映画「ソロモンの偽証 前篇・事件」(2015)が3月13日の公開(試写会で2月24日に見た)以来、待ちかねていた「ソロモンの偽証 後編・裁判」(2015)をきょう16日に見た。監督は「孤高のメス」(2010)「八日目の蝉」(2011)「聯合艦隊司令官 山本五十六」(2011)などの成島出(なるしま・いずる)。
前作の「ふしぎな岬の物語」が今ひとつピンと来なかったが、「ソロモンの偽証」は、丹念に生徒たちの表情やもがき苦しむさまを、カメラのアップを多用して捉えていた。宣伝にあるような、”衝撃の結末”ではなかったが、見ごたえのある映画だった。
「前編」を見たあとの「後編を早く見たい」という欲求は、一ヶ月以上という時間経過とともにやや収まっていたが「後編」は、オーディションを勝ち抜いてきた主要な役どころの数名を中心とした生徒役たちの熱演が光った。
映画のオープニングで「前編」のあらすじが、尾野真千子のナレーションで手短に映像とともに紹介されるのが”粋な”計らいでいい。一ヶ月以上の間隔があるので、すぐに入り込みやすい。そのまま本編が始まるのかと思ったら、続いて例の「映画泥棒」のCMが入っていたが。
映画は、かつて23年前にあった前代未聞の生徒による陪審員裁判を提案した女子生徒・涼子(生徒時代:藤野涼子、現在:尾野真千子)が、現在、母校に教師として戻ってきて、現在の校長(余貴美子)に”当事者”として説明回想するというスタイルになっている。
校長によると、当時の校内裁判は、レジェンド(伝説)となっており、その後は、学校内で暴力に関連した事件は一切起こっていないという。それを聞いた涼子は「いきなりハードルが高くなりますね」と笑って答える。
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14歳の様々な悩み、苦しみを抱えた少年少女たち。
親に絶対服従で、親から暴力を受けていた生徒が、自分よりも弱い立場の生徒に暴力を振るうことで、優越感を覚える生徒。シングルマザーの母親に完全支配され、親にも知られていないイジメにあっている女子生徒。その女子生徒が、いじめにあっている光景を見ても、助けずに傍観していたため、口先だけの偽善者と、同級生から見透かされる女子生徒。
一人の生徒が亡くなったことが契機となって、学校と警察により「自殺」と断定されたが”殺されたのではないか?”という疑念が湧き、事件の真相を知りたいという一点で、当初学校の反対もあったが、生徒たちの真剣さが前代未聞の生徒による裁判の開廷へと急展開。数日間に及ぶ裁判の様子が描かれていく。たかが(生徒の)裁判、されど裁判だった。裁判は予想もしない方向に展開していくが、それも仕組まれていた!?
女優としてすごいと思ったのは永作博美。
ニキビで悩み、それが原因でいじめにあっている女子生徒の母親役で、娘を溺愛するあまり、まわりが見えなくなっていて、自分本位、わがまま本位の性格がよく出ていた。
若い教師役の黒木華は、出番が少ないが、印象に残る。
生徒では、神原和彦役(板垣瑞生)、柏木卓也役(望月歩)大出俊次役(清水尋也)三宅樹理役(石井杏奈)などが新人とは思えないほど堂々としていた。神原(板垣瑞生)の母親役で森口瑤子が出演。ほかに、夏川結衣、田畑智子など。
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4月11日の週末公開で、国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社提供)初登場1位を獲得した。
全国313スクリーンで公開され、オープニング2日間で動員12万4275人、興収1億6228万4900円を記録。前篇はオープニング2日間で興収1億2012万8100円の3位スタートで、興収比で35.1%増と前篇を上回る出足となった。これまでに興収6億8000万円をあげている前篇は現在も306スクリーンで公開中で、前後篇を連続で見られる環境もあり、それが相乗効果を発揮するかどうか。後篇は10億円の突破を目指しているようだ。
今年の邦画では、まだ4月だが、上位(ベスト3)に入れたい作品だ。
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