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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「十三人の刺客」(三池崇史監督、2010)

 
 
 
映画「十三人の刺客」(2010を見た。1963年の作品を三池崇史がリメイクした。
 
三池監督は、暴力・バイオレンス描写が得意と自他ともに認めているように「十三人の刺客」でも、2時間半近くの映画のおよそ1時間は、侍の刀による争い(殺陣)シーンが延々と続いて、刀のぶつかる音がキンキンと耳に響く。
 
バイオレンス描写は、クエンティン・タランティーノ監督にも影響を与えたといわれ、首が飛ぶシーンや、刀が胴体を突きぬいたりと残酷で、苦手な人は、目をそむけてしまう映画だ。
 
タイトルは「十三人」だが、実際には、十二人の侍だ。一人は、自然とともに生きているような山の住人。ひょんなことで、侍の一行に加わるというのは、あの名作「七人の侍」の最後の一人、菊千代(三船敏郎)をほうふつとさせる。役柄も似ていて、「七人」を意識していないと言ったらウソだろう。
 

明治時代になる直前の二十数年前の徳川の時代。横暴を極める一国の主君(将軍の弟)を守るのが武士の務めと、残虐・非道であっても仕えようとする侍(侍の本文という建前を重んじる)と、世のため、苦しむ人民のためにその命をもらうことに結束した侍たちの壮絶な争いを描いている。
 
たったの13人で、300人とも見られる侍を相手に勝ち目はあるのか・・・といったところが見所。そこには、工夫、戦略があった。
 
俳優がすごい。役柄が覚えきれないので、俳優名だけ。
十三人のまとめ役で主人公の島田新左衛門を演じるのが役所広
仲代達矢無名塾」の第一号俳優で、コミカルからシリアスまで幅広い演技派だが、「十三人の刺客」は、代表作になるとみられる。
 
 
中でも、松方弘樹は、時代劇における貫禄など別格だ。
 
伊勢谷友介は、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」の主役に続いての、目立った得な役どころで、大いに暴れまわる。無類の女好きで、宿場のすべての女に手をつける。その上、いくらなんでも・・・(監督のせいだろうが、そこまでやるか・・・のシーンが。爆)。
 
悪の権化のような大名を演じる稲垣吾郎は、昔の「暴君ネロ」のような人間で、無表情で、女子供に遊びで、弓矢を放ったり、女の両手・両足を切ったり平然として、ゆがんだ性格が、おぞましく、大悪党を演じる。
 
「争いごとは面白い」と言ってのけ、自身が近いうちに「老中」に就任することになろうとしているが「老中になっても、いくさの時代をつくりたい」と語る。その一方で、自分が刀で切られて、死に直面すると「痛い。痛い。」とか「(死ぬのは)怖い。怖い」と叫ぶ姿が哀れだが、この人物には同情の余地は全くない非道な「悪人」だ。
 
 
伊原剛志は、剣の道に優れていて、常に鍛錬して、映画の中では、剣豪ぶりを見せつける。舞台の重鎮・松本幸四郎平幹二朗、ミュージカル・舞台のトップ俳優・市村正親などが貫録を見せつける。
 
岸部一徳は、この映画では、出番は少ないが、金に目がない商人根性むき出しで、変な趣味があったのか(笑)。光石研などは、できるだけ目立たないような、どこにでもいる人間を演じたらピカ一だが、この映画でも、そんな味のある役どころだった。気がつかないと、どこに出ていた、となるだろう(笑)。
 
上にも書いたが、チャンバラシーンが長すぎる。
見ていて、まだ終わらないのかと続く。敵方の侍は、200300人のはずで、かなり死んだにも関わらず、しばらくして、侍がどどど~と現れる。
 
「えええ、まだこんなに生きていたの」と思ってしまう。昔の時代劇では、一度死んだ人間が、別のシーンでまたでてきたりということもあったようだ(笑)。俳優が、二役、三役を兼ねていたのだ。「仁義なき戦い」のシリーズも、死んだはずの役者が、次には別の役柄で出てきたり、と。
 
