大ヒットを記録した映画「翔んで埼玉」(武内英樹監督)が異例のロングラン上映を続けている。ご当地、さいたま市にある、fpd御用達映画館「MOVIXさいたま」だ。さいたま新都心に立地するMOVIXさいたまには、2月22日の公開から半年以上が経った今も、同作を観に来る客足が絶えない。お盆には満席の回があったほどだという。
映画ファンや埼玉県民にとって、いわば“聖地”となっているのだ。
映画業界では、通常上映期間が8週間になると長期と言われる。同館では2月公開から7ヶ月目で、公開28週目に入った。
同館の長谷川智副支配人によると「お年寄りの方からも『いつまで上映しているのか』といったお問い合わせをいただく。MOVIXさいたまはフラッグシップであり、象徴だと思っている」と強調する。
配給元の東映によると、8月18日の時点で、全国の興行収入は37.5億円、全国の動員数は290万人。そのうち、埼玉県のシェアは28%超。MOVIXさいたまは、劇場別で興行収入・動員数ともに全国1位をマークした。ちなみに昨年、口コミで大ヒットした「カメラを止めるな!」は、32億円、220万人だった。
製作委員会には、フジテレビジョン、東映、テレビ埼玉が名を連ねた。埼玉をディスるものの、けっして見下すことのないように練りに練られた脚本と演出が光り、話題が話題を呼んで大ヒットとなった。
同館では、公開前に隣接する商業施設にパネルを置いて、写真のSNS投稿ができるキャンペーン企画を実施。公開前から県民の反応はよかったという。公開中は、来場客が劇中に登場した「埼玉ポーズ」を同館で撮影し、写真をSNSにアップすることが流行ったという。さいたま市在住のfpdは、SNS(ブログなど)に何回記事投稿したことか?(爆)。
MOVIXさいたまは上映を続けることで、作品自体の魅力とともに“ブランド化”に成功したと言われている。これが、映画全体のヒットの要因の一つになった。
地域色の濃い作品を地元映画館で継続して盛り上げることによりヒットを生み出す一つの可能性を示した。業界の常識を覆すようなロングラン上映。上映はどこまで続くのか。9月11日にはブルーレイとDVDをパッケージ化した商品が発売される。話題は尽きない。11月14日には「埼玉県民の日」が待っている。長谷川副支配人は「行けるところまで」といった思いがあり「県民の日まで上映したい」とと力を込めた。