fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「死刑執行人もまた死す」(1942、日本公開1987)

 
死刑執行人もまた死す」(原題:Hangmen Also Die!、1943、日本公開1987年)を見た。 ぐいぐい引き込まれるおもしろさ! ドイツ映画の巨匠フリッツ・ラング作品にハズレはないようだ。
 
反ナチ・レジスタンス映画の屈指の傑作と言われる作品だが、日本での公開は、40数年後の1987年12月だった。
 
1942年に実際に起きた、ナチス・ドイツベーメン・メーレン保護領チェコ)を統治していた副総督ラインハルト・ハイドリヒの暗殺事件「エンスラポイド作戦」から着想を得ている。
 
第2次大戦中のチェコプラハを舞台に、ナチスに追われるレジスタンスの恐怖を描く。監督は「メトロポリスM」などでドイツ映画の黄金期を築いたフリッツ・ラング
 
原案・脚本は、ドイツの有名な劇作家であるベルトルト・ブレヒトフリッツ・ラングの共同で担当。脚本のみでジョン・ウェクスリーが参加。音楽はハンス・アイスラーが担当。出演はブライアン・ドンレヴィウォルター・ブレナンほか。オリジナル版は120分。
 
ゲシュタポナチスの秘密警察)とレジスタンス(反ナチのチェコの抵抗地下組織)との駆け引きの面白さにうならされる。脚本、セリフの面白さが圧巻!。
 
例えば、レジスタンス仲間が集まった席で、プラハの地元の人間が”ドイツ語でないと笑えないジョーク”を紹介すると、1人は、あとで通訳してくれと言うのだが、ジョークを紹介している時に笑い転げる人間がいた。スパイとして潜り込んだゲシュタポが、ドイツ語を理解できて笑ったことが命取りになったのだ。
 
・・・
第二次大戦中、ドイツ占領下のプラハで“死刑執行人”とあだ名されるナチの総督が暗殺された。マーシャ・ノヴォトニー(アンナ・リー)は怪しげな男を目撃したが追ってきたナチには別の方向へ逃げたと証言した。
 
 
 その夜、ゲシュタポに追われる犯人の医師フランツ・スヴォボダ(ブライアン・ドンレヴィ)はマーシャ一家が住むアパートに身を隠した。マーシャは教授の父(ウォルター・ブレナン)、母(ナナ・ブリアント)、弟のボタ(ビリー・ロイ)と住んでいて、ヤン・ホレック(デニス・オキーフ)というフィアンセがいた。
 
ゲシュタポは対抗措置として市民の逮捕・連行をはじめ、教授を連れ去った。
そしてチャカ(ジーン・ロックハート)という男を収容所の市民たちの間にまぎれ込ませ情報を取ろうとした。
 
マーシャは父の件でスヴォボダに自首するように頼みに行くが断られる。
意を決したマーシャはゲシュタポ本部に向かうが、途中でレジタンスや市民に妨害を受け罵られる。
 
鎮圧に来たゲシュタポに連れられて本部に来たマーシャだったが、通報せず父の無実を訴えた。その言動にゲシュタポは不審を抱く。ゲシュタポは見せしめに、連行した市民たちを毎日3人ずつ処刑しはじめる。
 
連行者のリスト作成に協力したのはチャカであった。
やがてレジスタンスの重要メンバーがレストランに集まる日が来た。
そこにゲシュタポが乱入、メンバーを殺害するなどしたもののリーダーのデディッチはとり逃した。
 
ゲシュタポはただちに日頃マークしていたスヴォボダの家に捜査に向かった。
負傷したリーダーを匿っていたスヴォボダはマーシャとの情事の最中を装い追求をかわすが、主任、グリューバー(アレクサンダー・グラナッハ)は現場にホレックを連れてきてくる。
 
翌日、マーシャとスヴォボダはレストランに行く。彼女はそこでナチの地区司令官暗殺の犯人はチャカだと告発し、ナチは彼を連行する。
 
チャカはレストランで食事をしていたと証言、だがレストランの人々は彼はいなかったという。他にもチャカのアリバイを崩す証言が次々と出てくるのだった。チャカのアリバイはグリューバーが握っていた。
 
その頃ホレックの部屋に居座っていたグリューバーはスヴォボダはマーシャの偽証に気づく。阻止しようとしたホレックを打ち倒しグリューバーはスヴォボダの勤める病院に向かう。そこでグリューバーはスヴォボダに殺される。
 
ホレックによりグリューバーがチャカの家に向かったと通報を受けたナチは、チャカの家に捜査に出向く。否定するチャカを余所に彼の執事は確かにグリューバーが訪れたと証言する。
 
そして書斎からは総督暗殺に使われた拳銃が、地下室からはグリューバーの死体が発見されるのだった。二重スパイとして連行されたチャカをナチは街中で釈放しその場で射殺する。
 
チャカを暗殺犯に仕立て上げるプラハ市民たちの作戦は成功したが、ノヴォトニー教授を含め多くの連行者は結局処刑されてしまった。そしてベルリンからは、ナチの威信のためにチャカを犯人にするようにという指令がプラハ占領本部に届くのであった(MovieWalker)
 

・・・
プラハの不屈の闘志が際立っていた。敵を欺くための大芝居も見どころだった。
 
多くの犠牲を払ったが、プラハ市民の勝利を描いている。ナチスは体裁と威厳を保つために苦肉の策で真犯人ではない身内を犯人に仕立てざるを得なかったのだった。
 
レジスタンスの仲間といっても、軽々しく情報を他人に言うな、というのが徹底されていた。リーダーによると、Aが仲間のBに言ったことが、次にCに伝わり、そこからD、Eへと広がり、やがてG(ゲシュタポ)に伝わってしまうからだという。
 
フリッツ・ラング監督作品では「M」が圧倒的におもしろいが、「死刑執行人もまた死す」も負けず劣らず、わくわく、ハラハラさせる映画だった。
 
 主な登場人物:
 フランツ・スヴォボダ医師(偽名:カレル・ヴァニヤック) - ブライアン・ドンレヴィ: 暗殺犯。レジスタンスのメンバー。
 ステファン・ノヴォトニー教授 - ウォルター・ブレナン: 大学教授
 マーシャ・ノヴォトニー - アンナ・リー: ノヴォトニー教授の娘。
 ヤン・ホラク - デニス・オキーフ: マーシャの婚約者。
 エミール・チャカ - ジーン・ロックハート: ゲシュタポの手下
 
☆☆☆☆
 
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:ついでにクリック・ポン♪。