「キラー・ドッグ」(原題:Bullet Head、2017)をみる。エイドリアン・ブロディ、アントニオ・バンデラス、ジョン・マルコヴィッチ出演と豪華な、”犬派”物語。小さな犬が、ロシアの大型犬を打ち負かすなど、”小が大を食う”闘犬などを背景に、犬の恩返し映画ともなっている。3人の強盗一味が逃げ込んだのは廃倉庫。しかし、そこは、犬同士が闘う場所で、血に飢えた犬がいた!
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強盗犯のステイシー(エイドリアン・ブロディ)、ゲイジ(ロリー・カルキン)、ウォーカー(ジョン・マルコヴィッチ)、エディの4人は、警察から逃げるため、以前使われていた公営の倉庫にやってきた。倉庫に車が衝突し、エディは息を引き取る。
ステイシーは助けを呼ぶが、テレビでニュースになっていて、分け前を半分よこすことを条件に、日没まで待つように言われる。
そもそもこの事態に陥ったのは、ドラッグ依存症のゲイジが、棚にあった薬に手を出したからだった。店も小さく、金庫の中身も少ないことから、ステイシーは不満があった。
そんな彼らだが、犬について過去のかかわりについて語り始める。ゲイジは、子供時代に、親に内緒で、空き家に犬を飼って、犬のエサを冷蔵庫から取り出して与えていたことが父親に見つかり、犬が処分されてしまったと回想シーンが描かれる。
そんな中、彼らの前に現れたのは、狂暴そうな犬。ステイシーは、年老いたウォーカーへの注意をそらすため、狂暴な犬の関心を自分に向け、逃げまくる、追いかけっこのシーンが続く。そして、ピアノの鍵盤の中に隠れるステイシー(エイドリアンは「戦場のピアニスト」が有名)。ステイシーの汗がしたたり落ちる。
その汗のしずくが地面に落ちた時、犬がぴくっとその音と臭いに気づく。犬はやや後ずさりするとピアノに向かって、闘牛のように突進してピアノに体当たりしてきた。
ところが、犬は、破壊されたピアノに挟まって身動きが取れなくなる。
ステイシーは「困ったぜ」と思いながらも、犬を放置するわけにはいかず、ピアノから犬を解放してやると、それまで狂暴だったが、助けられたと思って、静かに去っていくのだ。
一方、強盗が持ち逃げした闘犬の売上の現金バッグを取り戻そうと銃で追ってきたのが、闘犬を主催するブルー(アントニオ・バンデラス)だ。
このブルーが、自動小銃をぶっ放し怖い。自身の犬の体験も語り始める。ブルーが子供のころ、隣の犬が自分の家にやってきては母親が育てた野菜や花をめちゃめちゃにし田とというのだ。そこで、その犬の飼い主に、犬を離さないよう頼むが聞き入れられなかったようで、飼い主を殺したという。そして、その犬を自分が育ててきたのだ。
エイドリアンに負傷を負わせ、銃でとどめを刺そうというときに、自分が育ててきた、まさにその闘犬が現われた。
その犬は、助けてくれた恩人がまさに殺されそうになっていることを察し、ブルーに襲い掛かるのだ! まさに”飼い犬に噛まれる”とはこのことか(笑)。
犬は人間の恩を決して忘れないのだ。
闘犬で負けた犬は即、殺処分され、死体の山になっている光景はすさまじく、恐ろしい。
ホラー、グロテスクなシーンもあり、誰にでもおすすめという映画ではない。