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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「女神の見えざる手」(原題:Miss  Sloane、2016)を見る。

 

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女神の見えざる手」(原題:Miss Sloane、2016)は、予告編の記事を書いていて、パソコンのHDDにも残していたので見たつもりでいたが、きょう見た。アメリカの銃社会の是非に関わるロビイストのロビー活動を描く。

敵を欺くには味方からという言葉があるが、オセロの白黒をひっくり返すような最後の「激震」の一手が痛快。監督は「恋に落ちたシェイクスピア」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」などのジョン・マッデン、主演は「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」のジェシカ・チャステイン

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エリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は政界で畏敬の念を持たれるほど有能なロビイスト。コール=クラヴィッツウォーターマン社に所属するスローンはどんな依頼も成功に導いてきた。

ある日、エリザベスの元に銃器保有に賛成する女性を増やして欲しいという依頼が舞い込んで来るが、彼女は依頼に来たビル・サンフォード議員(チャック・シャマタ)を冷たくあしらってしまう。

大口の仕事を蹴ったことで上司のジョージ・デュポン(サム・ウォーターストン)と口論になるも、エリザベスは銃の規制強化に賛成しており、考えに反する依頼を受けるつもりはなかった。

その夜に行われたパーティーを途中で抜け出し帰ろうとした時、エリザベスは見知らぬ男から話しかけられる。彼は銃の規制強化法案の賛成派に付くロビー会社ピーターソン=ワイアットのCEOロドルフォ・シュミット(マーク・ストロング)であり、エリザベスを引き抜きに来ていたのだ。

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翌朝、エリザベスはミーティングの場で即日ピーターソン=ワイアット社に移ることを告げ、数人の部下と会社を去っていくが、片腕だったジェーン・モロイ(アリソン・ピル)とは袂を分かつことになった。

会社を移ったエリザベスは早速チームに指針を示し、ロビー活動を開始する。敵である銃ロビー(銃の規制強化の反対派)は圧倒的な資金力を持ち、法案を通さないために必要な議員の数も少ない。劣勢にあるエリザベスは様々な手を駆使して賛成派の議員を増やしていく。

だが銃ロビーも黙っておらず、エリザベス達に妨害工作を仕掛けてきていた。エリザベスは機転を利かせてチーム内の裏切り者を見つけるが、それは自身が雇っている非公式のサポートチームによる違法な手段によるものだった。

エリザベスの策は次々と効果を発揮し、着実に勝利へと近付いていたのだが・・・。

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冒頭にエリザベスの言葉がある。

「ロビー活動は予見すること。敵の動きを予測し、対策を考えること。勝者は敵の一歩先を読んで計画し、敵が切り札を使った後、自分の札を出す。」

それは言わないほうがいいという言葉に続いて「敵の不意を突くこと。自分が突かれてはいけない。」

そのあと「もう一度聞きます。ミス・スローン あなたの仕事は?」「弁護人の助言により、米国憲法修正第5条に基づき、答えることを拒否します。」の言葉。

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後から分かるが、これらのやりとりは、最後の聴聞会でのやりとりだった。

聴聞会は銃ロビーの強い要請で計画されたもので、銃の規制強化の急先鋒のミス・ローンの過去の不正を暴くというものだった。

ところが、追い詰められたと思われたエリザベスが最後の一手をだしたことで、形勢は大逆転するというどんでん返しが待っていた。

確かにエリザベスの手口は、自身が「(超えてはいけない)境界線が見えない」と言った言葉があり、仲間内からも「他人をリスペクトするという境界線を超えた」といわれるほど、猪突猛進に進むところがあったようだ。

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エリザベスの私生活を暴くかと思われたエスコート・サービスの人物が証人として現れた時には、エリザベスを知っているかという点は肯定したが、客であったことは「ない」と否定するなどハラハラさせる展開もあった。

ロビイストという職業は、ときに寄生虫(パラサイト)呼ばわりされるが、エリザべスは「政治家こそがねずみであり寄生虫だ」と反撃するところもあった。

聴聞会から10ヵ月後、エリザベスは聴聞会での偽証により連邦矯正施設に入れられていた。

面会に来たピーターソン=ワイアットの弁護士は、早期釈放の手続きをしていること、銃の規制強化法案が可決するであろうことをエリザベスに告げる。

面会の終わり際、意図的に残した違法行為の証拠についてチームの仲間に告げなかった理由を聞かれたエリザベスは答えた。「5年の刑期を受けるから」と。信頼する仲間を守るためだった。

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エリザベスを演じたジェシカ・チャステイン聴聞会での「何か話したいことは?」にしばらく沈黙していたが、「一言」と言って進み出て発言する時の威風堂々の話し方は、説得力があって、エリザベスをなきものにしようとした敵側の一同を震撼させるに十分すぎる強烈な”見えざる手”だった。

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主な登場人物:

エリザベス・スローン:ジェシカ・チャステイン:敏腕ロビイスト

ロドルフォ・シュミット:マーク・ストロング:ロビー会社

  ピーターソン=ワイアットのCEO

エズメ・マヌチャリアン:ググ・バサ=ロー

ジェーン・モロイ:アリソン・ピル

パット・コナーズ:マイケル・スタールバーグ

ジョージ・デュポン :サム・ウォーターストン

ロナルド・M・スパーリング上院議員ジョン・リスゴー聴聞会の議長。

ダニエル・ポスナー:デヴィッド・ウィルソン・バーンズ

フォード :ジェイク・レイシー