「博士の愛した数式」(2005)は、数学、数式などに苦手意識があるので、という理由もあるが、少し固いのではという印象があって見逃していたが、BSできょう放送されていたので見た。
寺尾聰は、かつて「ルビーの指輪」の歌手のイメージが強いが、黒澤明作品(「乱」「夢」)や、「半落ち」「亡国のイージス」などを見ているが、ひょうひょうとした中にも、あじわいがある。記憶喪失の役柄だが、家政婦の深津絵里との交流がうまく描かれていた。
何気なく周りに存在する数の不思議について博士は説明するが、興味深い点も多かった。数字は、人間同士の絆や生きる喜びさえも伝えてくれるという。
家政婦の靴のサイズを「24」と聞いて、「潔い数字だ」と微笑む博士。
そんなやりとりから、この物語に込められたユーモアや、温かな人間の姿が見られる。
数字の中にいろいろ隠されているものがあること。
素数、完数、ルート、いろいろな数式が出てくるが、淡々としたドラマのなかにも、人間讃歌のような雰囲気が伝わる。深津絵里は、「踊る大捜査線」などでレギュラーで出演しているが、昨年の「悪人」では、印象に残る名演技を残した。
☆☆☆