先日のMLBのエンゼルス・大谷が「ピッチクロック」(投球動作に入るまでの時間制限)を取られたというのがニュースになった。今年からMLBに導入された制度で、目的は試合時間の短縮。
米大リーグの1試合の平均時間は昨年で3時間と言われ「ピッチクロック」が導入されれば、15分間は試合時間を短縮できるという。
「ピッチクロック」とは何か?
ピッチャーがボールを受け取ってから、投球動作に入るまでの時間制限のこと。あくまでも投球の動作に入るまでの時間で、投げ終わるまでではない。
一方、バッターは打席に入ってから、投球に備えるまでの時間制限のこと。
制限時間を過ぎてしまうと、それぞれにとって不利となるカウントが一つ追加される。
【投手】
投手の場合は、ランナーがありの場合となしの場合で投球時間の制限時間が異なる。
ランナー(走者)投球時間制限
なし 15秒
あり 20秒
投手が時間を過ぎてしまった場合には、「ボール」が宣告される。
【打者】
打者は、投手よりもその間隔は短くなっている。投球に備える時間制限は、残り8秒になるまでに打撃体制を取る。
8秒の間にではなく、残り8秒になるまでにというのがポイントで、打者が時間を過ぎてしまった場合には「ストライク」が宣告される。
【ピッチクロックの目的】
ファン離れを防ぐため試合時間を短縮するのが目的。日本に先駆けて、ルールを設けたアメリカでは、野球のほかアメリカンフットボール、バスケ、アイスホッケーの4つが「4大スポーツ」と言われて人気がある。
「4大スポーツ」の中でも、これまで野球だけが時間制ではない競技だった。そのため、他のスポーツに比べ、野球の試合時間が長い傾向にあった。
【4大スポーツの平均試合時間】
■野球 約3時間
■アメリカンフットボール 約2時間半
■バスケットボール 約2時間
■アイスホッケー 約2時間半
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エンゼルスの大谷翔平投手は5日(日本時間6日)、敵地・マリナーズ戦に「3番・投手」で投打同時出場し、投打でピッチクロックの違反を取られた。
投球では5回まで6四死球を与えたものの、3安打1失点と粘投。今季初勝利の権利を手にした。
米メディアは「投打でピッチクロックの違反はユニークな歴史を作る」と、二刀流スターのトピックスを大々的に報道した。
大谷は両手を広げて「はあ?」と不服を示すジェスチャーをした。
大谷は1回を終えると、すぐに水原一平通訳を呼んで球審に説明を求めた。フィル・ネビン監督もベンチから出てきて、約2分間にわたって話し合いが行われ、大谷は実際の投球動作を示しながら、どこから、どんな形がセットと認められるのかを確認したという。
スポーツイラストレイテッド誌は「大谷がマリナーズ戦でのピッチクロック違反でユニークなMLBの歴史を作る」との見出しを取り「エンゼルスのスーパースターの大谷がマリナーズ戦でありがたくないMLBの歴史を築いた」と報じた。
投打でピッチクロックをコールされた大谷
「投打の二刀流で出場した大谷は、同一試合でピッチクロック違反を両方の役割でコールされた」とし、2つのピッチクロック違反場面を説明して、そのハンデをものともせず投手としては三振に打ち取り、打者としては四球を選んだことを伝えた。そして「この男に本当にできないことは何もない」と称賛した。