fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「隠された記憶」(2005)

 
 
隠された記憶原題:仏: Caché、英: Hidden2005を見た。
監督は、ミヒャエル・ハネケ(「ピアニスト」)。第58回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。第18回ヨーロッパ映画賞では作品賞監督賞など5つの賞を受賞。
 
一筋縄ではいかない考えさせられる映画だった。
”衝撃”シーンがあり、気が弱い人は避けたほうがいいかも。ラストシーンでは、平凡な光景が延々と映し出され、なんだろうと思って見過ごしてしまったが、あとから”あること”を発見してから、ようやく納得した。(見ていない人には意味不明?)。
 
 出演は、フランスを代表するダニエル・オートゥイユジュリエット・ビノシュのほか、モーリス・ベニシュー、アニー・ジラルド、ベルナール・ル・コクほか。
 
(あらすじ)
テレビ局の人気キャスター、ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は美しい妻アン(ジュリエット・ビノシュ)と一人息子のピエロ(レスター・マクドンスキ)と幸せな日々を送っていた。そんなある日、彼のもとに送り主不明のビデオテープが届く。
 
そこにはジョルジュの家を正面から隠し撮りした映像が映っていた。
テープは何度も送られてきて、内容も回を追うごとにプライベートな領域へとエスカレートしていく。次第に恐怖が高まり、家族の間に亀裂が生じ始める。そんな中、やがてジョルジュの中で、少年時代のある記憶が呼び起こされていく・・・allcinemaより)
  
              ラストシーンの光景
カンヌ国際映画祭で絶賛されたというフランス映画隠された記憶は、ジャンルでいえばスリラーテレビキャスターとしてそこそこ成功し、妻や息子と幸せに暮らしている男の元へ、1本のビデオテープが送られてくるところから話は始まる。
 
そのテープの内容は、延々と自宅の玄関が映されているだけという、意味不明なもの。誰が何の目的で・・・。やがて第2弾、第3弾が届くにつれ、家族の恐怖は増してゆく。カメラが据えっぱなしで、延々と同じシーンが続くので、途中睡魔に襲われるが、うとうとから、気が付いても、まだ画面が変わっていなかった、ということも(笑)。
 
見ているわれわれ観客は、差出人が誰なのか、その目的もわからない。不気味で落ち着かない。一切の音楽ない演出
 
淡々と描かれていくが、瞬きもできないある一瞬で、”映画史上類を見ない”ほどのショッキングなシーンが登場する。
 
たとえば「椿三十郎」のラストシーンなら、剣豪二人が決闘に望むので、これから起こることは想像できるので、気持ちの準備はできる。ところが、この「隠された記憶」では、まったくわれわれが無防備でいるところに衝撃が走る。
 
この映画は、いったいビデオを送り付けたのは誰か・・・の回答がない。
監督が解釈を観客にゆだねているようなのだ。スリラーとしての緊迫感、深いテーマ性、不気味なムード、そして大ショック
 
決して楽しくも感動する映画でもないが、見るものに強烈なインパクトを与え、大いに考えさせてくれる一本である。タイトルの「記憶」とは40年前の子供のころの記憶。
 
子供のころ、自分では気づかなくても、人種的な偏見などで相手の子供には深い痛手、傷を負わせていたこと。傷ついた少年が、40年の時を経て、偶然にテレビで発見した男と名前から復讐したものか・・・。

ビデオと共に添えられた鶏のノドをかき切ったような子供っぽい絵などが伏線となっていた。怖~い映画でもあった。
主人公が自己中で、感情移入ができない。むしろ妻のほうの不安げな表情などが、さすがビノシュといったところ。
 
・・・
キャスト
アン・ローレント=ジュリエット・ビノシュ
ジョルジュ・ローレント=ダニエル・オートゥイユ
マジッド=モーリス・ベニシュー
ジョルジュの母親=アニー・ジラルド
レスター・マクドンスキ - ピエロ
ジョルジュの上司=ベルナール・ル・コク -
マジッドの息子=ワリッド・アフキ
ピエール=ダビエル・デュヴァル

スタッフ
監督 ・脚本 ミヒャエル・ハネケ
製作 ファイト・ハイドゥシュカ
製作総指揮 マルガレート・メネゴス・ミヒャエル・カッツ
撮影 クリスチャン・ベルジェ
編集 ミシェル・ハドゥスー
ナディン・ミュズ
配給 ムービーアイ・エンタテインメント
公開 2005年5月14日(CIFF)・2006年4月29日
上映時間 117分
製作国 フランス・オーストリア・イタリア・ドイツ
言語 フランス語
2005年カンヌ国際映画祭で、監督賞など3部門受賞。
 
ミヒャエル・ハネケ監督の最新作「愛、アムール」(2012)を見た時に、「白いリボン」(2001)もいいと勧められて、いま見ようとしているが、たまたま「隠された記憶」(2005)が先になった。
 
主演のジュリエット・ビノシュといえば「イングリッシュ・ペイシェント」(1996、アカデミー賞助演女優賞受賞)のほか、「存在の耐えられない軽さ」(1988)などが印象に残る。近作では渡辺謙も出演したアメリカ版「Godzilla ゴジラ」(2014)にも出演していた。ダニエルオートゥイユは「あるいは裏切りという名の犬」(2004、日本公開2006)の警視役が目立った。
 
☆☆☆