:利根はる恵
砂川信夫:綾田俊樹
八代祐司:加瀬亮
篠田いずみ:多部未華子
宝井綾子の母 宝井敏子:左時枝
綾子の弟 宝井康隆:細山田隆人
綾子の父 宝井睦夫:ベンガル
宝井綾子:伊藤歩
綾子の祖父 宝井辰雄:立川談志
石田直澄の母 石田キヌ江:南田洋子
「一起不動産」社長 早川一起:石橋蓮司
「あきら玩具」元店主 Aさん:麿赤兒
Aさんの妻:東郷晴子
占有屋の若い男:柳沢慎吾
占有屋の若い女島崎和歌子
石田直澄の弁護士 戸村六郎:小林稔
事務局の女性:高橋かおり
石田直澄:勝野洋
石田直澄の長男 石田直己:宮崎将
石田直澄の長女 石田由香里:宮崎あおい
由香里の友人:花澤香菜 フラワーロード」の店主 有吉房雄:永六輔
石田直澄の父 石田直隆:片岡鶴太郎
砂川里子:根岸季衣
「あしべ」の客:山本晋也
有料老人ホーム「あすか園」職員 皆川康子:角替和枝
イーストタワーの住人 B子:裕木奈江
すれ違うおばさん:大山のぶ代
ほか。


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