「ドメスティック・フィアー」(原題:Domestic Disturbance、2001)を見る。ジョン・トラヴォルタ主演というだけで全く予備知識もなく期待もしていなかったが、これがとんでもなく面白いサスペンス・スリラーだった。
原題は「ドメスティック・バイオレンス(DV)」と同類の「家庭内のいざこざ、騒動」のこと。ジョン・トラボルタが心優しい中年男に扮し、子を思う父を熱演。90分というのがコンパクトでいい。
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造船工場を経営するフランク・モリソン(ジョン・トラヴォルタ)は数年前に妻スーザン(テリー・ポロ)と離婚、幼い息子ダニー(マット・オリアリー)とも離されて侘びしく暮らしていた。
そんなスーザンが裕福な会社経営者リック・バーンズ(ヴィンス・ヴォーン)と出会い再婚する事になったが、ダニーは粗暴なリックになじむ事ができないでいた。
元犯罪者だが、隠してもどう見てもそう見える。
ある日、ダニーはフランクにこっそり会いに行こうとリックの車に密かに乗り込むが、リックがレイ・コールマン(スティーヴ・ブシェミ)という謎の男を殺害する現場を目撃してしまう。
謎の男レイ。
ダニーはフランクにその事を話し、2人は警察に行くが、ダニーの話を誰もまともに聞いてくれない。
見たことを警察署で話すダニー。
フランクはただ1人、ダニーの味方としてリックの身辺調査を独自に行ない、その結果、リックの正体が凶悪な犯罪者であることを知る。その頃、リックの魔の手はスーザンとダニーに伸びつつあった。
スーザンはフランクと離婚したが、再婚した相手が最悪だった。
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12歳の少年ダニーは、普段から、だれに対してもウソつく習性があって、殺人現場を目撃しても信じてもらえない。まさに”オオカミ少年”だが、父親であるフランクには一度もウソをついたことがなかった。
フランクは、そのことだけでも、ダニーの言うことは真実だと確信して、独自に調査していく過程がスリリングだ。
そして、ついにリックの裏の顔にたどり着く。
勧善懲悪映画として、後味のいい映画となっている。
警察に訴えても、時間の無駄だとダニーの話などまるで取り合ってくれない巡査部長が、真実が判明した時に、フランクに謝りたいと言ってくると、ダニーに言ってくれというのがいい。
ダニーもさらりと握手だけ交わして「いいんだ」と大人の対応。
曲者俳優のスティーヴ・ブシェミは、ひどい目にあう役が多いが、今回も、レンガ工場で焼かれてしまった。
この映画の翌年に公開されたジョディ・フォスターの「パニック・ルーム」などと共通するサスペンスの要素もある。