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<span itemprop="headline">映画「シン・ゴジラ」(2016)</span>









シン・ゴジラ」(2016)は、話題となっている旬のうちに見ておくべき映画の1本であることは確実のようだ。期待を裏切らない作品だった。

ゴジラ FINAL WARS」(2004)以来12年ぶりに東宝が製作したオリジナルの「ゴジラ」映画。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が総監督・脚本を務め、「のぼうの城」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の樋口真嗣が監督、同じく「のぼうの城」「進撃の巨人」などで特撮監督を務めた尾上克郎を准監督に迎え、ハリウッド版「GODZILLA」に登場したゴジラを上回る、体長118.5メートルという史上最大のゴジラをフルCGでスクリーンに描き出している。

ゴジラ」シリーズは、1954年(昭和29年)公開の映画「ゴジラ」に始まる怪獣ゴジラの登場するシリーズ作品で、現在までに28+2作品2作はハリウッド製作)が製作・公開されている。 2014年5月16日には、「もっとも長く継続しているフランチャイズ映画」としてギネス認定もされている。

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映画の特撮技術については、数十年前には、ミニチュア電車の脱線や、着ぐるみ人間のゴジラであっても、驚きを持って迎えられたが、VFX(Visual Effects=視覚効果)も、ついにここまで来たかと思わせるような映像だった。

VFXの進化はすさまじく「アバター」(2009)や「インセプション」(2010)などがこの10年では記憶に残る。邦画では「永遠の0」(2013)もインパクトがあった。

シン・ゴジラ」は、VFXの映画の歴史のなかでも、その1ページを飾ることになったかもしれない。ストーリーは別にして、映像の面では、あまりにもリアルにできているのに驚かされた。

”官庁”の肩書が覚えきれない!
一方で、この映画に登場する人物の数と情報量が膨大で、科学用語も多い上に、人物の役職名の漢字の長さや、字幕の多さ(全部読ませようというわけではないだろうが憲法の条文も画面に現れたりする)で、見ているほうは、追っていくだけでも精一杯という場面が多かった。

役所・官僚の呼称などが次から次に字幕で出てくるが、とても関係性など覚えきれない。それらの人が何度も出てくれば別だが、ワンカットだけというシーンもある。余貴美子防衛大臣で、大杉漣が総理大臣で、光石研東京都知事で・・・など数人は、頭に入るが(笑)。

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舞台は、現代の日本。スマートホンがあふれている社会で、コミュニケーションがスマホを介して行われている平和な時に、東京の近海で原因不明の爆発が起こった。政府の所見は、新しい活火山の噴火だと断定しようとしていた。

が、一人だけ、何らかの”巨大生物”の可能性もあるという意見を述べた。内閣官房副長官矢口蘭堂長谷川博己)だった。そんなバカななと相手にもされなかったが、映像は真実を訴える。”巨大生物”の映像が飛び込んできたのだ。

巨大生物は、海では移動できても、陸上では、自重で巨大な重量を支えることは不可能であり、歩行はできないだろうという楽観的な意見があったが、なんと大田区蒲田あたりから巨大生物が上陸してきたのだ。

巨大生物は「GODZILLA」と名付けられた。最初は、ドラゴンのように街を練り歩いたかと思うと、次第にその形は何段階かの進化を遂げて、東京の街を蹂躙していくのだった。

内閣は、特殊チームを組織して、自衛隊も投入して、「除去」か「捕獲」かの選択が迫られる中、様々な攻撃作戦を展開し、除去を狙うのだが・・・。

一方で、GODZILLAの出現は、米国などにも知れ渡り、アメリカでは核兵器の使用も現実味を帯びていた。しかし、その一歩手前で、日本の「ゴジラ○○作戦」によって、ゴジラは〇〇された。○○とは凍結。

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米国大統領特使・カヨコ・アン・パタースン石原さとみ)のような二世・三世のタイプ、鼻っ柱が強く、上昇志向が強い類の人間は、男女を問わず、いるいる、と思うようなキャラ。やや浮いてしまっているような役柄だったが、付け焼刃の英語力ではないような印象だった。日本側の内閣総理大臣補佐官赤坂秀樹竹野内豊)も、カヨコと英語で丁々発止と話す場面があったが負けてはいなかった(ようだ)。

カヨ子は、30代だが、40代でアメリカの大統領候補を狙っている上昇志向の強いタイプで、すでにカヨ子を押すブレーン的な存在の人物も登場していて、顔は出さなかったがアドバイスをしていた。

一方で、内閣官房副長官・矢口(長谷川博己)に対して、大学の同期なのか保守第一党政調副会長(松尾諭)は、「10年後は総理になれよ」と持ち上げ、「その時は、オレは幹事長でいい」と、”出世こそ(男子の)本懐”だと権力志向丸出し。矢口は、地位にはあまり興味はなく、日本の平和を希求する。

日本は戦後アメリカの属国だった、という言葉も聞かれた。
カヨ子が、矢口との会話で、10年後には、日米のトップとして会いたいものだといったことばもあったが・・・。

久々の日本映画界のオールスターキャスト(のような布陣)だが・・・。
オールスターキャストのような俳優・女優陣が登場するが、それだけに、人物描写などが散漫になった印象も受ける。

