「サラブレッド」(原題:Thoroughbreds、2017)を見る(Netflix)。
出演は「レディ・プレイヤー1」(2018)のオリビア・クック、「ウィッチ」(2015)「スプリット」(2017)のアニヤ・テイラー=ジョイの人気若手女優が共演したサスペンス映画。サンダンス映画際では観客賞、インディペンデント・スピリット賞では新人脚本賞にそれぞれノミネート。こんな豪邸があるのかという大邸宅が舞台で、そこだけが見どころのB級スリラー。
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コネティカット州郊外のとある豪邸。
アマンダ(オリビア・クック)は長年疎遠になっていた子供時代の友人、リリー(アニャ・テイラー=ジョイ)と再会した。リリーの母は金持ちの男と再婚し、豪邸に住んでいた。
その豪邸に驚くアマンダ。アマンダはなぜか、馬上のリリーの写真や侍の刀に興味をもつ。リリーは洗練された女子学生に成長しており、名門校に通いながら一流企業でのインターンシップに精を出していた。
一方のアマンダは鋭い知性を有していたが、個性的すぎるために上手く周囲と馴染めずにいた。
アマンダはリリーの継父マーク(ポール・スパークス)に会うが、アマンダはすぐさまリリーがマークを嫌っていることを確信する。アマンダはリリーが自分とは縁遠い存在になったと思っていたが、リリーが抑圧的な継父に悩まされていることを知り、力になりたいと思うようになった。
2人はどんどん親密になっていったが、それと同時に、2人の内に秘められた凶暴性が明るみに出てきた。
やがて、2人はドラッグの売人ティム(アントン・イェルチン)を雇ってリリーの継父を殺害することを計画するに至る。だが、その計画が失敗に終わったとき、事態はとんでもない方向へ転がっていくのだった。
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性格が全く異なる二人の少女が、隠されていた狂暴性を発揮するという話。アマンドは非社交的な性格で、アマンダの母親が、アマンダのかつての友達であったリリーを家庭教師に雇い、心を開かせようとしたが、リリーも悩みを抱えていた。その悩みというのが、継父マークの存在。短絡といえば短絡だが、アマンダがさり気なく「消してしまえば」という提案を行う。
あれこれ考えた末に、ドラッグ売人に、強盗を装って殺す計画を練るが、失敗に終わり、リリー自身が手を下すことになる。
元々舞台用にかかれた原作のようで、舞台を見ているような印象。
映画の冒頭で競走馬(サラブレッド)が登場する。ラストシーンで「町にはサラブレッドしかいないわ」というアマンダの最後の言葉があり、町にあふれる美しく気高いサラブレッドの群れ。だが、真の姿は、感情的で凶悪な悪魔なのかもしれないというオチ。
監督は新人で、展開もサスペンスに欠けて起伏にも乏しく、平凡でB級以下のスリラーとなっている。
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主要人物:
■リリー・レイノルズ(アニャ・テイラー=ジョイ)
お金持ちの家庭に生まれ育ったお嬢様。一見クールだが、実際は感情的でわがまま。アマンダの母から相談され秘かに報酬を貰い、彼女に勉強を教える。15歳の時に実父が亡くなり、新しくやってきた母の再婚相手は、人を見下す高圧的な態度で自分と接するため折り合いがつかない。
■アマンダ(オリヴィア・クック)
風呂にもまともに入らないほど自分の見た目には無頓着だが、自他分析に長けており冷静沈着。他者に共感できず、感情の動きが一切ない障害を抱えている。リリーが母から金を受け取って自分に勉強を教えていることや、彼女が実際は学校を退学させられており、インターンシップをしていると嘘を吐いていることを見抜いている。
■ティム(アントン・イェルチン)
未成年相手に麻薬を売りつける売人。大きな夢を語ってはいるが、実際には大した挑戦もせず介護施設で皿洗いのバイトをしている。23歳の時に高校生をレイプした罪がある。
■マーク(ポール・スパークス)
母の再婚相手でリリーの継父。リリーを問題のある特殊学校にいれて追いだそうとする。
■シンシア(フランシー・スウィフト)
■カレン(ケイリー・ヴァーノフ)