「her/世界でひとつの彼女」(2013)を見た。国内では2014年6月28日に公開された。スカーレット・ヨハンソンが声だけ出演しているというのがユニークだ。
「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の奇才スパイク・ジョーンズ監督が、「かいじゅうたちのいるところ」以来4年ぶりに手がけた長編作品。
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舞台は近未来のロサンゼルス。主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)は、ハートフル・レター社という会社の社員で、相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる、代筆ライターの仕事をしている。
そんなある日、セオドアは1つの広告を目にする。
世界初の人工知能(AI)型OSの広告だった。興味を抱いたセオドアはさっそく購入し、起動させる。するとパソコンから聞こえてきたのは、魅力的な女性の声。OSは自らの名前を”サマンサ”と名付け、自己紹介。
サマンサ(声:スカーレット・ヨハンソン)はセオドアの生活に欠かせない存在となっていく。セオドアの日常生活や仕事をサポートするだけではなく、サマンサの言葉にはユーモアがあり、セオドアはサマンサとの会話を楽しんでいた。
セオドアはあるとき、美女とデートをするものの、土壇場で腰が引けてしまい、結局うまくいかなかった。セオドアは自分のことを何でも理解してくれるサマンサに、いつしか惹かれていったのだった。
サマンサもまた、セオドアに惹かれていく。セオドアはイヤホンをつけ、外出中や旅行中でも終始サマンサと話し、行動を共にする。セオドアは実体の無い、音声だけのコンピュータに恋心を抱いている自分を変だと思いつつも、気持ちを抑えることができない。
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孤独な男が、心の隙間を埋めるために、人工知能ロボットとも言える「OS」と人間的なつながりを見出そうとする話。そのOS”サマンサ”は、当初の「制作意図を超えて進化している」といい、その進化を止めることはできず「心は四角い箱じゃない」というのだが、何年先かわからないが、人間に近い感情を持ったロボットが登場するのだろうか。
セオドアは、あるときサマンサに、自分以外に何人の人間と話をしているのかと聞くと「8,316人」という答えが返ってきて驚愕する。しかもそのうち、愛情を感じているのが641人というのだ。サマンサは、本当に意思疎通ができて好きなのはセオドアだけだというのだが、やがて別れの時が来る。
夫と離婚して同じOSで恋人とつきあっているという大学仲間のエイミー(エイミー・アダムス)は、時々会って、セオドアの話の聞き役だったが、エイミーに会うと「サマンサも去ったの?」と慰められ、二人で屋上に行く。セオドアは、キャサリンに手紙を書き「僕の心には君がいる」としたためるのだった。
地下鉄などから上がってくる人々が皆、耳にイヤホンをつけて、OSと話をしている光景には、笑ってしまう。
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