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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

Netflixドラマ「サンクチュアリ‐聖域‐」(全8話、2023)を完走!。

Netflixだからこそ製作できた「サンクチュアリ -聖域-」。全8話を鑑賞完走した。相撲の普段見られない稽古風景など、かなり厳しいシーンが描かれていてリアル。

ラストは、連勝街道をひた走るふたりの力士が対決するところでエンディングとなり、勝敗は明らかにされずに余韻を残した。

解説などによると、ドラマが大ヒットした要素には3つがあるという。

第一に、圧倒的な予算と時間と手間をかけて、丁寧に作られていること。Netflixのオリジナル作品ということもあり、一般的な地上波のテレビドラマとは比較にならないほど多額の制作費がかけられていることが見て取れる。

力士の役を演じる役者たちは、本物の力士に見えるように筋肉も鍛え抜かれている。制作者の並々ならぬ意気込み感じられる。取組が行われる会場や相撲部屋のセットの作り込みもすさまじい。

第二に、相撲の世界の美しい部分を描くだけではなく、ネガティブな部分にも堂々と踏み込んでいる点。相撲はきれいごとだけで成り立っているわけではなく、異常なまでに筋肉を鍛え抜いた男たちが、裸と裸でぶつかり合い、生半可な世界ではない。

その裏側にはどす黒いものが潜んでいるのは間違いない。ときにはその一部が表沙汰になってマスコミを賑わせることもある。

このドラマでは、そういうところも遠慮なく赤裸々に描いている。「かわいがり」と呼ばれる相撲部屋での猛烈なしごきやいじめ。さらに、八百長、星の貸し借り、金に物を言わせるタニマチなど、ダークな部分も見せている。

第三に、ストーリーが単純な勧善懲悪のような形になっていないので、話に深みがある。この物語に出てくる人物は、主人公も含めてみんな一癖も二癖もある人間ばかり。

主人公の小瀬清(猿桜一ノ瀬ワタル)は、地元ではもともと札付きの不良で、荒んだ生活をしていた。相撲部屋に入ってからも練習をサボったり、親方や先輩力士に生意気な口を利いて嫌われたりしていた。

その後、彼の心境に変化が訪れるのだが、悪者だったイメージがすべて塗り替えられるわけではない。猿桜は決して清廉潔白な正義の味方ではない。でも、そこがドラマとして味わい深いところでもある。

彼のライバル的な存在である静内という力士も、存在そのものがすごい。過疎半分が、火傷をして、壮絶な家庭環境で育ち、心に傷を負っていることをうかがわせる。

それ以外の主要な登場人物も、一筋縄ではいかないキャラクターが多数登場する。善人と悪人がはっきりとしていない。それぞれの人間が清濁併せ呑んで、自分なりの倫理観で現実に向き合っている。

暴力にあえて目をそらさずに描いているところがすごい。

 

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