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<span itemprop="headline">映画「孤狼の血」(2018)東京国際映画祭にて。</span>






第31回東京国際映画祭で見た2本目の映画はJapan Now部門の特集上映「映画俳優 役所広司」の1本として上映された「孤狼の血2018)。TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて。日本語を母国語としない観客向けに英語の字幕が入っている。映画は今年の5月に一般公開された。
 
柚月裕子の同名小説原作で、第69回日本推理作家協会賞を受賞
監督は「凶悪」(2013)の白石和彌。白石監督は2019年公開の麻雀放浪記2020」「凧待ち」の撮影に取り組んでいる。
 
孤狼の血の宣伝文句は「躰が痺れる恍惚と狂熱の126分」。
 
この映画では、暴力団対策法が成立する以前の広島で起こる”第3次広島抗争”といわれる組織間の激しい抗争が描かれている。役所広司は、暴力団との癒着をうわさされる刑事・大上を演じた。
 

オール広島ロケ作品であり、作品の8割以上が
呉市内の各所広島市廿日市市などでもロケ撮影された。

いまや伝説のヤクザ映画となっている「仁義なき戦い」の東映が再びヤクザ映画に取り組み、昭和63年1988年)広島県にある架空の都市・呉原を舞台に、血で血を洗うヤクザ同士の抗争に身を投じていくベテランと新米の”バディ刑事二人を描いた本作は、圧倒的極上バイオレンスエンターテインメント映画として、記憶されることになりそうだ。クセになる映画だ。
 
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物語は呉原東署二課暴力団係(通称・マル暴)に赴任してきた新米刑事・日岡(松坂桃李)が、数え切れないほどの表彰と処罰を受けてきた敏腕かつ横暴な巡査部長・大上(おおがみ、役所広司)の下につくことから始ま

大上の暴力的な捜査や暴力団からの金銭の授受を目撃した日岡は、彼のやり方に疑問を抱き異議を唱え。しかし、14年前の大規模な抗争をきっかけに真っ向から対立することとなった五十子会(いらこかい)と尾谷組の長らく続く冷戦状態をなんとか維持し、大きな衝突を防ぐべく奮闘する大上の姿を見るうちに、日岡は自身の考えを改め始めるのだった。 









失踪した五十子会のフロント企業に勤める男・上早稲(うえさわ、駿河太郎の捜索や尾谷組構成員・柳田田中偉登が殺された事件の捜査を通して、次第に絆を深めていく二人だったが、ある日大上に関する重要な疑惑が浮上する。 それは、14年前の抗争を終結させるきっかけとなったある男の殺人事件に、大上が関わっているというものだった












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とにかく全編、バイオレンスの描写が凄まじい。はっきり言うと、気が弱い人は敬遠したほうがいいだろう。目を背けたくなるシーンが多い。冒頭から、想像を絶するエグいシーンで始まる。監督が、この映画は、こんな映画だぞ、覚悟はいいかと観客に最初から投げかけているようなものだった。
 
あまり書いてしまうと、これから見る人にはよくないので控えるが、豚小屋での組員への暴力や、五十子会の組長への壮絶な仕打ちは凄まじいを通り越す。当然のことながらR-15作品
 
全編広島弁。卑猥な言葉もポンポン飛び出す。

この映画の面白さは、暴力員よりも暴力的な主人公が、実は、一般の堅気の人間を最も守ろうとしたこと、暴力的な刑事の下で、名門・広島大学卒業のエリート警官が仕事をすることになり、正義感に燃えていたが、やがて刑事を理解していく過程がいい。この警官と恋人となる
薬剤師岡田桃子
阿部純子)が魅力的だったが実は…というところが驚きだった。
 
