「ボーン・レガシー」(2012)をみる。「ボーン」シリーズ(現時点で全5作)の4作目となる。トニー・ギルロイ監督・脚本。前3作までマット・デイモンが演じたジェイソン・ボーンに代わり、ジェレミー・レナーが演じるアーロン・クロスが主人公となった。”ジェイソン・ボーン”のスピンオフ的な作品で、マット・デイモンは登場しない。
共演は「ファイト・クラブ」のエドワード・ノートン、「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズ、「グッドナイト&グッドラック」のデヴィッド・ストラザーン、「オリエント急行殺人事件」のアルバート・フィ二―などそうそうたる顔ぶれ。
CIAが進めるカタカナの名称の計画は、すべて秘密裏に行われている暗殺者養成プログラムであること、そこに参加している人物は、遺伝子を組みかえられたり、記憶を失わされたり、特別な薬でのみ生存できるといった全体の大枠を理解していないと、ストーリーに溶け込めない。
ただ、ボーン・シリーズに共通しているアクションシーンは大きな見どころで「ボーン・レガシー」のオートバイによるカーチェイスは、手に汗握る迫力がある。スパイアクションとして面白かった。エンディングもすっきり。
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アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)はアウトカム計画の「参加者」であり、アラスカにて日々過酷な訓練をしている。その訓練課程で薬の服用、血液採取、問診を義務付けられている。
その頃CIA内部調査局のパメラ・ランディ(ジョアン・アレン)の告発などにより、暗殺者養成プログラムのトレッドストーン、ブラックブライアー、そしてアウトカム計画の存在が白日の下に曝(さら)されようとしている。
国家調査研究所のリック・バイヤー(エドワード・ノートン)はアウトカム計画の一時的な消去と蓄積されたデータの隠匿を命じる。
この命令によりアウトカム計画の「参加者」たちは次々に無人攻撃機に爆撃されたり、毒殺される。
一方、アーロンは自分の強化された能力を駆使してかろうじてその危機を逃れ、自分の死を偽装することに成功する。その頃、アーロンの体調を管理しているステリシン・モルランタ社で銃の乱射事件が発生する。
その会社ではその部署で「プログラム可能な行動、神経学的なデザイン」の研究を行っているという。銃の乱射事件での唯一の生存者のマルタ・シェアリング博士(レイチェル・ワイズ)はリック・バイヤーの放った刺客たちによって再び命を狙われるがアーロンに救われる。
マルタはアーロンの服用していた緑の錠剤が身体的な能力を増強させること、青の錠剤が知的能力を増強させ、痛覚を抑制することをアーロンに告げる。
また、緑の錠剤の効果はすでにウイルスによってアーロンの遺伝子に組み込まれており、緑の錠剤の服用は必要ないことが分かる。
しかし、青の錠剤がなければ、アーロンの優れた知的能力が崩壊し、アーロンとマルタはバイヤーの放った刺客によって命の危険にさらされると予想される。このように映画全体にジェイソン・ボーン(マット・ディモン)らの一連の計画の「参加者」たちの卓越した能力と時折起こる心的異常状態の秘密が暗示されている。アーロンとマルタは青の錠剤の代わりになるウイルスを得るために、マルタの所属する関連会社があるフィリピン・マニラに飛ぶことになる。
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CIA内部調査局の調査能力の徹底ぶりには驚かされる。ターゲットの位置情報の特定や、人物解析のスピードの速さなどすべての可能性を総動員で当たる。訓練された元暗殺者を抹殺するために送られるスナイパーも選りすぐりで、超人的な動きですごい。このシリーズは「1」から「4」まで見たが「3」の「ボーン・アルティメイタム」がとくに印象に残る。未見の「5」(「ジェイソン・ボーン」)も見なくては。
■主な登場人物:
アーロン・クロス:ジェレミー・レナー
マルタ・シェアリング博士:レイチェル・ワイズ
リック・バイヤー:エドワード・ノートン
パメラ・ランディ:ジョアン・アレン
ノア・ヴォーゼン:デヴィッド・ストラザーン
アルバート・ハーシュ博士:アルバート・フィニー
マーク・ターソ:ステイシー・キーチ
ディタ・マンディー:ドナ・マーフィ
アーサー・イングラム:マイケル・チャーナス
ゼヴ・ヴェンデル:コリー・ストール
テレンス・ワード:デニス・ボウトシカリス
ドナルド・フォイト博士:ジェリコ・イヴァネク
ダン・ヒルコット博士:ニール・ブルックス・カニンガム
アウトカム計画 工作員 #3:オスカー・アイザック
LARX-03:ルイ・オザワ
☆☆☆