「あるいは裏切りという名の犬」(原題:36 Quai des Orfèvres、2004)は衝撃の実話をベースに、権力志向の強い野心家の刑事(ジェラール・ド・バルデュー)と、彼の策略で投獄された正義感あふれる刑事(ダニエル・オートゥイユ)の運命を描いたフレンチ・ノワール。
原題は「オルフェーヴル河岸36番地」で、パリ司法宮の南側に間借りしていた旧パリ司法警察局の所在地のことで、"パリ警視庁"のことを指す。日本の警視庁のことを本部の所在地付近の旧称「外桜田門」から通称「桜田門」というのと同じか。
監督は元警察官のオリヴィエ・マルシャル。実話を下敷きにパリ警視庁の次期長官の座を目指すライバルの男性2人を、ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューという仏映画界の2大トップスターが渋く演じた犯罪ドラマ。「お嬢さん、お手やわらかに!」のミレーヌ・ドモンジョも出演。
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パリ警視庁の警視レオ・ヴリンクス(ダニエル・オートゥイユ)とド二・クラン(ジェラール・ドパルデュー)は、かつては親友同士だったが、同じ女性カミーユ(ヴァレリア・ゴリノ)を巡って相争い、結局はレオがカミーユと結婚して2人の友情は壊れ、今や互いにライバル心を抱き、パリ警視庁次期長官の座を巡って争い合う宿敵同士になっていた。
そんな時、パリで現金輸送車の強奪事件が連続発生。クランが犯したミスによって、レオの親友エディ(ダニエル・デュヴァル)の命を奪ったのを機に、2人はますます対立の様相を深めていいった。
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ハリウッド映画の「LAコンフィデンシャル」は、俳優で見せる一級の映画だったが、それに近いフランス版の警察の内幕映画のような印象を持った。
日本では2006年のフランス映画祭で初上映された際に当初「パリ警視庁/オルフェーブル河岸36」の仮題が付けられていたが、タイトルが「あるいは…」で始まるところがユニーク。
派手さはないもののいかにもフランスのノワールといった渋さがあった。
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