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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">「天国と地獄」がリメイク。</span>

 
 黒澤明監督の「天国と地獄」(1963)が、テレビ用ドラマとしてリメークされる。

 「天国と地獄」は、黒澤監督の作品の中では、お気に入り「ベスト3」の1本です。 
 (他の2本は、「七人の侍」と「椿三十郎」)娯楽映画として、引き付けられます。

 「天国と地獄」が公開されたのは、昭和38年(1963年)、東京オリンピックの前年
 でした。当時は、まだ小さかったので、この映画については、知りませんでしたが、
 この映画の誘拐の手口を真似て、凶悪な「吉展(よしのぶ)ちゃん」誘拐・殺人
 事件があったのは、よく覚えています。戦後最大の事件(当時)といわれ、
 連日、犯人探しの報道がなされていました。

 この映画については、書き始めると長くなりますので、概要は、こちらを
 ご参照ください:http://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/38907516.html

 リメイクするのは、映画「愛の流刑地」の鶴橋康夫監督。脚本も務める。

 靴の会社の重役に佐藤浩市(オリジナルは、三船敏郎)、犯人を追う警部に
 阿部寛仲代達矢)、そのほか、「華麗なる一族」で愛人として存在感を
 示した鈴木京香などが出演する。テレビ朝日の今秋のテレビドラマとなる。

 簡単なあらすじ:
 身代金目的の誘拐を描いたサスペンス。靴メーカーの重役の子供と間違われ、
 運転手の子供が誘拐される。重役は、全財産を投げ出して身代金を肩代わり。
 子供を取り戻すが、犯人は金を奪い逃走。この、手渡しの方法が、意表をついている。

 警察は、威信を懸けて捜査するのだが・・・。

 



                     ↑オリジナルの「天国と地獄」

 全編、息の詰まる展開。とくに特急(当時は、こだま)からの身代金受け 
 渡しシーンは有名。今回も実際の特急を使って再現するという。

 犯人の動機は、安アパートから見上げると高台の豪邸が目に入る。
 下町から見上げるうちに、憎悪が次第に募ってくる。高度経済成長が始まり、
 徐々に貧富の差がつき始めた当時だけでなく、現代につながるテーマも
 描いているという。

 鶴橋監督は、格差社会と言われる現代にこそリメークするべき作品と強調。
 「お互い上を見たり下を見たりしているが、結局みんな一緒。財産を失った 
 重役も逮捕された犯人も本当は同じ場所に立っていたんだと思う」と主張した。

 監督は、お得意の男と女の色気を醸し出した演出も加味したという。
 黒澤版にはない、誘拐された子供が共犯者の女性に恋心を抱くといった
 エピソードも盛り込まれているようだ。

 黒澤作品は、リメイク製作中の「椿三十郎」も、公開が待たれている。
 過去の名作のリメイクは、外国だけでなく、日本にもあるようだ(笑)。

 オリジナル作品を超えるとは到底思えないが、かつて感動した作品が、
 どのように新たに、料理されているか、今から楽しみではある。