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映画「エル・シド」(1961)チャールトン・ヘストン、ソフィア・ローレン主演の歴史劇。

 

歴史劇でスペクタクル大作「
エル・シド」(原題:El Cid、1961)は、11世紀後半スペインに実在し、伝説となった騎士王国の貴族エル・シドこと「ロドリゴ・ディアス・デ・ビバール」の物語。
 
エル・シドに「ベン・ハー」のチャールトン・ヘストン、その妻となるシメン役をソフィア・ローレンが演じ、ローレンが気品ある演技を見せている
 
約3時間の長編だが、飽きさせない展開で一気に見せる。
 

[あらすじ]
時の王はフェルナンド1世(ラルフ・トルーマン)。王には長男サンチョ2世(ゲイリー・レイモンド)と長女ウラカ(ジュヌヴィエーヴ・パージェ)、次男アルフォンソ6世(ジョン・フレイザー)の3人の子がいた。
 
当時スペインは、ムーア人が崇拝するイスラム教とキリスト教とが、互いに讃える唯一神の対立により分断していた。この争いにより国が弱体するのを狙い、北アフリカイスラム系のムーア人ムラービト朝のユーサフは、世界を支配する為、最初の足がかりにスペインへの侵略を計画していた。

主人公のロドリゴチャールトン・ヘストンは、遠征地から花嫁となるシメンソフィア・ローレンを迎えに領地に戻る途中、ムーア人に襲われていた村で敵の首長、サラサゴのモータミン王らを捕らえた。
 
部下は処刑するべきと言うが、ロドリゴは捕虜を殺さず、領地へ連れて行く。出迎えた父へ捕虜を差し出すと、父はロドリゴに捕虜をどうするか任せるという。ロドリゴは「今後、領土内を侵略しないこと」と、捕虜に約束させて釈放した。
 
恩義を感じたモータミン王は、ロドリゴに「エル・シド」の称号を贈り、忠誠と友情を誓い自らの領地へ戻っていった。しかし、捕虜を逃がしたロドリゴは、騎士オルドネス伯ラフ・バローネに、「反逆者だ」と通告される。
 
 
そのことを知らずに城でロドリゴを待ち焦がれるシメン。彼女の父は、王の最高剣士の称号を持つゴルマス(アンドリュー・クルークシャンク)。 その父はシメンに「もう一度、愛を学びなおせ」と、ロドリゴとの結婚に不承の意向を示した。

それでもシメンの気持ちは変わることなく、やがて城に着いたロドリゴと再会。シメンはムーア人を助けたロドリゴを「正しかったのだ」と、批判はしなかった。しかし、彼女の父ゴルマスのほうは、オルドネスにより反逆者として告訴されたロドリゴを非難。
 
これに対し息子を庇ったロドリゴの父親はゴルマスから侮辱を受ける。後に、そのことを知ったロドリゴは、ゴルマスに謝罪を求めるが、彼は自身が正しいと断固拒否をする。口論の末、二人は剣を抜き、ロドリコは殺意なくゴルマスを殺してしま。息をひきとる父から復讐を頼まれたシメンは、ロドリゴを恨み復讐を誓う。

そんな頃、城にアラゴンの王がやってきて、カラホラの領地をめぐり宣戦布告。すると、フェルナンド王は、ムーア人との戦いで、ただでさえ国内は不安定なのに、キリスト教徒どうしの内輪で戦争やっている場合ではないと言う。
 
結局「では、最高剣士同士で戦わせて決着をつけよう」ということになった。
ロドリゴは、反逆者の汚名を返上するべく志願し、苦戦しながらも勝利した。こうして彼は正式にカスティーリャ王国の最高戦士となった
 
そして、シメンの父親を殺した自分は、その「家族を庇護しなくてはならない」という当時の慣習に則り、王にシメンとの結婚を申し出て、王はこれを認めた。王の命であればとシメンは結婚に承諾するが、彼女がロドリコを憎む気持ちは変わらない
 
結婚式前に遠征に出かけたロドリゴに対し、シメンはオルドネスと共謀して、彼の暗殺を企て。たまたまムーア人のモータミン王に救われ大事に至らなかったが、ロドリゴは、この策略がシメンの仕業と知る。城に戻ったロドリゴは、それを知りつつシメンと結婚式を挙げた。しかし、心を閉ざしたシメンは、ロドリコと一緒にいられるわけもなく、彼女はすぐに修道院に身を寄せた。

