1980年代にアメリカを震撼させた連続猟奇殺人事件を題材にしたサイコ・サスペンス映画。自分の子供を産ませるために次々と娼婦を拉致監禁し、妊娠できない娼婦は殺してしまう残忍な猟奇殺人鬼と、娘を誘拐された敏腕刑事の闘いを描いている。
原題は「工場」だが、この映画の鍵となっている。
「コレクター」というと1965年の「コレクター」と紛らわしい。
1965年の同名タイトルの映画は若い内気なテレンス・スタンプが蝶を集めていたが、やがて女性を監禁するという話だったが…。
…
雪の降るニューヨークのバッファロー。
夜の街角に立つ娼婦たちは、車を徐行させるカール・ジュモー(ダラス・ロバーツ)に声をかける。カールは娼婦たちを物色し、銀行のATMでお金を出していた娼婦に声をかける。娼婦は誘われるまま車に乗り、カールの自宅へ向かう。
カールは、友達の少ない気弱な男を演じ、娼婦を安心させる。
しかし、その娼婦が女装した男だとわかると、残忍な手口で殺してしまう。カールは、娼婦ばかりを狙う連続殺人鬼だった。
バッファロー市警のマイク(ジョン・キューザック)と相棒のケルシー・ウォーカー(ジェニファー・カーペンター)は、3年前から連続娼婦失踪事件の捜査を続けている。しかし娼婦の遺体さえ発見されず、捜査は打ち切りになる。
この事件は冬季限定で起こるのが特徴で、まだ17歳の少女を含む7名の娼婦が行方不明になっていた。同じ年頃の娘を持つマイクは、犯人に強い怒りを感じていた。
マイクの娘のアビー(メイ・ホイットマン)は17歳の高校生で、反抗期を迎えている。今日も感謝祭のお祝いを彼氏とすると言い出し、母親と衝突する。ケルシーはマイクの一家と仲が良く、アビーとも親しい。マイクは、感謝祭のお祝いにケルシーも誘うが、彼女は食事をせずに帰る。
ケルシーは独身だが、なぜか不妊治療について詳しく調べている。彼女は身寄りがなく、孤独だった。(アビーの母親の何気ない一言:「30歳にもなって、子供もいないなんて」に微妙に反応するケルシーの表情。うん?なにかありそう)。
カールは娼婦の死体をバラバラにして、その肉を飼い犬に与える。残った肉片は、冷蔵庫に保存していた。その後手際よく料理を作り、地下室へ運ぶ。カールは市民病院の食堂でコックをしており、料理は得意だった。
女装した娼婦が行方不明となり、マイクは事件の捜査を開始する。犯行の手口から、この事件も一連の娼婦失踪事件と同一犯の犯行と思われた…。
…
「コレクター」はサイコパスの話だった。
(以下ネタバレ)
サイコパスのカールが集めていたのは娼婦で、その目的は、カールの自宅の地下に娼婦たちを軟禁状態にして、赤ん坊を産ませる(=製造する:映画の原題「(赤ん坊製造)工場」)ことだったのだ。
おぞましい映画で、娼婦失踪事件を捜査するマイクだが、マイクの動きはなぜかカールに筒抜けだった。カールと、マイクの相棒の女刑事ケルシーは実は共謀していたのだ!
マイクとケルシーは、カールの家に侵入する。子供部屋を見つけたマイクは、保育器の中で保護されている3人の赤ちゃんを見て驚く。その部屋の壁には、びっしりと写真が貼られていた。
カールは銃を持ち、寝室にいた。マイクがカールを撃った直後、ケルシーが部屋に入ってくる。そしてケルシーは銃を構え、マイクを撃つ(えええぇえええぇ~、なに、この展開?)。
実はケルシーは、カールに拾われた最初の家族だった。
しかし子供を産めなかったため、カールが拉致してきた娼婦に赤ちゃんを産ませていたのだ。ケルシーが共犯者だったので、連続娼婦失踪事件は、なかなか解決しなかったのだ。
後日、ケルシーはマイクの自宅の留守電に、マイクを守れなかった謝罪のメッセージを入れておく。そして、マイクがアビーの妊娠を知って喜んでいたと伝える。ケルシーは警察を退職し、郊外の一軒家へ引っ越す。
ケルシーの車には、3人の赤ん坊が乗っていた。アビーはケルシーのメッセージに、赤ン坊の声が入っていることに気づく。そして釈然としないものを感じて、じっと電話機を見つめていた。
一方、ケルシーは赤ん坊を抱いて、不敵な顔をして、エンディング。
何かしら中途半端な終わり方だった。
※「ツッコミどころ」がいくつもある。
(1)パートナーを組むケルシーが怪しいことに気づかないマイクは間が抜けている。
(2)マイクの奥さんは、夫マイクの同僚とはいえ、自宅にケルシーを家族のように呼んで来るのに、のんきに対応。二人の関係などを疑う素振りもない、など。
主な出演者:
■マイク・フレッチャー(ジョン・キューザック)
バッファロー市警の敏腕刑事。3年前から連続娼婦失踪事件の捜査を続けているが、なかなか犯人を逮捕できない。高校生になる娘と幼い息子がいる。刑事としては優秀で、粘り強く捜査を続ける。
■ケルシー・ウォーカー(ジェニファー・カーペンター)
マイクの相棒の女性刑事。三十路を迎えているが、まだ結婚はしておらず、家族もいない。マイクの家族と仲が良く、子供たちからも慕われている。
■カール・ジュモー(ダラス・ロバーツ)
連続娼婦失踪事件の犯人。捜索されにくい娼婦を自宅の地下室に監禁し、自分の子供を産ませている。ケータリング会社から派遣されるコックで、現在は病院の食堂で働いている。
マイクの長女。17歳の思春期を迎えており、大学生の彼氏のことで頭がいっぱい。背伸びをして派手な化粧をしており、娼婦と間違われてカールに拉致される。
■ダリル・ゲイリー(アンソニー・ウィリアムズ)
市民病院の黒人の看護師。入院中の娼婦をレイプして妊娠させた過去がある。それをネタにカールに脅され、彼に頼まれた薬品を病院から盗んでいる。
★★
(脚本、構成がイマイチで、俳優に魅力がなく、ラストもパッとしない。)
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