「キングコングの逆襲」(原題:King Kong Escapes、1967)を見る。東宝創立35周年記念作品。東宝とランキン・バス・プロダクションによる提携製作。カラー、シネマスコープ。上映時間は104分。
主演は宝田明。癖のある悪役に天本英世、女工作員に浜美枝(当初予定の若林映子の代打)、ローズ・リーズン(「イエローストーン砦」など)ほか。キングコング映画に登場する絶叫女優はリンダ・ミラーが演じ、当時流行りのミニスカートが魅力(笑)。監督(本編)は本多猪四郎、特撮監督は円谷英二。
天才科学者ドクター・フーは、世界征服をもくろみ、新原子力エネルギー発掘のためキングコングに似せたメカニコングを開発するが失敗。そこで本物のキングコングを利用しようとするのだが…。
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どこかドラキュラに似ている(笑)
国際手配中である悪の天才科学者ドクター・フー(天本英世)は、某国の女工作員マダム・ピラニア(浜美枝)の要請で、国連の科学者委員ネルソン(ローズ・リーズン)と野村次郎三佐(宝田明)のアイディアを剽窃したロボット怪獣メカニコングを建造する。
これを使い、北極の地下に眠る究極の核兵器素材である放射性物質「エレメントX」の採掘を目論むが、エレメントXから発せられる磁気のため、メカニコングは作動不良に陥る。
同じ頃、国連の原子力潜水艦「エクスプロアー号」は、海底油田調査のために南海の孤島モンド島近くを航行中、岩崩れに見舞われる。
修理のために寄港したモンド島で、司令官のネルソンたちは伝説の巨獣キングコングと遭遇する。キングコングは乗員のスーザン・ワトソン(リンダ・ミラー)に強い興味を持ち、その言葉を聞き分ける。
これを知ったマダム・ピラニアは、ドクター・フーに本物のキングコングを使っての採掘を提案する。北極地下に捕らえたキングコングを働かせるべく催眠術がかけられるが、すぐに解けてしまう。
ドクター・フーはネルソン、野村、スーザンの3人を北極基地に拉致し、キングコングに採掘を命じるよう脅迫する。
ついにキングコングは怒りを爆発させ、基地から逃走する。ドクター・フーは東京に上陸したコングを追い、東京湾に停泊した船からメカニコング2号を出動させる。
この事態に、計画の露見を恐れて当初の目的からも逸脱していると考えたマダム・ピラニアはドクター・フーを見限り、ネルソンたちを船から逃走させる。スーザンは何とかキングコングに追いついて鎮めようとするが、そこへ出現したメカニコングが彼女をさらってしまう。
キングコングとメカニコングの激闘は東京タワーへ移り、都下を見下ろす大決戦が始まった。やがて、マダム・ピラニアはメカニコングの制御装置を破壊しようとしてドクター・フーに射殺され、コントロールを失ったメカニコングは落下して果てる。
翌朝、キングコングは逃亡しようとするドクター・フーやその部下たちを湾上の船ごと沈めると、スーザンの呼びかけを背に故郷の島へ泳ぎ去っていくのだった。
「コングは島に戻った方がいい」
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「キング・コング」(1933)へのオマージュが多く、ゴロザウルスと大ウミヘビの登場のほか、モンド島ではキングコングとゴロザウルスの対決シーンもある。
ヘリコプターや戦車、東京タワー、潜水艦など、今から見るとあきらかにミニチュア模型とわかるが、CG、SFXのなかった時代に精巧にできている。
東京タワーでのコングとメカ二コングとの戦いや、巻き込まれたスーザンがあわや落下しそうになる危機一発のシーンなどは見ごたえがある。
■予告編はこちら:
アクション映画として今見ても迫力があり「コング映画」に進路を取れ!となりそうだ(笑)。