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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">②「不毛地帯」・・・ロッキード事件の全貌に迫った傑作</span>



 「不毛地帯」(1976年)は、日本映画で、わくわくさせる忘れえぬ名作だ。
 名優の演技にも唸ってしまう。
 
 原作は、山崎豊子。「白い巨塔」にしても、「不毛地帯」にしても徹底的な検証で、
 ノン・フィクションとして、ぐいぐいひきつけられる。

 監督は、「白い巨塔」「華麗なる一族」「金環蝕」などの骨太映画の山本薩夫

 世間を騒然とさせたロッキード事件(映画では”ラッキード事件”)

を扱っているが、映画公開とほぼ同時期に、航空会社の戦闘機の日本への導入に絡んで、
巨額の賄賂が飛び交った政財界を巻き込んだ戦後最大の疑獄事件が次々に明るみに出て、

イムリー過ぎる映画だった。
 
 時の田中角栄総理が逮捕されたほか、関係者が次々と逮捕され、証人喚問での
 政商や、企業幹部の「私は記憶にございません」「存じません」が、一躍流行語にもなった。

 映画では、主人公の壱岐(いき)正(仲代達矢)が、戦時中の陸軍参謀、11年におよぶシベリア
 抑留を経て、”ビジネスの戦争”に巻き込まれていく姿が中心に描かれた。一つの場面も見過ごせ
 ない、社会派サスペンス娯楽映画だ。現存する大臣(岸信介元総理など)そっくりさんの登場も
 笑いを誘った。丸藤商事(丸紅)、五井物産(三井物産)、近畿商事、東京商事など実在する
 大手商社に模した企業が登場して、話題を集めた。

 日本映画の大物スターがずらり総出演した。
 名演ぞろいだが、個人的に、この映画でいいと思ったのは、赤字。
 キャスト(役名)
山形勲 (大門・近畿商事社長)
神山繁 (里井専務)
仲谷昇 (与謝野外国部長)
高城淳一 (松本航空機部長)
滝田裕介 (山本繊維部課長)
山口崇 (兵頭繊維部員)
秋本羊介 (田中繊維部員)
岩崎信忠 (井田繊維部員)
石浜朗 (柳社長秘書)
日下武史 (小出航空機部員)
山本圭 (塙ロスアンゼルス駐在員)
原田清人 (糸川ニューヨーク駐在員)
北大路欣也 (海部ニューヨーク駐在員)
仲代達矢壱岐正)
田宮二郎 (鮫島東京商事航空機部長)
高杉哲平 (総理大臣)
神田隆 (佐橋大蔵大臣)
杉田俊也 (三島幹事長)
大滝秀治 (久松経企庁長官)
内田朝雄 (山城防衛庁長官
小沢栄太郎貝塚官房長)
小松方正 (芦田二佐)
金親保雄 (小泉二佐)
辻萬長 (木村二佐)
加藤嘉 (原田空幕長)
丹波哲郎 (川又空将補)
アンドリュー・ヒューズ (ラッキード社ブラウン社長)
ビル・ブーン (ラッキード社・社員)
ジャック・ケリー (グラント社コナーズ社長)
井川比佐志 (毎朝新聞田原記者)
長沢藤夫 (毎朝新聞・資料室主任)
永井智雄 (毎朝新聞・政治部長
高橋悦史 (警視庁捜査二課長)
嵯峨善兵 (梅津大本営参謀総長
東塚源喜 (山田関東軍司令官)
藤岡重慶 (秦関東軍参謀長)
青木義朗 (石原司令官)
河崎保 (杉浦満州電々公社社員)
八千草薫壱岐佳子、壱岐正の妻)
秋吉久美子壱岐直子、壱岐の娘)
藤村志保 (川又久代)

山本薩夫監督の主な作品:
あゝ野麦峠・新緑篇(1982)
アッシイたちの街(1981)
あゝ野麦峠(1979)
皇帝のいない八月(1978)
トンニャットベトナム(1977)
天保水滸伝 大原幽学(1976)
不毛地帯(1976)
金環蝕(1975)
華麗なる一族(1974)
戦争と人間 完結篇(1973)
戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河(1971)
戦争と人間(1970)
天狗党(1969)
ベトナム(1969)
牡丹燈籠(1968)
ドレイ工場(1968)
座頭市牢破り(1967)
にせ刑事(1967)
氷点(1966)
白い巨塔(1966) ほか多数