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ドラマ「イノセント」(原題:(英)The Innocent, 2021)(全8話)見る。スペインの極上サスペンス。

スペインのサスペンス・スリラー「イノセント」(原題:(英)The Innocent, 2021)(全8話)を見る。イノセントには、無垢な、無邪気な、無実の、といった意味があるが、このドラマでは”無実の”だった。登場人物が多く、メモでもしながら見ないとなかなか理解できない。複雑な展開も最後にすっきりするので、極上サスペンスとして楽しめた。

【ストーリー】

主人公のマット(マリオ・カサス)という男が、クラブで喧嘩に巻き込まれ、ダニという青年を誤って殺してしまう。殺意はなく事故だったが、実刑判決を受け刑務所に4年間、服役する。

マットは出所後兄が働く法律事務所で働き始め、妻のオリビアアウラガリード)と共に幸せな日々を送っていた。

ある日ベルリンに出張に行ったオリビアが失踪し、全く連絡が取れなくなる。オリビアの携帯からは、意味深な動画が届く。心配したマットはオリビアを探すため、知り合いの探偵ソーイ(アンナ・アラルコン)に協力を頼む。

教会が経営する養護施設でシスターの遺体が発見され、オルティス刑事(アレクサンドラ・ヒメネス)が捜査を担当することになるが、最初は自殺と思われた事件は殺人の線が濃厚になる。

特殊捜査班のアギラールホセ・コロナ)が、オルティス刑事の仕事を妨害するようになる。オルティスはシスターの事件にマットが関係しているのではと疑い、事態は予測不可能な方向へと進んでいく。

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事件を捜査しようとすると、上層部が、この件から手を引け、というのは日本の刑事ドラマでもよくある話。犯人らしき人物が大物の政治家の息子だったりすると、上からもみ消しされるというやつだ。

このドラマでは、同じ警察でありながら、担当刑事が証拠集めに奔走し、上に報告するが、上司はもう中止しろというのだ。

しかも、特殊捜査班(SCU)という部隊は、そのトップの大佐から、証拠品(ある秘密が録画されたビデオテープ)を担当刑事より先に回収しろと期限付きで厳命するのだ。しかもそれは、秘密裏に手に入れ、表ざたにしてはならないというものだった。

スキャンダルな売春クラブに出入りしている社会的に地位の高い人物たちのクラブでのポールダンサーや、未成年との一部始終の盗撮のビデオで、クラブでは、これを法外な値段で売り付けるという悪質なゆすりビジネスを行っていたのだった。

マット・ビダルは、ダニを誤って殺したが、そのほかの殺人事件もマットの仕業に見せかけられ絶体絶命の窮地に追い込まれるが、ラストでは、どんでん返しによって潔白は証明される。すべてを仕組んだ首謀者は…(○○○○だった)。

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主な登場人物:(  )は役者名(あまりなじみがない)

■マット・ビダル(マリオ・カサス):

大学で法律を学ぶ学生。クラブに行った際喧嘩に巻き込まれ、誤ってダニという青年を殺してしまう。出所後は弁護士になりオリビアと幸せに暮らすが、オリビア失踪後に事件に巻き込まれていく。

■オリビア・コスタ(アウラガリード):

マットと結婚し、幸せな結婚生活を送っている。ベルリン出張後に失踪し、彼女に大きな秘密があることが次第に明らかになっていく。

■ロレナ・オルティス(アレクサンドラ・ヒメネス

シスターの飛び降り事件を担当するやり手の女性刑事。幼年期に悲しい出来事が起こりトラウマを抱え、それ以来仕事に情熱を捧げてきた。シスターの事件から、巨大な陰謀を暴いていくことになる。

■ソーイ・フレメント(アンナ・アラルコン):

マットの兄に以前助けられた女性私立探偵。オリビア失踪の件でマットを助け、持ち前の調査能力で有力情報を掴んでいく。男っぽい性格と風貌。

■テオ・アギラールホセ・コロナド):

特殊捜査班(SCU)の刑事。特殊捜査班のトップ・プリエト大佐を味方につけ、オルティス刑事をことごとく妨害する。

■ソニア・ベラ(アナ・ワヘネル):

マットに息子のダニを殺された母親。贖罪の気持ちでいっぱいのマットに、ダニを重ね合わせ理解を示す。

■ハイメ・ベラ(ゴンザロ・デ・カストロ):

ダニの父親で病院の医師。一人息子のダニを殺されたことから立ち直れず、マットへの憎悪の気持ちを断ち切れない。

■ア二バル(サム・フュアー):

ストリップクラブと売春組織を仕切るリーダー。未成年の少女達を集め権力者を相手に売春させ、弱みを握って金儲けしている。

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第一話はマットの物語第2話はオルティス刑事の物語になるなど、脈絡なく話が進むので混乱するが、パズルのピースはラストで埋まる。もやもや感があったのが、ラスト近くで、すべてつながってくるので、ストーリー構成はうまくできている。

よく知らなかったが、コーベン監督作品は脈絡のないような出来事がたくさん起こり、それが次第にリンクしていき「点が線になり繋がっていく」のが特徴ということらしい。

予測不可能な展開の連続で、終始飽きさせずに最後まで引っ張っていく力強いストーリー展開は見ごたえ十分だった。

ドラマ内では悪い奴らがたくさん登場し、殺される人数も多い。一番の黒幕は誰か、予想しながら見ると面白い。

コーベン作品は、いくつもの事件が重なり合い、最後に本当の黒幕が暴かれる展開というのがおきまりのようで、色々な意味でサプライズがあり、トータルで楽しめる上質のサスペンス・スリラーに仕上がっている。

登場人物全員が怪しげで、主人公も妻も友人も警察も家族も全員怪しいので、下手に感情移入ができない。

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