「ファントム・スレッド」(原題:Phantom Thread、2017)を見た。第90回アカデミー賞を賑わした作品の一つで、作品賞ほか6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞。この年は「スリー・ビルボード」などが多く賞を獲得した。
主演の名優ダニエル・デイ=ルイスが本作を最後に俳優業を引退したというので見ることにした。 映像と音楽がすばらしい映画。
主演はアカデミー主演男優賞を3度受賞したダニエル・デイ=ルイス。共演はレスリー・マンヴィル、ヴィッキー・クリープスほか。音楽はイギリスのロックバンド・レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッド。
舞台は1950年代のロンドン。世界的なドレスメーカーの有名デザイナーと若いウェイトレスとの究極の愛を描くが、男と女のパワーバランスが逆転していくスリルもある、一見ラブロマンスに見えるが実は、ホラー的な要素も・・・?。怖っ。
ダニエル・デイ=ルイスは「マイ・レフトフット」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「リンカーン」で3度のアカデミー主演男優賞を受賞している名優。寡作の俳優で、1本出演すると数年は映画から遠ざかることもしばしば。その間は靴職人などを行っている。
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ウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)との運命的な出会いを果たしたレイノルズは、アルマをミューズとしてファッションの世界へと迎え入れる。しかし、アルマの存在がレイノルズの整然とした完璧な日常が変化をもたらしていく。
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タイトルのファントム・スレッド(phantom thread)とは、ヴィクトリア時代、王侯貴族の服を作るために過酷な長時間労働を強いられていたお針子たちが就業後も「幻の糸(ファントム・スレッド)」を縫い続けていたことに由来し、転じて本作では「見えない力」という含意もこめられているという。
この「見えない力」とはレイノルズを惑わすアルマの性的魅力や、彼女が用いるキノコの毒など複数の意味が含まれるが、主人公のレイノルズ・ウッドコックと彼がレストランで見初めたウェイトレスのアルマの痴話喧嘩の中で、「ファントム・スレッド」というタイトルは、「錯覚の人間の寿命」と見ることができる。
この映画の魅力は、美しい映像とラフマニノフのピアノのようなクラシックを思わせる音楽、ラブストーリーにありがちな衝動的なシーンなどは一切排除して、格調の高さと品位を保っている。
主役とも言えるアルマを演じる女優のヴィッキー・クリープスは新星。
ルクセンブルク出身のヴィッキーは、ドイツ語、フランス語、英語、ルクセンブルク語の4か国語を操り「ハンナ」(ジョー・ライト監督)、「もうひとりのシェイクスピア」(ローランド・エメリッヒ監督)「誰よりも狙われた男」(アントン・コービン監督)「コロニア」(フロリアン・ガレンベルガー監督)などに出演。2012年には、ルクセンブルクで最も有望な新人に送られる賞“Prix du Jeune Espoir”を受賞した。
ヴィッキーが演じるのは、ダニエル演じる天才的仕立て屋に見いだされ、田舎のレストランを飛び出して華やかなドレスをまとう社交界へと転身するアルマ役。劇中では瞬く間に垢抜けていく過程と、何者にも支配されない意志の強さをときに大胆に、ときに繊細に体現し、ダニエルにも一歩も引けを取らない存在感を放っている。ただ、美人女優には思えないところがやや残念。
ヴィッキーが演じるのは、ダニエル演じる天才的仕立て屋に見いだされ、田舎のレストランを飛び出して華やかなドレスをまとう社交界へと転身するアルマ役。劇中では瞬く間に垢抜けていく過程と、何者にも支配されない意志の強さをときに大胆に、ときに繊細に体現し、ダニエルにも一歩も引けを取らない存在感を放っている。ただ、美人女優には思えないところがやや残念。
原題:「Phantom Thread」
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
撮影:ポール・トーマス・アンダーソン/マイケル・バウマン
出演:ダニエル・デイ=ルイス/ヴィッキー・クリープス/レスリー・マンヴィル/ブライアン・グリーソン
2017年/アメリカ
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
撮影:ポール・トーマス・アンダーソン/マイケル・バウマン
出演:ダニエル・デイ=ルイス/ヴィッキー・クリープス/レスリー・マンヴィル/ブライアン・グリーソン
2017年/アメリカ
☆☆☆ (一度ではわかりにくいところがあり再見を予定)