映画「スープ・オペラ」予告編
近くのシネコンで、どれを見ようか迷っていたが時間が合うのがこれだった。
最近日本映画も好調で、タイトルだけしか知らなかったが「スープ・オペラ」は
予備知識なく見たら、これが面白かった。
ソープ・オペラに引っかけたタイトルのようだ。「ソープ・オペラ」と言えば、昼メロのことで、アメリカで、昼の時間帯に連続メロドラマがあって、スポンサーに石鹸(ソープ)メーカーが多かったことから、こう呼ばれている。
日本でも、昼ドラ、昼メロは、家庭の主婦が中心に見るので、スポンサーは、花王などの石鹸メーカーなどが多く、ソープ・オペラと呼ぶ。ソープ・ランドは、全く違う世界だ(爆)。
「スープ・オペラ」というタイトルだが、主人公の女性、ルイ(坂井真紀)は小さい時に母が亡くなり、父親も誰だかわからず、母の妹、トバおばちゃん(加賀まりこ)とずっと暮らしてきた。この母親代わりのトバちゃんが、お金はなくても、安くておいしいのがスープだと教えられてきたルイ。このスープがおいしそう! 夕食は、薄いハムと鳥ガラのスープが定番だ。
今日も夕食の支度を始めると鶏がらスープのいい匂いが漂ってくる。
だがある日、トバちゃんが還暦を前に恋に落ちて、突然家を出て行ってしまう。
独りになったルイの前に現れたのは、見知らぬ中年男。田中十二夫(藤竜也)、トニーと名乗るその男は、勝手に庭でキャンバスを広げて絵を描いていた。このトニーは、絵を描くのもうまいが、うどんをこねて、手打ちうどんを作ってしまう器用さもある。薬味やノリをかけて、おいしそうなのだ。
ルイに追い返されても、トニーは、数日後には再び現れた。その一方で、出版社勤務の親友、奈々子(鈴木砂羽)に誘われ、人気作家、井上豪とのディナーに同席することになるルイ。そこで出会ったのが康介(西島隆弘)。
一人の独身女性と、怪しげな初老の芸術家と若いアルバイトの男が、一つ屋根の下で生活するようになるが、そこに芸術家が逃げ出してきた妻(余貴美子)が現れたり、美人がそばにいないと原稿が書けないという風変わりな作家、井上や、ルイが務める図書館の館長、ルイに密かに思いを寄せる変な男などが登場して、ハチャメチャに面白い。
この映画では、坂井真紀が、独身30女の心情をよく表わしていて、うまい。
”トニー”と呼ばれる藤竜也は、もう名人芸。人生経験が豊かで、言う言葉の一つ一つに味がある。謎を秘めたような人物だが、主人公のルイにとっては、どのような関係なのか・・・?
このトニーの妻を演じるのが、これまた脇役で光る余貴美子。今回は、これまでの役どころとはちょっと違って、驚き。ド派手!
ルイの友人の編集者、奈々子を演じる鈴木砂羽という女優は、作家に原稿を催促する役だが、女っぽいところがあって、ちょっと魅力的(爆)。初めてかなと思ったら「剣岳 剣の記」「なくもんか」で見ていたが思い出せない(泣)。
加賀まりこは、和製BB(ブリジット・バルドー)と言われるようにかつては小悪魔的な魅力を振りまいていたが、今でもチャーミング。25歳くらい年の離れた男(30代半ば)とこの映画では、結婚してしまうが、若い男と新婚気分で、歳を感じさせない。
「スープ・オペラ」は、大きなドラマティックな話があるわけでもないが、後味が良く、
ファンタジー的なところもあり見どころの多い映画だった。
これはお勧め。
☆☆☆☆