「今度は愛妻家」(2010)は、まるで舞台作品を見るような錯覚を覚えるほど、せりふのやりとりのテンポが心地よく響き、結婚10年目の夫婦の会話が、現実味があって「びしばし」と剛速球がストライクゾーンにきました(笑)。
いまどき?亭主関白的わがままで、言葉としてうまく伝えるのが苦手な夫(豊川悦司)と、明るくて気立てのやさしい妻(薬師丸ひろ子)との離婚危機と、大きな出来事を期に、生きるとは・・・を問いかける、すばらしい映画でした。
豊川、薬師丸の実力演技派俳優の魅力が全快の映画ですが、脇役の石橋蓮司、水川あさみのほか、出番は少ない井川遥なども見所です。とくに“役者丸”ひろ子といってもいいような、20数年前の映画と変わらないようなチャーミングさで、そのみずみずしさと自然体ではつらつとした演技には、驚いてしまう。
早くも、来年の映画賞は、豊川と薬師丸で決まり!とさえ思われますが、まだ1月、年末ごろには、印象が薄くなってしまうのか気がかりです。
早くも、来年の映画賞は、豊川と薬師丸で決まり!とさえ思われますが、まだ1月、年末ごろには、印象が薄くなってしまうのか気がかりです。
失ってから初めてその存在の大きさに気がつくという、あって当然のものとして受け取っていた日常のささやかな幸せが、なくなったときのショックと、それを受け止めるのは困難なこと、しかし現実には、絶望の中でも、希望を見出そうとする人間の力・・・大いに笑った後、ラストシーン近くでは、涙も抑えるのに苦労しました(笑)。
見た後の余韻も残る、さわやかな感動がこみ上げる映画ではありました。
映画の冒頭から、この二人の会話、動きなどが自然で、引き込まれていくと・・・。
旅行などに出かけてくる、といっては、出た後に必ず「忘れ物」といって、戻ってくる妻。
夫は、そんな妻に「必ず忘れ物を取りに来るというのは、深層心理で、ここにいたい、ということ
じゃないのか」と大声で怒鳴るが、本当にいなくなってしまうと、夫は・・・。
じゃないのか」と大声で怒鳴るが、本当にいなくなってしまうと、夫は・・・。
映画の中では井上陽水の「夢の中へ」が劇中歌として何度も何度も、口ずさまれ、「探し物は何ですか。」が繰り返され、耳に残る。ラストでは、陽水による主題歌「赤い目のクラウン」が流れる。
「妻さえいなければ」と思っていた男が、いなくなって、はじめてその大切さをかみ締め「今度は」愛妻家になろうとする話といってしまえば、終わりだが、感動は深く大きい(笑)。
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