ウディ・アレン監督の作品がまだまだ続く。
日本語でも完全に定着したセレブという言葉だが、そのオリジナルの英語そのままのタイトルの「セレブリティ」(原題:Celebrity、1998)を見た。
出演陣は豪華で、ケネス・プラナーのほか、ジュディ・ディヴィス、シャーリーズ・セロン、レオナルド・ディカプリオ、ウィノナ・ライダー、後に「セッション」で強烈な印象のJ.K.シモンズ、メラニー・グリフィス、ジェフリー・ライト、ファムケ・ヤンセンのほか、ドナルド・トランプがセレブの集まる会食会に、本人役として出演している。映画がモノクロというのが、引き締まっていていい。
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リーには16年連れ添ったロビン(ジュディ・ディヴィス)という妻がいたが、平凡な結婚生活に嫌気がさしたリーは、一方的に別れを告げ離婚する。リーに捨てられ、人生をやり直そうと有名整形外科医の元を訪れたロビンは、偶然、TV関係の仕事をするトニー・ガーデラ(ジョー・マンテーニャ)と知り合い、新番組の企画を一緒にやろうと誘われる。
ロビンと別れたリーは、編集者のボニー(ファムケ・ヤンセン)と交際を始める。ボニーのつてで脚本を手掛けることになったリーは、若手の売れっ子俳優に取り入り、作品に出演してもらおうと目論みるが徒労に終わる。
トニーの元で仕事を始めたロビンは、仕事も順調、トニーからの愛も手に入れ幸せな人生を送り始める。ある日、ボニーら仲間たちとレストランで食事をしていたリーは、以前映画で会ったことのある女性ノラ(ウィノナ・ライダー)と再会。
ノラとの再会に運命を感じたリーは、ボニーと別れてノラと交際をすることを決める。 リーは、ボニーに正直に自分の気持ちを打ち明ける。この予期せぬリーの裏切りに怒り心頭のボニーは、一部しかないリーの脚本を持ち出し、船上から海に投げ捨ててしまう。一方、リーと離婚する前は冴えない地味な印象だったロビンは、別人のようにすっかりあか抜けた女性に生まれ変わり、TVリポーターとして華やかな生活を送っていく。
トニーはそんなロビンにぞっこんで、2人は晴れて結婚式をあげることになる。 しかし、結婚式当日、花嫁であるロビンが結婚式会場から突如失踪してしまう。リーと離婚して以降トントン拍子に幸せを掴んだロビンは、あまりに幸せすぎる自分の境遇に不安を感じていたのだった。
街をさ迷い歩いているうちに、たまたま入った占いの館の占い師から励まされたロビンは、トニーの元へ戻ることを決意する。ノラとの交際を始めたリーだったが、喧嘩ばかりで結局うまくいかない。映画の試写会で、リーは幸せを掴んだロビンと再会するのだった。
セレブ女優を演じるシャーリーズ・セロン(中央)
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映画は、飛行機雲のHELP(助けて!)の文字が空に浮かぶところから始まる。
バックには、ベートーベンの「運命」の曲が流れる。ウディ・アレンの映画は、映画関連の俳優や作品などの固有名詞がポンポン登場する。
レストランのバイトをしながらエキストラに参加して女優を夢見る二コル(メラニー・グリフィス)は「ウォーレン・ベイティと共演するのが夢だった」と語る。また、ロビン(ジュディ・ディヴィス)が整形外科医を訪ねると、「整形をしなくても綺麗で”白昼の決闘”のインディアンの女優(=ジェニファー・ジョーンズ)のようだ」と言われる。また監督が紹介する若手俳優は「第二のロビン・ウイリアムズで、ジャック・ニコルソンのモノマネができる」といった具合。
TVレポーターとなったロビンが会食会で何人かのセレブ二インタビューするが、最後に「おぉ、ドナルド・トランプ」と近づいて聞く。
「お仕事は?」と聞くと、トランプは「聖パトリック教会を買収する計画だ。取り壊して立派な高層ビルを建てる」と答えていた。(ただし、実際には買収はされなかった。)トランプの映画出演は貴重かもしれない。20年前にトランプが大統領になるなど誰が予想しただろうか。
ディカプリオは大ヒット作「タイタニック」(1997)の2年後の出演で、23歳と若いが、ドル箱スター、ブランドンという役者を演じているが、短気な暴力男で、その後の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で演じたような、乱痴気騒ぎに明け暮れるクレージーな役柄だった。
アレン作品は、艶笑コメディと言ったらいいのか、きわどいシーンやセリフが多い。
細部を書くとfpdの品位が問われる?ことになるので詳しくは書けないが抱腹絶倒のシーンがある。ロビンが、プロの娼婦に「口を使ったテクニック」を教えてほしいというシーン。
「教えてほしいのは・・・その~」と口ごもるロビン(右)
バナナを使ってやってみてと言われたロビンは、皮の付いたままのバナナをガブリ。それを見た娼婦は「それじゃあ、歯形がついて痛いでしょ。こうやって皮をむいて・・・」と実演するのだが、のどに詰まって死にそうなほどの大騒動になるのだ(笑)。アレンの映画はとにかく、皮肉を込めたシーンのオンパレードで笑わせてくれる。
主な登場人物:
フィリップ・ダットロフ - ラリー・パイン
アデルマン弁護士 - デヴィッド・マーギュリーズ
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