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「全米映画俳優組合」が43年ぶりのストライキ!配信ルールの取り決めとAI規制。

アメリカ・ハリウッドで、俳優など16万人が所属する「全米映画俳優組合」(SAG-AFTRA)が43年ぶりのストライキを開始した。俳優協会と脚本家協会の同時ストは63年ぶりとなる。

俳優組合が求めるのは大きく2つ。

(1)“配信サービス”をめぐる報酬のルール作り。

10年以上、俳優組合に所属している俳優・松崎悠希氏によると「俳優は、印税による安定した生活が営めなくなってしまった。それで今まさに、俳優が生活をかけてストライキに入った。実は出演料より印税の方が高い」。

クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」に出演した松崎悠希の出演料は280万円。DVDなどの印税収入は700万円以上だった。

 

ただ、映像の楽しみ方がDVDからネットフリックスなどの配信サービスに移り、印税の正しい支払いの仕組みができていないのが現状。実際に、松崎氏の印税収入は、この10年間減るばかりだという。

(2)“AI規制”の促進。

実際、AIの技術は、人々の仕事を脅かすレベルまで来ているという。

AI技術により、最近のあるオーディションでは「俳優は実際に撮影には参加しません。ただし、俳優の外見をスキャンする」というオーディションも出てきているという。「スキャニングされた瞬間に、我々は俳優ではなくなって、ただのデジタルデータになってしまう」。

俳優たちとは別に、脚本家たちも5月から声を上げてきた。俳優と脚本家の同時ストライキは63年ぶりのこと。ロナルド・レーガン元大統領が俳優だった時代。

レーガンが率いた俳優組合は、劇場用映画がテレビで放映された場合、再使用料が支払われるルールを勝ち取った。

また、映画がビデオ化された時も、俳優たちは、自分たちの権利をストライキを通じて勝ち取ってきた。ただ、今回、俳優側と制作側の主張は平行線をたどっているという。

 

組合側の交渉担当者:「彼らがいう『画期的なAI提案』は、1日分のギャラで俳優をスキャンし、肖像権を所属会社が保有し、永久に使用できるもの。本人の同意もギャラもなしです」

一方、制作側は「画期的な提案を拒絶したのは俳優組合だ」との主張を展開している。

俳優組合のストの影響で、今月21日公開の「ミッション・インポッシブル」最新作に主演のトム・クルーズは、ストライキのため来日できなくなり、舞台あいさつが中止になった。

事態の収束まで、少なくとも数カ月はかかるとみられ、経済的損失は5000億円以上に上るとの予測も出ている。

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【「AIが俳優に」仕事奪う懸念】
配信サービスとAI技術の発展により、映像映画業界は転換期を迎えている。

AI技術の活用については、今はルールがないため脚本家・俳優組合は懸念を表明し、新いルール作りを求めている。

脚本組合は、AIが脚本を書くことで、脚本家が仕事を失う可能性を危ぐしている。映画会社側が、AIを使って、脚本家らの著作権を無視して過去の作品などを学習させ、新作を作ってしまうやり方。

俳優組合は、生成AIで俳優の肖像や声を学習させ、デジタル上で再現することで、声優や俳優の仕事を奪う可能性を危ぐしている。

すでにハリウッドでは、俳優を若返らせたり、亡くなった俳優を再現、本人の声で再現して吹き替えさせるなど、AIを使った映像表現が行われている。これらに対しても、代役や吹き替え声優などが仕事を失うという主張をしている。

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AIなどの技術の進歩は止められない。技術進歩によって、淘汰されていった職業、仕事は計り知れないほど多い。これからも、ロボットやAIが人間の仕事を置き換えていくのは明らか。

ただ、AIが、俳優の外見をスキャンして、自由自在に動かしていくというのは、もうモーション・ピクチャー(映画)とは言えなくなる。ゲームの世界のようで味気ない気がする。

公正な報酬、特に動画配信全盛の時代であることを踏まえたレジデュアル(再使用料)に関する対応、人工知能(AI)の使用に対する保護策の刷新を求めているのが実情。

今回初めて知ったが、アメリカの俳優は、映画の出演料のほかに、二次使用の印税の金額が多いのには驚いた。日本ではどうなっているのか…。

 

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