堺雅人が映画デビューした年(2000年)の翌年に公開された「ココニイルコト」(2001)
を見た。奇をてらったようなカタカナ・タイトルであまり期待していなかったが、面白かった。日常のリアルな会社、ビジネスの中で頑張るOL女子を軽いタッチで描いた映画で、かなりツボだった。
主演は、この映画でデビューした真中瞳(当時21歳)。
この映画でその年の新人賞を受賞。
フレッシュな印象であるのと、表情や演技が自然体でよかった。名前は聞いたことがあると思ったら、2000年、テレビ朝日系ニュース番組「ニュースステーション」の金曜日のスポーツキャスターを担当していた(久米宏のアシスタント)。その後は芸能界を一時離れ、2009年に、旧芸名・真中瞳を改め、東風万智子(こち・まちこ)として復帰している。
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東京の中堅広告代理店に勤務する駆け出しのコピーライター・相葉志乃(真中瞳)は、突然不倫相手の上司・橋爪常務の夫人から呼び出され、50万円の現金を渡される。夫人は「理由なんて聞かないでね。大人なんだから」と一言。さらに「あなた体温低そうね」と付け加えた。「どういう意味ですか」と聞くも「その言葉通りよ」だった。夫との浮気を清算しろという手切れ金だったのだ。その上、志乃は、大阪支社の営業部へ転属されることになった。
「ま、ええんとちゃいますか」が口癖の前野は、何があっても明るく笑っているちょっと変わった青年だった。ある日、得意先の玩具屋の社長・丸山の接待の席で失態を演じた志乃は、しかし前野のとっさの機転から逆にクリスマス向けの広告を任されることになる。丸山が、野球の阪急ブレーブスの大ファンと知っていた前野は、今は消滅したブレーブスの在りし日の頃のエピソードの話で盛り上がったのだった。
志乃は、クリエイティヴな職場へ復帰出来るチャンスだった。
しかし、今の志乃には重圧ばかりがかかる。そんな志乃の心を癒し励ましてくれる前野。お陰で、志乃は丸山社長も納得の素晴らしいCMを作ることに成功する。
ところが、仕事を終えた志乃に前野の訃報が届くのだった。
実は、前野は以前から心臓に病気を抱えており、志乃の説得で2度目の手術を控えていたのだが、間に合わなかったのだ。
それから数日後、前野の住んでいたアパートを借りることにした志乃は、もう少し大阪で頑張ってみようと心に誓うのだった(Movie Walker)。
「お姉さん、お酒もっと」というのが、誰かさんとダブった(笑)。
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2000年頃の携帯は、PHSが中心だったのも懐かしい。
堺雅人演じる前野は、終始、関西弁(本人は宮崎県出身)。
「まあ、ええんとちゃいますか」が口癖で楽観的。
骨董品屋(店主が笑福亭鶴瓶で常に居眠りをしている)で気に入っているカエルの置物が300円だというのだが、売れないで残っていることを毎度確認する。賭け(勝った、負けた)が好きで、置物が置いてあれば「勝った」と思う。
プロ野球の阪急ブレーブス(現オリックス・バッファローズ)の最後の試合が行われた1988年10月23日を「命日」としている。その日は「盲腸」で試合にはいけなかったという。そのため「今年は13回忌だ」などといっている。
会社の行動予定表の白板に「相葉: 終日、資料探し」「前野: 終日、考えごと」などと書いてあり、他の女子社員などは、これを見て、苦い顔をする。
相葉志乃は、大阪勤務を命じられた時点で、橋爪常務夫人からもらった50万円を宿泊のホテル代にしようと思い、1ヶ月くらいで、大阪を立ち去る考えでいた。
そんな時、手持ちのお金が33万円あったので、捨てるつもりで、競艇(住之江)に出かけ、場内のおっさんに「一番人気薄は何番」と聞いて、おっさんが「やめとけ。もったいない」というのを振り切って、33万円の単勝1点買いをした。
なんと、最低人気の舟券が一着に来てしまい30倍以上の高配当。
1,023万円にもなり、ホテル代が10,000円ちょっとで、568日分となってしまうのだった。
前野と行ったことがある骨董屋を覗いてみる。
すると、カエルの置物は、まだあった! 志乃は、「勝った」と胸の中で叫んだ。
もう少し、大阪にいてもいいかな、「まあ、ええんとちゃいますか」と前野の言葉を反芻して、ほくそ笑む志乃だった。
しかし、ラストのエンディングで、クレジットが流れる中で、「あっ」と言わせるようなオチがあった。
これから見る人は、下の反転文字を見ないように・・・。
・客がいなくなると、カエルの置物に「非売品」の文字をかけるのだった。
この店主、居眠りをしているようで、前野がいつもカエルの置物を見て安心して
いる様子を見て全て知っていたようだ。
堺雅人の妹役で、原田夏希という女優が出ていたが、おしゃべりだがキュートだった。コピーライターの志乃に「コピーラーターって、美味しいことを言って、人を丸め込む仕事やて」と兄が言ってました(笑)というと、志乃は「どんな仕事だよ!」」と小声で叫んだところもおかしい。
たまには、肩のこらないこんな映画をみるのも「ええんちゃいますか」。
予告編
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