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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「#マンホール」(熊切和嘉監督、2023)を見る。ワンシチュエーション密室スリラー。

 

   

#マンホール」(熊切和嘉監督、2023)を見る。中島裕翔(ゆうと、(Hey!Say!JUMP)演じる主人公が結婚式前日にマンホールに落下して出られなくなり、助かるためにツイッターの#を駆使するワンシチュエーションスリラー。SNSスマホを駆使した脱出劇である一方、復讐劇でもある。

脚本は「ライアーゲーム」シリーズ、「マスカレード・ホテル」シリーズの脚本家・岡田道尚によるオリジナル。監督は海炭市叙景」「私の男」の熊切和嘉。

主演の中島裕翔が好青年のイメージから一転して、マンホール内での一人芝居のシーンが多いが怒りの形相がすさまじかった。公開時ネタバレ厳禁のひとつが「一人二役」ということ。

共演の奈緒は、ほとんど電話のやり取りの声だけ(博多弁)だが特徴的な方言が印象に残る。ラスボス的に登場する黒木華が出番は少ないがダークな新たな側面を見せているのも見どころ。

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極限状態に置かれたという事実は百歩譲っても、もともと自分が飲み会で飲み過ぎて、マンホールに落ちた(睡眠薬を飲み物に入れられマンホールまで車で拉致された?)ことから助けを求める男・川村(中島裕翔)が、助けようとする元カノや警察に対する対応に遅い、何をしてるとイライラして文句を言ったりするのは自己中すぎで性格も悪く、感情移入はできない。

それもそのはず、この男、実は…だった(※=ネタバレ)。

自分の位置情報を知るためにスマホを空中高く投げ、外の景色を見て場所の特定を探るシーンなどはハラハラさせられる。

SNS、動画配信など、一部は面白半分のやじ馬で占められていて、信用できない。実際に、罠が仕掛けられていたりする。

マンホールに詳しい男というユーチューバーが面白おかしくマンホール探しの動画をライブ配信したり、仮面の男なる人物が入り込んできたり、情報も錯綜し、そのつどSNSではツイートが揺れ動く。

川村俊介は、今マンホールにいるこの男に殺されてマンホール内で死体になっていて、川村俊介を名乗る人物は、整形をして川村俊介のふりをし続けていた吉田という男だった。今起こっていることは、本物の川村俊介を知る何者かの仕業であると推測できる。

事件の全容を理解した俊介こと吉田は、ある一人の人物を頭に浮かべていた。本物の川村俊介の恋人だった折原奈津美黒木華)だ。俊介は奈津美の情報を流すと、SNSは一気に加熱することになる。

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マンホールに閉じ込められた吉田と川村俊介の死体。警察が先に来れば、吉田が川村の殺人容疑で逮捕される。その前に元カノの舞に来てほしい。マンホールの上に車の止まる音がした。ロープが投げられる。

やってきたのは工藤舞(のはずだった)。垂らされたロープを使って外に出ると、舞の姿はなく、そこにいたのは原奈津美だった。俊介のスマホを操作し、工藤舞の番号を抜き取っていた奈津美。最初から舞ではなく会話のやりとりをしていたのは奈津美だったのだ。

一連の出来事はすべて奈津美が操っていたのだった。弱りきった俊介(吉田)を襲い、顔をナイフで切り刻む奈津美に、妊娠した妻がいると同情を誘う俊介。奈津美は思い直して立ち去ろうとする。

しかし、その奈津美の後ろ姿に、俊介は襲いかかる。ひもで奈津美の首を絞め殺そうとする俊介。

そこにSNS深淵のプリンスがやってきて、俊介をボウガンで打ち抜く。その勢いで、俊介は再びマンホールに落ちていき、深淵のプリンスはマンホールの蓋を閉じてしまう。本物の川村俊介の死体の横で動けない俊介に、どうしようもない絶望が襲うのだった。

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オープニングは、画面分割でスタイリッシュな雰囲気だったが…。

(ストーリー)
営業成績ナンバー1で社長令嬢との結婚も決まり、順風満帆な人生を歩んできた川村俊介(中島裕翔)は、彼のお祝いパーティで盛り上がった帰り道、ふらついた先がマンホールで、突如穴の下へと落ちてしまう。

傷を負い、自らだけでの脱出は不可能だと考えた俊介は、片っ端から仲間に連絡するが誰も出ない。唯一電話に出てくれたのは、元カノの工藤舞奈緒)だった。

事情を説明し、舞に助けてもらうことになったが、俊介が送った地図を頼りに探しても、俊介が落ちた穴は見つからなお。さらに、警察が捜索するも、そんな穴は見つからない。

俊介は、SNSで川村俊介の妹だという設定のマンホール女というアカウントを作成し、SNSの住民に助けを求めることにした。

情報はすぐに集まり、ただマンホールに落ちたのではなく、誰かに拉致され、知らない穴に落とされたのではないか、俊介に恨みのある人間の仕業ではないか…といった書き込みがあふれる。

ネット民はさらにヒートアップし、犯人ではないかと疑われた俊介の同僚の加瀬悦郎(永山絢斗)に直接会いに行き、加瀬を拷問にかけて真実を問い詰めようとした。 

その後も俊介のいる穴の捜索は続くが、俊介のいる場所にはガスが発生したり、とめどなく溢れてくる泡があふれたり、俊介の身に危険が迫り、孤独という辛さを身をもって味わうことになり、果たして俊介はマンホールから抜け出すことができるのか…。

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ツッコミどころも多い。
スマホの電源が随分と長持ち。マンホールの中でガス漏れがあり、ライターの火をつけたら爆発が起きたのに俊介は吹き飛ばされるものの命に別状なし。

整形して川村に扮したというが、加瀬だけは知っていたようだが、同僚など誰も気づかないというのも…。

この映画は、第73回ベルリン国際映画祭のベルリナーレ・スペシャル部門に正式招待された。

Netflix」で鑑賞。

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