「死刑執行人もまた死す」(原題:Hangmen Also Die!、1943、日本公開1987年)を見た。 ぐいぐい引き込まれるおもしろさ! ドイツ映画の巨匠フリッツ・ラング作品にハズレはないようだ。
原案・脚本は、ドイツの有名な劇作家であるベルトルト・ブレヒトとフリッツ・ラングの共同で担当。脚本のみでジョン・ウェクスリーが参加。音楽はハンス・アイスラーが担当。出演はブライアン・ドンレヴィ、ウォルター・ブレナンほか。オリジナル版は120分。
例えば、レジスタンス仲間が集まった席で、プラハの地元の人間が”ドイツ語でないと笑えないジョーク”を紹介すると、1人は、あとで通訳してくれと言うのだが、ジョークを紹介している時に笑い転げる人間がいた。スパイとして潜り込んだゲシュタポが、ドイツ語を理解できて笑ったことが命取りになったのだ。
・・・
その夜、ゲシュタポに追われる犯人の医師フランツ・スヴォボダ(ブライアン・ドンレヴィ)はマーシャ一家が住むアパートに身を隠した。マーシャは教授の父(ウォルター・ブレナン)、母(ナナ・ブリアント)、弟のボタ(ビリー・ロイ)と住んでいて、ヤン・ホレック(デニス・オキーフ)というフィアンセがいた。
ゲシュタポは対抗措置として市民の逮捕・連行をはじめ、教授を連れ去った。
そしてチャカ(ジーン・ロックハート)という男を収容所の市民たちの間にまぎれ込ませ情報を取ろうとした。
マーシャは父の件でスヴォボダに自首するように頼みに行くが断られる。
意を決したマーシャはゲシュタポ本部に向かうが、途中でレジタンスや市民に妨害を受け罵られる。
連行者のリスト作成に協力したのはチャカであった。
やがてレジスタンスの重要メンバーがレストランに集まる日が来た。
そこにゲシュタポが乱入、メンバーを殺害するなどしたもののリーダーのデディッチはとり逃した。
ゲシュタポはただちに日頃マークしていたスヴォボダの家に捜査に向かった。
負傷したリーダーを匿っていたスヴォボダはマーシャとの情事の最中を装い追求をかわすが、主任、グリューバー(アレクサンダー・グラナッハ)は現場にホレックを連れてきてくる。
翌日、マーシャとスヴォボダはレストランに行く。彼女はそこでナチの地区司令官暗殺の犯人はチャカだと告発し、ナチは彼を連行する。
チャカはレストランで食事をしていたと証言、だがレストランの人々は彼はいなかったという。他にもチャカのアリバイを崩す証言が次々と出てくるのだった。チャカのアリバイはグリューバーが握っていた。
その頃ホレックの部屋に居座っていたグリューバーはスヴォボダはマーシャの偽証に気づく。阻止しようとしたホレックを打ち倒しグリューバーはスヴォボダの勤める病院に向かう。そこでグリューバーはスヴォボダに殺される。
ホレックによりグリューバーがチャカの家に向かったと通報を受けたナチは、チャカの家に捜査に出向く。否定するチャカを余所に彼の執事は確かにグリューバーが訪れたと証言する。
そして書斎からは総督暗殺に使われた拳銃が、地下室からはグリューバーの死体が発見されるのだった。二重スパイとして連行されたチャカをナチは街中で釈放しその場で射殺する。
チャカを暗殺犯に仕立て上げるプラハ市民たちの作戦は成功したが、ノヴォトニー教授を含め多くの連行者は結局処刑されてしまった。そしてベルリンからは、ナチの威信のためにチャカを犯人にするようにという指令がプラハ占領本部に届くのであった(MovieWalker)。
レジスタンスの仲間といっても、軽々しく情報を他人に言うな、というのが徹底されていた。リーダーによると、Aが仲間のBに言ったことが、次にCに伝わり、そこからD、Eへと広がり、やがてG(ゲシュタポ)に伝わってしまうからだという。
フリッツ・ラング監督作品では「M」が圧倒的におもしろいが、「死刑執行人もまた死す」も負けず劣らず、わくわく、ハラハラさせる映画だった。
主な登場人物:
・フランツ・スヴォボダ医師(偽名:カレル・ヴァニヤック) - ブライアン・ドンレヴィ: 暗殺犯。レジスタンスのメンバー。
・ステファン・ノヴォトニー教授 - ウォルター・ブレナン: 大学教授
・マーシャ・ノヴォトニー - アンナ・リー: ノヴォトニー教授の娘。
・エミール・チャカ - ジーン・ロックハート: ゲシュタポの手下
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