総理大臣など、関係者から、様々な決断を迫られ、おたおたするだけで、間が抜けた印象。名の通った俳優を並べてはいるが、それぞれチョイ役(ワンカット出演)が多い。「あれ、前田敦子はどこにいたっけ」だ。

主役の3人以外では、案外、儲け役だったのは、環境省官僚役の市川実日子(いちかわみかこ)だったかもしれない。情報収集力にたけた切れ者という印象で、常にそつなく的確な情報を集める仕事ぶりだった。姉の市川実和子(いちかわみわこ)が強烈な個性(ルックスも含めて)であり、やや目立たない存在ではあるが・・・。



★主なキャスト一覧★
長谷川博己内閣官房副長官矢口蘭堂役)
竹野内豊内閣総理大臣補佐官赤坂秀樹
石原さとみ(米国大統領特使:カヨコ・アン・パタースン役)
市川実日子環境省官僚役)
犬童一心(古代生物学者役)
柄本明内閣官房長官役)
大杉漣内閣総理大臣役)
緒方明(海洋生物学者役)
片桐はいり(官邸職員役)
神尾佑(外務省官僚役)
國村隼自衛隊関係者役)
KREVA自衛隊関係者役)
黒田大輔原子力規制庁役)
小出恵介(消防隊隊長役)
高良健吾内閣官房副長官秘書官[防衛省出身]役)
小林隆自衛隊関係者役)
斎藤工自衛隊関係者役)
嶋田久作(外務省官僚役)
諏訪太朗(防災課局長役)
高橋一生文部科学省官僚役)
塚本晋也生物学者役)
津田寛治厚生労働省官僚役)
鶴見辰吾自衛隊関係者役)
手塚とおる文部科学大臣役)
中村育二内閣府特命担当大臣〔防災担当〕役)
野間口徹経済産業省官僚役)
橋本じゅん自衛隊関係者役)
浜田晃総務大臣総務大臣役)
原一男生物学者生物学者役)
ピエール瀧自衛隊関係者役)
平泉成農林水産大臣役)
藤木孝東京都副知事役)
古田新太警察庁長官官房長役)
前田敦子(避難民役)
松尾諭(保守第一党政調副会長役)
松尾スズキ(ジャーナリスト役)
三浦貴大(ジャーナリスト役)
光石研東京都知事役)
森廉(避難民役)
モロ師岡警察庁刑事局局長役)
矢島健一国土交通大臣役)
余 貴美子防衛大臣役)
渡辺哲内閣危機管理監役)
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野村萬斎ゴジラモーションキャプチャ)
岡本喜八(元城南大学統合生物学教授:牧悟郎※写真のみ)

ところで、これだけの超大作映画だが、製作費が気になったが、15億円という数字だったようだ。アメリカのハリウッド映画は、超大作といえば「100億円」クラスと言うことを考えると、日本の製作費は、いかに少ないか。戦車などが登場したのは驚きだが。

一般的に日本映画の平均的な映画製作費は「1億円以下」と極端に少ない。超大作というのは10億円クラスなのだという。日本では、俳優のギャラが極端に安いことがあるかもしれない。

トップクラスの渡辺謙役所広司で1本500万円。300万~300万円クラスになると、木村拓哉など人気俳優ということになる。ハリウッド俳優は、トップクラスになると1本20億円、30億円というスターがいて、30-40年前の100万ドル(1億円)スターは死語になっているようだ。

渡辺謙などは、ハリウッドでも出演作品が増えており、日本のドラマでも、ある程度見合った出演料(ギャラ)に近づけるとなると、ドラマでは使いにくくなることだろう。いったん上がったギャラは落とせないという事情もあるようだ。そのため最近は渡辺謙のドラマを見ることは少なくなった。

渡辺謙のギャラは「ラスト・サムライ」の時は、たったの500万円だったという。ハリウッドでは、日本で大俳優でも新人扱いだったからで「バットマン・ビギンズ」では1億円。「GODZILLA」では、5億円(推定)となったといわれている。

ジョニー・デップなどは「アリス・イン・ワンダーランド」の出演料は32億円以上だったというから驚きだ。キャメロン・ディアスも、ひところは毎年、
12億円~20億円を稼いでいた。出演料だけの場合と、興行成績の歩合制を合わせた契約だと、莫大なギャラが入ってくることになる。

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シン・ゴジラ」では何を描きたかったのか。日本の危機管理の甘さへの警鐘か。予期せぬ震災・災害対策・テロの危機などに対しての指揮系統は万全か、などを問いかけたものか。今の言葉は「どの省庁に言ったのですか?」という言葉があったが、縦割り組織の弊害が、初動の遅れを招くことにつながることもある。

映画では、地下鉄の混乱ぶり、道路の大渋滞、東京の都心部の実写風景と、その破壊の光景などは、驚きの世界で、あまりにもリアル。そこは見どころ。

さて「シン・ゴジラ」はシリーズの中でも、あらゆる面で高いレベルの映画ということで、評価は☆4個。

追加:「日本アカデミー賞」で「作品賞」を含む6部門で受賞。
    興行的にも80億円以上を突破の大ヒットを記録。

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