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映画「殺人狂時代」 (1967)を見る。モノクロの日本映画。岡本喜八監督、仲代達矢主演。

日本映画「殺人狂時代」 (1967)を見る。モノクロの日本映画。岡本喜八監督、仲代達矢主演。公開にあたり、いったんはお蔵入りになるも翌年公開されて、大コケになった作品。ハチャメチャ、ドタバタコメディながらブラックが効いて見どころはある。

チャップリンの殺人狂時代」をもじったタイトルかと思ったら、実際に、ヒトラーの映像も出て、ナチス時代の残党といった人物も登場する。1940年代、ある宝石をある場所に隠したのだが、それを探しだすことも残党の目的だったが、それよりも「殺人」こそ最上の喜びとする狂った人物を描いている。

 天本英世の怪優ぶりも印象的

全体にコミカルな映画で、かなり遊び、ドタバタのおふざけのシーンも多い。銃撃戦や大砲が登場するなど、いかにも岡本喜八といった映画。

ブラックな殺しの場面にも明るいカンツォーネを流すなどのロマンティック・スリラーの趣向。このカンツォーネの曲は「天国と地獄」でも、仲代達矢扮する戸倉警部が犯人を追い詰めるときにもかかっていた。

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精神病院を経営する溝呂木省吾(天本英世)のもとへ、かつてナチスで同志だったブルッケンマイヤーが訪れる。彼の所属する秘密結社は溝呂木の組織する「大日本人口調節審議会」への仕事依頼を検討しているという。

「審議会」は人口調節のために無駄と判断した人間を秘密裡に殺すことを目的としており、溝呂木は入院患者たちを殺人狂の殺し屋に仕立て上げていたのだ。

ブルッケンマイヤーは仕事依頼へのテストとして電話帳から無作為に選出した3人の殺害を要求した。殺害対象の1人として指名されたのは犯罪心理学の大学講師 ・桔梗信治(ききょう しんじ、仲代達矢)。

桔梗は水虫に悩む冴えない中年男だ。桔梗は自宅アパートで「審議会」の刺客である間淵という男に命を狙われるが、偶然にも返り討ちにしてしまう。警察にこの件を届けた桔梗だが、部屋に戻ると間淵の死体は消えていた。

桔梗はたまたま知り合ったミステリー記者の鶴巻啓子(団令子)、車泥棒の大友ビル(砂塚秀夫)と共に、桔梗を狙う「審議会」の刺客達と対決することとなる。

一方、ブルッケンマイヤーの言動に不審を抱いた溝呂木は彼を拷問し、目的が桔梗1人であること、その背景には大戦中に紛失したダイヤモンド「クレオパトラの涙」が絡んでいることを探り出す。

命を狙われる桔梗は、幸運に恵まれて次々刺客を返り討ちにするが、啓子が溝呂木に捕らわれてしまう。啓子を救出する決意を固め、命懸けの闘いをする桔梗とビル。その桔梗の前に遂に溝呂木が現れ、驚くべき事実を告げる。

8歳の頃、少年使節としてナチスの支配するドイツへ渡った桔梗は、滞在中に負傷した肩にダイヤを縫い込まれていたのだ。啓子が捕らわれる病院に同行した桔梗は、溝呂木との一対一の決闘に挑む。

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初公開時は大コケも、のちにカルト的人気に
当初は日活で映画化されていた企画だったが、諸般の事情でボツとなり、権利を東宝が買い取った。岡本監督がシナリオに手直しを加えた上で1966年に製作・完成。

しかし、東宝上層部の判断で公開直前でお蔵入りとなり、翌年にとくに宣伝もされずひっそりと公開された。結果は、東宝始まって以来の最低記録となった。岡本監督も非常に落ち込んだという。

その後、名画座ラピュタ阿佐ヶ谷では監督特集3回上映)など岡本喜八監督特集上映などでようやく評価され、今ではカルト映画として人気があるようだ。

また、現在では放送禁止用語に指定されている「きちがい」が何度も飛び交うため、テレビで放送されることはほとんどない。WOWOWで放送された際には、その用語は消音処理された。

 

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