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映画「悪魔の愛人 リダ・バーロヴァ」(2016) を見る。ナチス・ドイツのゲッべルスの愛人の生涯。

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映画「悪魔の愛人 リダ・バーロヴァ」(2016) を見る。題名につられて見たが、面白く、引き込まれた。タイトルの悪魔とは、ナチス・ドイツの宣伝大臣・ゲッべルスであり、リダ・バーロヴァは、2000年に亡くなったチェコの実在した女優。ヒトラーの側近だったゲッべルスの愛人となったリダ・バーロヴァの生涯を描いている。

リダは、美貌の持ち主であり、当時、アメリカのグレタ・ガルボにもなれると期待された女優だった。ドイツを追われてチェコに戻っても、ドイツのスパイではないかと疑われるなど苦難が続いたようだ。

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f:id:fpd:20210312161632j:plain リダ・バーロヴァ

1934年。女優志願の娘リダ・バーロヴァ(タチアナ・パウホーフォヴァー)は、チェコ出身で、母親の夢でもあった女優になるためにオーディションを受け、並み外れた美貌を持つリダは配役にぴったりだと認められるが、訛りが抜けず何度も台詞を失敗してしまう。

それを見かねた発音指導のスタッフは、オーディションに合格させるため、昼夜を問わず発音レッスンに励む。後日、リダは訛りが抜けた流暢なドイツ語を披露したほか、得意の歌とダンスで制作陣を魅了した。

無事にオーディションに合格し、憧れていたドイツ人俳優・グスタフとの共演を果たした。グスタフもリダの美貌に魅了され、やがて2人は恋人同士となる。

1935年1月、撮影所見学に訪れたアドルフ・ヒトラーヨーゼフ・ゲッベルスから首相官邸に招待され、それ以来、リダはゲッベルスと顔見知りとなる。

翌1936年からはゲッベルスの愛人となり、フレーリッヒとの婚約を解消。さまざまな女性たちと関係を持つ猟色家のゲッベルスだったが、バーロヴァとの恋愛は真剣そのものだった。

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ゲッベルスの妻マクダ・ゲッベルスが夫とバーロヴァの関係に気づき、ヒトラーに相談する。ゲッベルスの子供たちの名付け親だったヒトラーは、ゲッベルスに対してバーロヴァと別れるようにと告げるのだが・・・。

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ゲッペルス(右)

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ナチス・ドイツを描いた映画は多いが、ゲッべルスの愛人スキャンダルを主眼に描いているところが面白い。ヒトラーは、側近のゲッペルス夫妻の離婚を認めず、わざわざ、ヒトラーとゲッべルス一家(夫妻と子供5人)とが別荘で歓談している写真を新聞記事にして、模範夫婦を演出していた。

また、ゲッべルスは、ハリウッドに対して偏見を抱いていたのか、ハリウッドに行って失敗してドイツに戻っても居場所はないと俳優たちを集めて語り、亡命などを戒める発言をしていた。

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映画は、晩年の亡くなる直前のリダが若いジャーナリストからインタビューを受けているところから始まり、一人椅子に座っているところに、ゲッべルスがやってくるところで終わる(これはリダの妄想)。ゲッべルス一家はヒトラーを追って1945年一家で自殺しているのだ。

ナチスユダヤ人の店に火をつけたり、銃殺したりというシーンもあり、その残虐ぶりも描いている。ナチスの幹部だったゲッべルスに近い人物(愛人)で、2000年まで生きていた女優がいたという事実に驚かされる。

女優リダ・バーロヴァの略歴をWikiでみると、映画のストーリーがほぼ再現している。

リダ・バーロヴァ - Wikipedia

 

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監督:フィリプ・レンチ 

出演者:

タチアナ・パウホーフォヴァー(リダ・バーロヴァ)

カール・マルコヴィクス(ヨーゼフ・ゲッベルス)

ギデオン・ブルクハルト(グスタフ・フレーリッヒ)

シモナ・スタショヴァー(リダの母)

マルチン・フバ(リダの父)