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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「虎の尾を踏む男達」(1945、公開1952)を再見。黒澤明監督の初期の名作。

 

虎の尾を踏む男達」(1945、公開1952)は、原作である能の演目「安宅」の歌舞伎の当たり狂言勧進帳(かんじんちょう)」を下敷きにしたミュージカルコメディ。59分。


新進監督だった黒澤明が自身の脚本で企画し、太平洋戦争終戦の前後に低予算で撮影した監督4作目となる作品。


大河内伝次郎演じる堂々の弁慶とエノケンこと榎本健一のおしゃべりな道化役の強力(ごうりき)、この対比の妙がこの映画を非凡なものにしているB級映画の傑作。

 

エノケンがコメディタッチの狂言回し的な役まわりで、とぼけた味わいがあり、当時、爆笑王と言われたコメディアンぶりをいかんなく発揮している。


最大のヤマ場は、関所での「勧進帳」に仕立てた白紙の巻物を弁慶が読み上げるシーン。このシーンでは関所側に見破られるのではないかと強力(ごうりき)のエノケンとともに観客はハラハラとさせられる。

 

のちに声優としてバート・ランカスターの吹き替えで知られる久松保夫(「ララミー牧場」のジェス=ロバート・フラー=役で有名)が使者の一人で出演している。

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兄の将軍源頼朝に追われる身となった義経仁科周芳)は、山伏姿に変装して弁慶(大河内傳次郎)らと共に唯一の理解者、奥州の藤原秀衡のもとへ向かう。


が、途中の安宅(あたか)の関所では関守・富樫左衛門(藤田進)が山伏姿に身をやつした義経一行を待ち構えていたのだった。


そのことを麓の村で雇ったおしゃべりな強力(ごうりき)(榎本健一)から知らされた一行は、弁慶の計略で義経を強力姿にすることで穏便に関所越えを目指す。

 

関所では、関守・富樫から僧侶という弁慶に対して、勧進帳を読ませられたり、矢継ぎ早の質問攻めで、真の僧侶かを確かめるのだった。


それでも強力の一人が義経の動作に似ていると怪しまれるが、弁慶が、機転を利かせて義経を棒で何度も叩いたことから、富樫は「まさか付き人が義経を叩くことはありえない」と一行を放免するのだった。

 

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初期の作品で、セリフの聞き取りにくい点などがあるものの、戦時中におけるフイルムの制限、低予算などの中で作り上げた作品で大河内傳次郎エノケンの名演とともに記憶に残る作品。


【主要キャスト】
弁慶:大河内傳次郎
富樫:藤田進
強力(ごうりき):榎本健一エノケン
亀井:森雅之
片岡:志村喬
伊勢:河野秋武
駿河:小杉義男
常陸坊 : 横尾泥海男
義経:仁科周芳(十代目岩井半四郎
梶原の使者:久松保夫
富樫の使者:清川荘司

            

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