役所広司は、またしても日本アカデミー賞に絡みそうな演技を見せているが、松坂桃李江口洋介中村獅童滝藤賢一竹野内豊真木よう子などが脇を固めて見所がある。
 
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キャスト
大上章吾:役所広司…呉原東署・捜査2課・暴力団係・班長(巡査部長)
日岡秀一:松坂桃李…呉原東署・捜査2課・暴力団係・大上班のメンバー(巡査)
高木里佳子:真木よう子…クラブ梨子のママ
嵯峨大輔:滝藤賢一広島県警 監察官(警視)
永川恭二:中村倫也…尾谷組の組員
岡田桃子:阿部純子…薬剤師
野崎康介:竹野内豊…加古村組の若頭
高坂隆文:中村獅童…安芸新聞社の記者
上早稲潤子(うえさわ じゅんこ):MEGUMI…上早稲二郎の妹
岩本恒夫:井上肇広島県警 副本部長(警視長)
加古村猛:嶋田久作…加古村組の組長
瀧井洋子:町田マリー…瀧井銀次の妻
柳田孝:田中偉登…尾谷組の組員(準構成員)
備前芳樹:野中隆光…尾谷組の組員
賽本友保(さいもと ともやす):ウダタカキ…尾谷組の元若頭(14年前に死去)
吉田滋:音尾琢真…加古村組の組員
上早稲二郎(うえさわ じろう):駿河太郎…呉原金融(加古村組の関連企業)の
 経理担当社員
友竹啓二:矢島健一…呉原東署・捜査2課・暴力団係・係長
瀧井銀次:ピエール瀧…瀧井組の組長
土井秀雄:田口トモロヲ…呉原東署・捜査2課・暴力団係・班長
五十子正平(いらこ しょうへい):石橋蓮司…五十子会の組長
尾谷憲次:伊吹吾郎…尾谷組の組長
一之瀬守孝:江口洋介…尾谷組の若頭



映画終了後に登場した白石和彌監督と役所広司の挨拶、Q&Aは面白かった。
役所広司正義の味方の刑事を演じました役所広司です」と挨拶すると、会場が沸いた。映画で演じたキャラクターとのギャップが大きかったからだ。
 
撮影中は呉原というダーティな街に舞い降りた天使のような気持ちでいました」と続けた。出演オファーを受けたとき「原作がカッコいいのに、脚本になったとき、大上はなおさらハードな男になっていた。街でしょっちゅう痰を吐く天使なんですよ」と振り返った。
 

白石は、役所
広司の起用理由を「昭和の男たちは平成生まれが持っていないにおいを絶対に持っている。清濁あわせのむことだったり、日本の社会を形作ってきた生き方だったり」と説明。

役所がかつて主演を務めた「シャブ極道」を引き合いに出し「あの頃のギラギラ
したヤクザが大好き。役所さんはそのにおいを色濃く出せる俳優。そういうこともあって、ヤクザではなく刑事ですが大上役をお願いした」と語った

印象に残ったのは、ひとりの人間は、多重構造であり、セコい、暑苦しいという部分や、ユーモアと欠点を併せ持っている。そういう複雑で面白い人物をやらせてもらったという。

質疑応答では、インドネシアからきた役所広司の大ファンという女性は、日本語が流暢で「ハリウッドスターなどは、サイコパスなどの役のめり込みすぎて、撮影後も、それを引きずる役者もいるようだが、役所さんはどうか」という質問があった。

これに対して役所は「僕の場合『撮影が今日でおしまい!』とクランクアップとなったら、その人物はどこかにいってしまいますね」とあっさり回答。「でも妻に聞くと、撮影中は『変なやつが帰ってきた』となるようです、と笑わせた。「ということは、撮影中は役の人物をどこかでつなぎとめているんだと思」と語った。

松坂桃李のファンだという女性は、この映画を見るのが17回目というが「松坂さんとのシーンでは特にどのシーンが印象に残っているか」という質問。「バーのシーンの松坂くんとのシーンは、監督からワンカットの長回しのシーンといわれて、ワンカットの力は大きい」と振り返った。映画の最後のところで、役柄上必要な太った役所が出てくるが「数日間で太った」という。


 
「映画俳優 役所広司」では本作のほか「キツツキと雨」「CURE/キュア」「うなぎ」「Shall we ダンス?」上映されている。第31回東京国際映画祭は11月3日まで開催される。
 
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