やがてフェルナンド王崩御、領土は夫々の子供達に3分割で相続された。
すぐに領地を巡り、兄弟で争いが起こるだろうと、ユーサフは策略をめぐらす。
サンチョ王はカステーリアを相続していたが、他の領土も独占するために、アルフォンソを捉え幽閉しようとしたのだが・・・
 
 ・・・
音楽が「ベン・ハー」と同様、ミクロス・ローザが担当し、重厚で印象的。半世紀以上も前の製作で、特殊効果など全く無かった時代で大勢のエキストラに建物、背景やセットも迫力満点。戦闘シーンもすさまじい。
 
3時間越え(3時間5分)の大作だが、相当な製作費を投入しているのではと思ったが、既存の古城を使うなど、様々創意工夫がなされたようだ。他の歴史映画と比較すると、巨額で有名な1963年の「クレオパトラ」が4400万ドルとケタ違いだが、1959年の「ベン・ハー」が1500万ドル。1960年の「スパルタカス」でさえ1200万ドル。この「エル・シド」は620万ドルというからスパルタカス」の約半分。意外。
 
チャールトン・ヘストンは「十戒」(1956)「ベン・ハー」(1959)などの歴史劇の当たり役に続く作品で「エル・シド」(1961)さらに「偉大な生涯の物語」(1965)「華麗なる激情」(1965)など歴史上の英雄を演じて、日本でも人気となった。彫刻のような堀の深い顔立ちと長身(191センチ)で、まさに大画面のスクリーンで映えた。
 
ソフィア・ローレンは、1957年の「島の女」が公開され国際スターと見なされるようになり、1960年代までに、世界で最も人気のある女優のうちの1人としてハリウッドとヨーロッパの両方で作品に出演。
 
1960年の「ふたりの女」でアカデミー主演女優賞を受賞。翌年の作品が「エル・シド」で、当時26歳とは思えない堂々とした演技と貫録を見せた。2009年に「NINE」に出演後も、テレビ映画に出演している。現在82歳で健在。「エル・シド」での”黒衣の花嫁”姿など、美貌が光った。
 
前列:オルドニェス伯爵(ラフ・バローネ)、シメン(ソフィア・ローレン)、ウラカ王女(ジュヌヴィエーヴ・パージェ)
 
主な出演者:
●ベン・ユサフ - ハーバート・ロムムーア人の王。スペインに攻め込む。
●オルドニェス伯爵 - ラフ・ヴァローネロドリゴのライバル。シメンを愛する。
●ウラカ王女 - ジュヌヴィエーヴ・パージェロドリゴに想いを寄せる。弟アルフォンソを溺愛。
●アルフォンソ王子 - ジョン・フレイザーカスティーリャ王国の第2王子。
●サンチョ王子 - ゲイリー・レイモンド: カスティーリャ王国の第1王子。
●アリアス - ハード・ハットフィールド: カラオラの地を賭けた一騎討ちの審判。
●ファニェス - マッシモ・セラートロドリゴの忠実な部下。
●アル・カディア - フランク・スリングバレンシア王(首長)。ロドリゴに命を救われるがユサフに従う。
●ドン・ディエゴ - マイケル・ホーダーンロドリゴの父。元最高戦士。
●ゴルマス伯爵 - アンドリュー・クルークシャンク: シメンの父。最高戦士。
●アル・ムータミン - ダグラス・ウィルマーサラゴサ王(首長)。ロドリゴに命を救われた恩から味方に。
●神父 - トゥリオ・カルミナティ: 王国に帰還する途中のロドリゴと出会う。
●フェルナンド王 - ラルフ・トルーマンカスティーリャ王およびレオン王。
●ドン・マルティン - クリストファー・ローデスアラゴン王国の最高戦士。
●ベルムデス - カルロ・ジュスティーロドリゴの部下。
●ラミロ王 - ジェラール・ティシーアラゴン王。
●ドルフォス - ファウスト・トッツィ: サンチョ暗殺の実行犯。事情を察したロドリゴに殺される。
 
11世紀のスペインの時代背景、キリスト教イスラム教(ムーア人)の対立などの構図など当時の状況を知る1編ではある。
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