「アイガー・サンクション」(1975)は、クリント・イーストウッド監督・主演の「魔の山」
アイガーの岸壁への挑戦を描いた。誰が敵かわからない”アイガーのサンクション(=制裁)”
を目指して、制裁を引き受けた元・殺し屋の戦いぶり。1976年に「渋谷全線座」で見た。
2度までもアイガーの岩壁に挑み、2度とも失敗している経験を持つ
ジョナサン・ヘムロック(クリント・イーストウッド)。
今は登山家を断念し山小屋風の家に住んで絵の教師として静かに暮していた。
ヘムロックは、かつてプロの殺し屋として国際的に活躍した男で、
美術マニアとしても知られていた。
稼いだ金の殆どを名画蒐集につぎ込んでいたが、かなりのコレクションが完成した現在、
危ない橋を渡って金を稼ぐ必要がなくなり、殺し屋稼業からも足を洗っていたのだった。
そんな彼のもとにCIAのチーフの使者が訪れ、「仕事=制裁(サンクション)」を依頼してきた。
足を洗った彼を今一度仕事に引戻すために、CIAチーフは、ヘムロックが断われない「えさ」を
用意していたのだった・・・。
映画は、チームを組んでの「アイガー登はん」の怖さと迫力が見ものだった。
悪天候、猛烈な吹雪が容赦なくチーム4人を襲う。
目指す標的は、「旧友」だったということがわかるラストシーン。
自然の脅威を見せ付ける映画で、イーストウッドの映画への執念が
感じられた。俳優だけでなく、監督としても、着実に階段を昇っていった
イーストウッドだった。