映画「恋のロンドン狂騒曲」予告編
「恋のロンドン狂騒曲」(原題: YOU WILL MEET A TALL DARK STRANGER) は、
この映画は、脚本のよさ、俳優の豪華さ、ウイット、風刺、皮肉、諧謔(かいぎゃく)、人間の弱さ、愛おしさといった感情などが交錯して、とにかく面白い。”見ないと損”という映画だ(笑)。
「おとなのけんか」「最強のふたり」といった地味だが味わいのある映画に出くわすと、得をした気分になる。アクション、サスペンスといった派手な映画もいいが、風刺が効いて、人生の機微や本質を描いて味わいのあるアレン作品を少し追いかけたくなった(笑)。
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ウディ・アレン監督の作品は、初期のころの監督・主演の「ボギー!俺も男だ」(1973)で、風采の上がらない外見で、ハンフリー・ボガートに憧れる男をギャグも交えてコミカルに演じていたのが印象に残るが、その後「スリーパー」「カメレオンマン」などは、あまりにも漫画チックになり、ついていけなくなっていた。ニューヨークの作品が多かったが、「それでも恋するバルセロナ」(2008)で、ヨーロッパ(スペイン)を舞台にした作品で、面白さを再認識した。
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「恋のロンドン狂騒曲」は、離婚した老夫婦と、危機的状況にあるその娘夫婦の2組のカップルを軸に、いい大人たちが恋の幻想に振り回される様子をユーモアたっぷりに描き出している。映画人にとって、ウディ・アレンは、出たい俳優・女優が多いのか「恋の~」には、名優アンソニー・ホプキンスまで出演している。
あらすじ:
アルフィ(アンソニー・ホプキンス)とヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)は長年連れ添ってきたが、結婚40年目にして破局を迎える。あまりのことにひどく動揺したヘレナは自殺未遂を起こし、一人娘サリー(ナオミ・ワッツ)は困惑する。
だが、実はサリー自身も売れない小説家の夫ロイ(ジョシュ・ブローリン)との間に問題を抱えていた・・・。
アルフィは、長年連れ添った妻ヘレナを棄てて、若いコールガールと結婚。 娘には、女優と紹介するのだが、ほんのわき役程度しか出演したことがなく、アルフィにコールガールがくっついたのは、明らかに財産目当て。その女は、高い買い物をし、
アルフィが株で大損をすると、さっさと別の若い男のもとに走ってしまう。
娘のサリー(ナオミ・ワッツ)の夫ロイ(ジョシュ・ブローリン)は一発屋の作家で、スランプの果てに、交通事故に遭った友人の原稿を自作と偽って発表、大絶賛を浴びる。死んだと思った友人が実は生きていて、死んだのは別人だった・・・。
若い男に新妻を寝取られて激昂するアルフィと才能の枯渇で常軌を逸した所業に出るロイのエピソードには、荘重な悲劇へと変貌する危うさ、ノワール的な雰囲気がある。
ヘレナとサリーの母娘の考え方の違い、一歩も譲らない自己主張の言葉の応酬が面白い。占いを信じきっているヘレナ。サリーが、新しい事業のため、以前から母親のヘレナから資金を借りる約束をしていたのだが、占い師の言葉で「お金は貸さないほうがいい」の一言に固執、貸さないといったものだから、サリーも、「インチキ、詐欺師に騙されている」とカッカとなる。このあたりはナオミ・ワッツの肩を持ちたくなる(笑)。
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最近のウディ・アレンの映画の特徴は、登場人物に品があること、アレンの願望でもあるのか、アレン好みの美人女優をよく起用しているようだ(かつてのヒッチコックのように)。これまで、ダイアン・キートン、ミア・ファロー、スカーレット・ヨハンソンなどを多く出演させている。この映画では、ナオミ・ワッツや、あの「スラムドッグ$ミリオネア」の若いラティカを演じたフリーダ・ピントーも。「スラム~」かっら2年しか経っていないピントーだが、魅力的な女性になっていた。
ルーシー・パンチの演じたコールガール役は当初は、ニコールキッドマンの予定だったとか。キッドマンの別の映画のスケジュールで合わなかったためだ。
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ウディ・アレンは1935年12月1日生まれの77歳だが、10代のころからコメディのギャグ作りに熱中。大学を中退して、22歳でギャグ・マンとして売れっ子になった。映画デビューは「何かいいことないか子猫ちゃん」(1965)で、俳優・脚本・ギャグを兼務した。30歳くらいで薄い髪、ド近眼、小男という外見を逆手にとって連発するギャグの面白さが認められ、一躍注目されるようになった。
この映画の後の4作品:
「ミッドナイト・イン・パリ」 Midnight in Paris(2011年) - 脚本、監督
「映画と恋とウディ・アレン」 Woody Allen: A Documentary(2011年) - 出演
「ローマでアモーレ」 To Rome with Love(2012年) - 脚本、監督、出演
「ブルー・ジャスミン(原題)」 Blue Jasmine(2013年) -脚本、監督
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