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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">監督:シドニー・ルメット追悼①(「質屋」)</span>

 

まぎれもない巨匠の一人、シドニー・ルメット監督が亡くなったことで、「追悼記事」が目立つ。代表作を、何本か紹介し、偲びたい。
 
衝撃のデビュー作「十二人の怒れる男」は、毎月見ている人もいるようなので、ほかの人に譲ります。
 

映画「質屋」(1966)は、1971年2月4日テアトル新宿という劇場で見た(料金150円)。
この映画館は、2番館(ロードショー公開から半年後くらいに、ほかの映画と組み合わせて2本立て、3本立てで上映)で「3本立て」だった。いまから思うと3本立てで150円は安い。ロードショーの料金は、「学割」(大学生)で450円だった。
 
その3本は「質屋」(1966)「戦艦ポチョムキン」(1925)「十月」(1928)だった。ポチョムキン」と「十月」は、セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督だが、「十月」は、”まあいいか”と見なかった(「十月」は、ソビエト革命10周年記念映画で、1917年のロシア革命の激動を描いたものだったが・・・)。
 
映画の感想も含めた古い手帳が残っていたので、「質屋」の感想メモをみると、ただ一言・・・。
 
感想:「ロッド・スタイガーがすごい。圧巻だ。」
(fpdも若い。感想もかんたん)
 
ロッド・スタイガーは、そのころ何本か映画を見ていた。
 
ナポレオンに扮した「ワーテルロー」。これはよく似あっていた。
 
アカデミー賞主演男優賞を受賞した「夜の大捜査線」。これは、南部の警察署長だが、黒人に対する人種偏見の持ち主で、ガムをくしゃくしゃ噛みながらも、気に食わない黒人警部、バージル・チップス(シドニー・ポワチエ)に、最後は「元気でな」と
声をかけるところなど、ジーンとくる名シーンだった(この映画は、大のお気に入り)。
 
ところで、今では国内では「質屋」は、(質)というマークで、あまり見かけなくなった。
 
質流れという言葉があるように、「質屋」は、もともとお金を借りるために、お金になりそうな高級品などを持ち込んで現金を借り、期限が来たら、元金と利息を添えて現品を引き取るものだった。ところが、それを引き取る余裕などあるはずもなく、現金化するために、持っているものを売るというようになってきた。
 
いまでは形を変えて、中古品店、書籍、DVDなどのブック○フ、「金券ショップ」「ディスカウント・ショップ」「大黒○」などがその流れをくんでいる。
 
台湾で、あちこちに(當)(当の旧字体)という看板をよく目にしたので、台湾の友人に聞いたら、あれは「質屋」だよという返事だった。
 
質屋=金貸しということで、「罪と罰」では、高利貸しのばあさんは、人を苦しめるだけの虫けら同然だから、生きている価値はないという理由で、殺してしまうラスコーリ二コフ青年の話。日本でも高利貸しというのは形を変えて存在し、”トイチ”(10日間で1割の利息)などのヤミ金融がある。規制が強化され、無くなってはきているようだ。
 
「質屋」は、ストーリーを簡単にいえば、ユダヤ人であるがために、家族を殺された元大学教授が、人間不信に陥り、信じられるのは「お金」だけと「質屋」を始めるが、孤独な老人も、ある女性との出会いをとおして、他人とのつながりや、人間性に目覚めていく、というもの。ロッド・スタイガーがこんなにすごい俳優だったかと認識した映画だった。
 
ルメット監督の代表作の1本に違いない。
 
この音楽を担当しているのが、クインシー・ジョーンズで、心地よい音楽を提供している。映画は、どんよりしたやや重い映画だが、音楽で救われる。
 
Gooからのあらすじ(引用):
 
ソル・ナザーマン(ロッド・スタイガー)はニューヨークの貧民街で質屋を営んでいる。かつてポーランドで大学教授だったが一家は大戦中ナチの強制収容所に入れられ、言語に絶する苦しみの中で妻子は殺された。
 
今は、妻の妹や、その家族と一緒に何不自由なく暮らしていたが、心はいつも孤独だった。死んだような彼の店に毎朝、生気を吹きこむのは助手のジーザス(ハイメイ・サンチェス)だ。
 
プエルト・リコ生まれの元気な若者で、ゆくゆくは質屋経営をしたいと考えている。ところでソルのスポンサーは自称紳士のロドリゲス。実は彼はスラム街のボスで質屋の店は彼の隠れみのだった。
 
ある日ソルの店に毛色の変わった訪問者があった。マリリンという女性の社会福祉事業家だ。ソルにも仕事に一役買ってもらおうと説得に来たのだが彼は拒絶した。だが彼女には心ひかれた。しかし彼女とかかわり合いになることは世の煩わしさに巻き込まれることだ。彼は恐れた。
 
一方助手のジーザスは街で知り合った3人のチンピラにそそのかされ、自分の勤める店に強盗に入るはめになった。というのは彼自身も金が欲しかったし、尊敬するソルの「世の中、金がすべてだ」という言葉に深い驚きと絶望を感じたからだ。その日は、ロドリゲスから金の届く日だ。
 
一方ジーザスの恋人メイベルは、この計画を知り、ジーザスの身を救うため1人でソルを訪れた。愛する男のために体で金を作ろうとしたのだ。だが目の前に投げ出された彼女の体から、ソルが感じとったのは、かつて妻が、彼の目の前でナチの犯されたいまわしい記憶だった。そして、その夜強盗が行われた。だが、その夜に限ってソルは金庫を開けなかった。
 
しびれをきらした3人組はジーザスの合図を待たずに店に押し入り、ソルを脅迫。彼が拒むと、3人組はピストルを発射した。とっさにジーザスはソルをかばい、彼の身代わりになって死んだ。この事件は、ソルのかたくなな心を溶かした。彼は収容所以来、初めて人間を信頼する気持ちになった。
 
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