最近、八甲田山でのスキーで人命を落としたというニュースがありました。八甲田山といえば、明治34年の末、日露戦争を目前にして陸軍が、雪中行軍をした場所として知られています。来るべき日露戦争を前にして、雪とは何か、寒さとは何かを知るための訓練の場でもあったようです。その行軍の模様を「小説吉田学校」「日本沈没」などの森谷司郎監督が、高倉健を主演に、壮大なスケールで描いたドラマが「八甲田山」(1977年)というわけです。
日本映画界の有名俳優が総出演。
「天はわれわれを見放した」
という北大路欣也の言葉が有名に。
ついでながら、現在テレビで放送中の「華麗なる一族」で、阪神銀行頭取に扮している北大路欣也が、台詞の中で「天は我らに味方した」と話しているのは、明らかに映画「八甲田山」を意識したものでしょう(笑)。
物語は、友田少将(島田省吾)が、冬期八甲田での雪中行軍の実施を5連隊と31隊に提案(命令)したところから始まります。その会議のあとで、児島大佐(丹波哲郎)と津村中佐(小林桂樹)はどうせなら八甲田ですれ違う行軍計画にしようということで同意する。
出発前、弘前の徳島大尉(高倉健)の私邸で勉強会を終えた徳島と神田(北大路欣也) は、雪の八甲田での再会を誓い合った。しかし、神田の5連隊は、単なる雪中行軍調査のための随員で指揮権のないはずの大隊本部・山田少佐(三國連太郎 )の口出しによる指揮系統の混乱で遭難してしまう。徳島との再会を果たさず、遭難の責任を取り、神田は舌を噛み切って雪中で自決してしまうのでした。
神田の遺体は収容されたが、その霊は雪中で徳島を待ち、二人は雪の八甲田での再会を果たす。これは過酷な寒さによる徳島の幻想で、後に5連隊の遺体収容所において徳島は収容された神田の遺体と対面し、神田の妻の目前で号泣するのだった。
この映画に出演している主な俳優としては、上にあげた俳優のほか、大滝秀治、藤岡琢也、前田吟、加山雄三、森田健作、緒形拳、栗原小巻、加賀まりこ、秋吉久美子、菅井きんなど。
自然の厳しさ、雪の怖さなどが印象に残ります。