吹石一恵が、途中ほんの数カット出てくるが、再びラストシーンに登場。
なんだ、侍の争いに名を借りた「ラブ・ストーリー」だったのか?(爆)。
 
※「刺客」の読み方がいつも話題になるが、本来は「しかく」が正しいが、一般の口語では「しきゃく」も通っており、間違いではないそうだ。資格、視覚、四角、死角など同音異義語が多いため、TVでは、「女性議員の刺客(しきゃく)が送られて・・・」と使っている。目くじらを立てることもなさそうだ(笑)。(「重複」も「ちょうふく」「じゅうふく」ともに正しい。)
 
三池監督の主な映画作品:字数制限で大幅カット。
第三の極道1995117日公開、ヒーロー配給)
新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争1995大映配給)
極道戦国志 不動1996ギャガ・コミュニケーションズ配給)
岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇1997シネマ・ドゥ・シネマ配給)
極道黒社会 RAINY DOG1997大映配給)
中国の鳥人1998シネマ・ドゥ・シネマ/セディック インターナショナル配給)
アンドロメディア1998松竹配給)
BLUES HARP1998ボノボ/パノラマ・コミュニケーションズ配給)
岸和田少年愚連隊 望郷1998松竹配給)
日本黒社会 LEY LINES1999大映配給)
サラリーマン金太郎1999東宝配給)
DEAD OR ALIVE 犯罪者1999大映配給)
オーディション2000アートポート配給)
漂流街 THE HAZARD CITY2000東宝配給)
DEAD OR ALIVE 2 逃亡者 2000大映配給)
ビジターQ2001シネロケット配給)
FAMILY2001エクセレントフィルム配給)兼撮影
天国から来た男たち2001日活配給)
殺し屋12001年製作、日本/香港/韓国合作)
DEAD OR ALIVE FINAL2002大映配給)
カタクリ家の幸福2002松竹配給)
熊本物語2002
荒ぶる魂たち2002大映配給)
新・仁義の墓場2002大映配給)
MPD-PSYCHO/FAKE MOVIE REMIX EDITION2002物語環境開発配給)
金融破滅ニッポン 桃源郷の人々2002大映配給)
実録・安藤昇侠道伝 烈火2002東映ビデオ配給)
SABU 〜さぶ〜2002キネマ旬報社配給
許されざる者2003シネマパラダイス配給)
極道恐怖大劇場 牛頭 GOZU2003年)
美しい夜、残酷な朝 2004製作、香港/日本/韓国合作)
着信アリ(2004年、東宝配給) ☆☆☆
ゼブラーマン(2004年、東映配給)
IZO(2004年、チームオクヤマ配給)
妖怪大戦争(2005年、松竹配給)
WARU(2006年、真樹プロダクション配給)
46億年の恋(2006年、エスピーオー配給)
太陽の傷(2006年、シネマパラダイス配給)
龍が如く 劇場版(2007年、東映配給)
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(2007年、ソニー・ピクチャーズ配給)★★
クローズZERO(2007年、東宝配給)
神様のパズル(2008年、東映配給)
ヤッターマン(2009年、松竹/日活配給)
クローズZERO Ⅱ(2009年)
ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲(2010年)
十三人の刺客(2010年) ☆☆☆
忍たま乱太郎(公開日未定)
 
一命(2011年10月15日公開、松竹配給) ☆☆☆
逆転裁判(2012年2月11日公開、東宝配給) ★★
愛と誠(2012年6月16日公開、角川映画東映配給) ☆☆☆☆
悪の教典(2012年11月10日公開、東宝配給) ★
藁の楯(2013年4月26日公開、ワーナー・ブラザース映画配給)☆☆☆
土竜の唄 潜入捜査官REIJI(2014年2月15日公開、東宝配給)
喰女 -クイメ-(2014年8月23日公開予定、東映
神さまの言うとおり(2014年秋公開予定、東宝配給)
極道大戦争(2015年公開予定、日活配給)
 
 
 
 
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