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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「流浪の月」(2022)日本アカデミー賞優秀作品賞。

      

流浪の月」(2022)は「悪人」「怒り」の李相日(リ・サンイル)監督作品。日アカ(日本アカデミー賞)の優秀作品賞に選出されたので「ハケンアニメ!」とともに追っかけでみた。「2020年本屋大賞」で大賞を受賞した凪良ゆうの小説を原作にしたドラマ。

10歳の少女を自分の部屋に入れたために誘拐罪で逮捕された男が15年後に成長した彼女と再会する。出演は広瀬すず松坂桃李横浜流星多部未華子趣里三浦貴大内田也哉子柄本明など。

  

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家内更紗(さらさ、幼少期:白鳥玉季)はかつては家族と共に幸せな日々を過ごしていたが、父が亡くなり母親が恋人と同居し始めてからは、ずっとおばの家で世話になっていた。

おばの家での暮らしは堅苦しく、常に気を張っていなければならなかった。夜になると、おばの中二の息子の孝弘が部屋に入ってきて、体をさわってくるのもとても嫌だった。

10歳の更紗は、そうした虐待を受けていたことから、学校が終わるといつも公園で過ごしていた。

その公園には、小学生からロリコンと呼ばれる19歳の大学生・佐伯文(ふみ、松坂桃李)がいた。ある日、公園では雨が降った。

更紗がびしょ濡れになっているのを目にした文は、更紗に傘を差し出す。そして、引き取られている伯母の家に帰りたくないという更紗の気持ちを知り、自分のマンションに招き入れる。

更紗は文のもとで2か月を過ごす。その間、更紗は行方不明の女児として、全国に実名報道されていた。

      

そして、文と更紗が一緒に外出した先で通行人に見つかり、文は誘拐犯として逮捕されてしまう。警察官に抱えられ保護される更紗。

更紗が「文と別れたくなくて」泣き叫ぶシーンは、居合わせた人の携帯電話で撮影・拡散されていった。その後更紗は「傷物にされた可哀想な女の子」、文は「ロリコンで凶悪な誘拐犯」というレッテルを貼られ続ける。

二人の関係は、周囲の人たちが思うものとは全く違うものであったにも関らずに。そして事故から15年過ぎ、24歳になったある日、更紗は偶然文と再会する。

あの時の可哀そうな子とロリコン凶悪犯が、また交際を始めたということで、店やアパートの郵便受けなどに「ロリコン野郎」などのチラシや、スプレイの殴り書きがあり、世間の風当たりの強さもエスカレートして異常なほどだった。

文には付き合っていた谷あゆみ(多部未華子)という彼女がいたが、文の過去を週刊誌で知ったあゆみが文を訪ねてきた。文が話してくれなかったのは、私のことを信頼していなかったからだと指摘。「小児性愛者だから私と大人の関係を持たなかったのか」と尋ねた。文がうなずくと彼女は憤慨して去っていった。

一方の更紗も、現在同棲している婚約者・中瀬亮(横浜流星)から関係を求められても「恋愛の先にそういうことをしなければならない」というのは耐えられないと拒絶。すると、亮のモラハラパワハラのDVといった暴力性が現れて、殴る蹴るのすさまじさ。

文は、幼少時の体験から「みんな大人になっていく。君も立派な大人に成長した。僕だけがいつまでも大人になれない」という第二次性徴が来ない病気を患っており、そのことを他の人に知られることをもっとも恐れていたのだった。

更紗は文のもとに歩み寄り、泣きじゃくる彼に腕を回すと、強く抱きしめた。更紗と文は、誰も自分たちのことを知らない土地で2人だけで暮らそうと決めた。

「また気づかれたらどうする」という文の問いに、更紗はすぐに返答した。「その時は、また流れていけばいい。」

   


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外部からは見えない真実や、恋愛でも友情でもない言い表しにくい2人の関係性が描かれているという点では「シベールの日曜日」にも似ている。

「人は見たいようにしか見ない」という台詞があったが、だれでも自分の価値観や常識と考えていることを盲信し、そこからはみ出る者を許そうとしない傾向はあるようだ。

役者の演技がよかった。広瀬すずが、軽蔑するような眼差しで亮(横浜流星)を見るときの冷たさ、怖さ。”伸びしろ一番”将来大女優間違いなしといった演技を見せている。

横浜流星もすさまじい。松坂桃李は、最近は「孤狼の血」「新聞記者」など意欲的な作品で新境地を開いている。


【キャスト】
家内更紗:広瀬すず
家内更紗(幼少期):白鳥玉季
佐伯文:松坂桃李
佐伯音葉:内田也哉子
中瀬亮:横浜流星
谷あゆみ:多部未華子
安西佳菜子:趣里
安西梨花:増田光桜
湯村:三浦貴大
阿方:柄本明

【スタッフ】
原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)
監督・脚本:李相日
撮影監督:ホン・ギョンピョ
音楽:原摩利彦

 

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