<span itemprop="headline">映画「セレブの種」（2004）</span>

「マルコムX」「インサイド・マン」などで知られるスパイク・リー監督の「セレブの種」（原題：She Hate Me,　2004)を見た。硬派の映画が多い印象のスパイク・リー監督だが、「セレブの種」は、意表をついたブラック・コメディのような映画だった。競走馬の種付けのように、精子を提供するビジネスの果てに・・・という風変わりな映画。

企業の違法な薬の開発に絡む不正や、インサイダー取引、内部告発などに目を光らせ、告発者には厳重処罰（強制解雇）なども扱っている。

主人公の発する言葉で「知ろうとしないのは、無知より悪い」というアフリカのことわざが何回か使われるが、アフリカ系アメリカ人であるスパイク・リー監督のメッセージかも知れない。

モニカ・ベルッチ、エレン・バーキンなど有名女優も出演。

　　　　　　　　　　　　　　　「あんたは、どっちの味方？」と詰め寄る上司のマーゴ（エレン・バーキン）

一流大学ハーバード大学を卒業して一流企業に勤める若き部長であるジャック（アンソニー・マッキー）。しかしエイズ特効薬を一緒に研究していた友人のドクター・シラーが、突然、窓から飛び降り自殺をしてしまう。仲間の死を不審に思ったジャックはやがて会社内部の不正を知る。

ジャックは上司のマーゴ（エレン・バーキン）に会社の不正を知らせるが逆に内部告発を恐れた社長のリーランド（ウディ・ハレルソン）とマーゴの企みによって解雇されてしまう。

ジャックは内部告発者として世間から恐れられ再就職先も決まらず、しかも自分のキャッシュカードがATMで使えず、あとから資産を凍結されたことを知る。一瞬にして貧乏生活に陥りそうになるジャック。

そんな彼の元にかつての恋人でありレズであるファティマ（ケリー・ワシントン）が訪れてくる。

ファティマがジャックを訪れた理由は精子提供をして欲しいという申し出。

レズビアンでありながら子供が欲しいファティマは優秀な精子が欲しいために一流大学を出ていて、一流企業に働いていたジャックの精子に目をつけたのだ。しかも、１回の種付けに１万ドル（約100万円！）を提供するという。

最初はファティマの申し出を断るジャックだったが、就職とお金に困っているジャックは結局種付けビジネスを受けいれてしまう。

やがてファティマは妊娠する。そしてファティマは種を欲しがっているレズ仲間を５人ほどジャックのアパートに連れて来た。それ以来ジャックは１回につき１万ドルの種付けビジネスを開始する。彼の噂は全米の女性に広がり、種付けビジネスは大繁盛。次から次に様々な女がやって来る。しかし、そんなビジネスが通用するはずはなく、世間からバッシングにあい、次々とジャックの子供が誕生してしまう苦難に気付かされてしまう。母親と子供が十数人一同に会したシーンは圧巻（？）。

・・・

スパイク・リーは監督、俳優の傍ら、ハーバード大学で教鞭をとる知性派。発表する作品のたびに注目されるが、「セレブの種」も問題作として物議を起こしたことだろう。

見た作品では、「インサイド・マン」（2006）が印象に残る。

記事：①http://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/33212059.html

　　 ②http://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/57725443.html

主な監督作品：

「ジョーズ・バーバー・ショップ」 Joe's Bed-Stuy Barbershop: We Cut Heads （1982）

「シーズ・ガッタ・ハヴ・イット」 She's Gotta Have It （1985）

「スクール・デイズ」 School Daze （1988）

「ドゥ・ザ・ライト・シング」 Do the Right Thing （1989）

「モ'・ベター・ブルース」 Mo' Better Blues （1990）

「ジャングル・フィーバー」 Jungle Fever （1991）