「去年の冬、きみと別れ」(2018)をみる。タイトルと出演者が岩田剛典(三代目JSB)と山本美月では、美男美女の切ないラブストーリーに違いないと思い込んでスルー。
あっと驚く驚愕のラストという宣伝文句に惹かれて見たが、予想不可能のエンディングで、見応えがあった。見ている人からは「今頃?」の声も聞こえてきそう。
原作は「悪と仮面のルール」など数々の映像化作品で知られる芥川賞作家・中村文則の同名小説で、驚愕どんでん返しミステリー。監督は「星守る犬」「脳男」などの瀧本智行。
謎多き天才カメラマンへの取材を始めた野心あふれる記者が、婚約者を取り戻すため、ミステリアスなカメラマン(斎藤工)の真相を追う。主人公の婚約者を山本美月が演じる。
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婚約者との結婚を控え、幸せの只中にいる新進気鋭のライター・耶雲恭介{岩田剛典)。彼が次の仕事のターゲットとしたのは、連続焼死事件の容疑で逮捕された天才写真家・木原坂雄大(斎藤工)。
彼は何のために二人の女性を焼き殺したのか?それは本当に彼の仕業だったのか?
事件の真相を追って木原坂や彼の姉、そして謎の人形師などに取材を試みるうち、いつの間にか彼らの術中にはまって抜け出せなくなっていく耶雲(岩田剛典)。果たして耶雲は、婚約者との元の幸せな日々に戻ることができるのか…。
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物語は「第2章」から始まったので、あれ「第1章」という言葉を見落としたかなと思ったが、次に「第3章」ときて、そしてラストに「第1章」がやってきた。この第1章こそが、結末で、なかなかうまい構成だ。
邦画では、「ラスト5分でひっくり返る」というまるでオセロ・ゲームのようにすべてがひっくり返る映画として話題になった「イニシエーション・ラブ」のラストにも匹敵するくらいの衝撃だった。ラストを知ったあと、すべての景色が違ってくると言ったらいいのか。
このタイトル「去年の冬、きみと別れ」のあとに「・・・」が加わるようだ。「去年の冬、きみと別れ、僕は○○になった」と。
(この○○は、漢字2文字「化物」だろう。)
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斎藤工もサイコパス的性格の役柄だが、姉役の浅見れいなも負けてはいない。岩(がん)ちゃんの愛称で知られる岩田剛典が、好青年を演じたドラマ「砂の塔〜知りすぎた隣人」(菅野美穂主演)などとは打って変わったクールでまったく別人のような役を演じている。
■主要キャスト
耶雲(やくも)恭介:岩田剛典(フリーライター。カメラマンの真実に迫る本の出版を計画)
松田百合子:山本美月(恭介の婚約者。カメラマンのモデルを引き受ける)
木原坂雄大:斎藤工(ミステリアスな天才カメラマン、朱里の弟)
木原坂朱里:浅見れいな(雄大の姉。幼い頃父から虐待を受けていた。弟との絆が強い)
吉岡亜希子:土村芳(恭介のかつての恋人。盲目。本好き。木原坂のモデルを務めた)
小林良樹 :北村一輝(週刊誌編集者。朱里とつながっている)
西田清美 :円城寺あや
西田:でんでん
矢島健一:週刊誌編集長(小林の上司)
尾崎栄作 - 利重剛
沢田幸吉 ‐ 山田明郷
佐伯 - 毎熊克哉
松田珠希